レーザー技術を核にEVや半導体加工の高度化に貢献、トルンプの国内取り組み:FAインタビュー(2/2 ページ)
ドイツのTRUMPF(トルンプ)はレーザー技術を核とし、国内においても板金機械やレーザー関連装置のソリューション開発、エレクトロニクス向け事業などを展開している。トルンプ(日本法人)代表取締役社長のフォルカー・ヤコブセン(Volker Jacobsen)氏に日本での取り組みの現状と今後の方向性について話を聞いた。
EV化の動きと半導体好調の動きに対応
MONOist レーザー事業とエレクトロニクス事業についてはいかがですか。
ヤコブセン氏 レーザー事業はトルンプの持つレーザー技術を活用して、求める加工ができるかどうかを検証しながら顧客企業と一緒に共同開発で作り上げていくという方法で進めており、売上高比率が30%程度を占めている。トルンプのレーザー技術は約60年の歴史があり、さまざまなレーザー技術を保有している。今後に向けて需要が伸びそうなのがEV(電気自動車)関連分野と、半導体や電子部品などの微細加工分野だ。
EV向けではバッテリーやモーターの製造工程が期待できる。これらの加工にはレーザーによるさまざまな加工技術が必要になるからだ。特に多く使用される銅は、従来よく使われている近赤外レーザーによる加工が難しいが、トルンプでは高出力グリーンレーザーを提案している。さまざまな加工技術を用意することで、EVの伸長に貢献していく。一方、半導体など微細加工分野では、超短波パルスレーザーなどの提案を進めている。半導体需要が堅調だが、後工程の加工などで活用されている。
エレクトロニクス事業は、プラズマ電源やIH電源などエレクトロニクス部品を提供する事業で、売上高で15%くらいの比率を占める。大きくは2つの動きで伸長している。1つ目が、デジタル化による半導体産業の躍進と、環境問題に対する脱炭素の動きだ。効率的な電源活用の動きが進み、より効率的な電源部品の人気が高まっている。
企業状況に合わせたスマートファクトリー化
MONOist スマートファクトリー化に向けた動きがポイントだとされていますが、具体的にはどういう提案をされていますか。
ヤコブセン氏 トルンプはドイツ企業であり、ドイツが進めるインダストリー4.0の流れから、デジタル化や自動化についてアドバイスを求められることも多い。ただ、それぞれの企業の置かれている環境によって、行っていることやできることは異なり、それぞれに合わせた提案を進めているのが現状だ。
先進的な企業ではライン全体の完全自動化を進めているところもある。こうした企業には、1台で原素材の取り出しから、板金加工、仕分け、運搬までを一括して担える「TruLaser Center」シリーズをシステム化して提案している。また、そこまでの自動化を求めていない企業に対しては、複雑な準備工程などを改善するために、作業の工程をデジタルデータで管理できるようにする「FABIOT」を活用することで、モニタリングを行い稼働の最適化を進めるようにしている。まずは、こうした顧客の相談に乗り、課題をステップごとに乗り越えていけるようにすることが重要だ。
レーザー技術を持つマシンメーカー
MONOist トルンプの強みをどのように考えますか。
ヤコブセン氏 レーザー技術そのものを内製している機械メーカーとしての立ち位置がユニークだと考えている。さまざまなレーザー技術を持つ一方で、機械メーカーとしてアプリケーションに対するノウハウも保有しており、これらを両立させながら顧客企業の相談に乗ることで、抱える幅広い加工の課題を解決することができる。そこが強みだと考えている。
そういう意味でもより幅広い顧客から相談を受けられるようにしていく。コロナ禍で直接訪問が行いづらい環境もあり、2022年1〜3月に京都に関西地域を対象としたショールームを新たに立ち上げる計画だ。これらの強みを生かし、日本でも従来にない新たな用途開拓を進めていく。
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