富士通スピンオフのQDレーザがロービジョン用アイウェアを量産、価格も大幅低減:ウェアラブルニュース(1/2 ページ)
QDレーザが、オンラインで会見を開き東証マザーズへの上場に向けて同社の事業展開を説明した。2006年の創業からレーザーデバイス事業を中核としてきた同社だが、株式上場で調達した資金を活用して、極めて視力の低いロービジョンの補助に有効な「RETISSAシリーズ」の量産と低価格化を実現してレーザーアイウェア事業を拡大させる方針だ。
量子ドットレーザーやレーザーアイウェアを手掛けるQDレーザが、オンラインで会見を開き、2021年2月5日を予定している東証マザーズへの上場に向けて同社の事業展開を説明した。2006年の創業からレーザーデバイス事業を中核としてきた同社だが、株式上場で調達した資金を活用して、極めて視力の低いロービジョンの補助に有効な「RETISSAシリーズ」の量産と低価格化を実現するなどしてレーザーアイウェア事業を拡大させる方針だ。
QDレーザは、2006年4月に創業した富士通研究所のスピンオフベンチャーである。材料、設計、制御にわたって保有するさまざまな半導体レーザー技術を基に、最先端のレーザーデバイスを顧客に供給してきた。2010年には世界で初めて量子ドットレーザーを実用量産化しており、シリコンベースの半導体回路に光信号回路を融合するシリコンフォトニクス分野でも大きな存在感を持っている。
同社 社長の菅原充氏は「当社技術で実現したシリコンフォトニクスチップは累計1万2000個を出荷している。シリコンフォトニクス市場は、データセンターや5G基地局向けなどを中心に2025年までに年平均29%の成長が期待されており、当社の量子ドットレーザー技術は重要な役割を果たすだろう」と述べる。
この他にも、細胞分析装置であるフローサイトメーター向けレーザーデバイスでは、世界の大手メーカー2社に認定サプライヤーとして製品を納入している。10psという超短パルスレーザーを用いた非加熱のレーザー加工でも、世界第2位のメーカーにサプライヤーとして認定されるなどさまざまな実績を積み上げてきた。
これら半導体レーザー市場は2020年時点で7700億円の規模があり、今後も着実な成長が見込まれている。QDレーザとしては、2020年3月末時点で39社の顧客数を、今後は年間で20%伸ばしていきたい考えだ。
QDレーザのレーザーデバイス事業の強みは業界唯一のファブレス体制によるスケーラビリティだ。数台から数千万台まで製造規模を自在に選択でき、使用するレーザーの波長も任意に選べる。ファブレスではあるものの、技術の差異化で重要になるレーザーデバイス製造の前工程については、自社で保有する分子ビーム結晶成長装置を用いてウエハーベースで製造する体制を整えている。量子ドットレーザーも、この高い製造技術を基に原子レベルの精密な結晶成長により実現したものだ。
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