最新レーザー加工技術が東大柏IIキャンパスに集結、高出力ピコ秒DUVレーザーなど:FAニュース
NEDOは、2016〜2020年度にかけて実施中のプロジェクト「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発」で開発された最先端のレーザー光源や加工機を集約してレーザー加工の課題解決に寄与するプラットフォーム「柏IIプラットフォーム」を構築したと発表した。
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は2021年2月22日、2016〜2020年度にかけて実施中のプロジェクト「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発」で開発された最先端のレーザー光源や加工機を集約してレーザー加工の課題解決に寄与するプラットフォーム「柏IIプラットフォーム」を構築したと発表した。プロジェクトに参加する13法人(東京大学、産業技術総合研究所、三菱電機、スペクトロニクス、大阪大学、浜松ホトニクス、パナソニック、パナソニック スマートファクトリーソリューションズ、金門光波、千葉工業大学、レーザー技術総合研究所、ギガフォトン、島津製作所)が持つ加工品質の計測・評価技術やデータベースといった共通基盤技術を組み合わせており、最先端のレーザー光源やレーザー加工機を容易に利用できるとともに、集約されたレーザー技術と共通基盤技術およびデータベースの効果や適用可能性を検証できる。
「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発」では、さまざまな特徴を持つ、最先端のレーザー光源・加工機を開発してきた。例えば、難加工材の高品位加工を目指した今までにない短波長の高輝度レーザー加工機や、広範囲の焼き入れ加工などを可能とする高出力半導体レーザー、銅のマイクロ溶接などで期待される高出力高輝度青色半導体レーザー、加工や計測用途に期待される短波長ファイバーレーザーなどがある。
今回発表した「柏IIプラットフォーム」では、東京大学の柏IIキャンパス(千葉県柏市)と同キャンパス内の産業技術総合研究所柏センターに、「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発」で開発してきたレーザー光源や加工機を集約。既に各業界のユーザーによるテストユースを進めており、まずは最適な加工条件を引き出すためのさまざまな材料を対象とした試験加工を行い、産業界と共有できるデータの集積を開始している。
「柏IIプラットフォーム」には、266nm 20Wピコ秒レーザー加工装置(大阪大学、スペクトロニクス、三菱電機)、レーザー加熱加工装置(浜松ホトニクス)、GaN系半導体 レーザー加工装置(パナソニック、パナソニック スマートファクトリーソリューションズ)、UVファイバーレーザー装置(千葉工業大学、レーザー技術総合研究所、金門光波)、ハイブリッドArF加工試験機(ギガフォトン)、高輝度高出力青色半導体レーザー(大阪大学、島津製作所)、パルス幅可変レーザー加工装置(東京大学、産業技術総合研究所)という7台のレーザー加工装置がある。
この「柏IIプラットフォーム」に集約したレーザー光源や加工機は、プロジェクト終了後も、東京大学が産学官連携で光モノづくり協創を推進するため2017年10月に設立した「TACMIコンソーシアム」の枠組みを活用して運営を継続する予定である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 富士通スピンオフのQDレーザがロービジョン用アイウェアを量産、価格も大幅低減
QDレーザが、オンラインで会見を開き東証マザーズへの上場に向けて同社の事業展開を説明した。2006年の創業からレーザーデバイス事業を中核としてきた同社だが、株式上場で調達した資金を活用して、極めて視力の低いロービジョンの補助に有効な「RETISSAシリーズ」の量産と低価格化を実現してレーザーアイウェア事業を拡大させる方針だ。 - 月額2万7000円から利用可能、レーザー加工機のサブスクリプションサービス
コムネットは、レーザー加工機のサブスクリプションサービス「MAKES」を開始した。月額2万7000円から利用でき、ローリスクで新規事業の立ち上げや商品への付加価値付与、内製化などが可能になる。 - 3次元ファイバーレーザー加工機のフラグシップ機、新制御技術で生産性4倍に
三菱電機は、3次元ファイバーレーザー加工機「FV」シリーズ2機種を発売した。高剛性の両持ちガントリー構造、新型加工ヘッド、新制御技術の採用により生産性が向上し、自社製ファイバーレーザー発振器が加工品質を高める。 - バンドルローダーを搭載した小径パイプ専用高速レーザー加工機
ヤマザキマザックは、高精度レーザーヘッドを搭載した、小径パイプの量産向け高速レーザー加工機「FT-150 FIBER」の国内販売を開始した。バンドルローダーを搭載し、パイプ材を機械内に1本ずつ自動搬入する。 - “止まらない”板金工場を描く三菱電機、AI搭載レーザ加工機と自動仕分け機で
三菱電機は、「プレス・板金・フォーミング展 MF-Tokyo2019」(2019年7月31日〜8月3日、東京ビッグサイト)において、AI搭載で“止まらない”レーザー加工機と自動仕分けシステムを紹介。個々の機器にとどまらない、総合的な生産性向上を訴えた。 - パナソニックが溶接現場の困りごと解決へ、浜松のスタートアップと協業
パナソニックは、自律型ロボットシステムソフトウェアを手掛けるスタートアップ企業のリンクウィズとの間で、溶接をはじめとする熱加工現場におけるプロセス改善に向けたソリューション開発に関する共同事業開発契約を締結したと発表した。