富士通スピンオフのQDレーザがロービジョン用アイウェアを量産、価格も大幅低減:ウェアラブルニュース(2/2 ページ)
QDレーザが、オンラインで会見を開き東証マザーズへの上場に向けて同社の事業展開を説明した。2006年の創業からレーザーデバイス事業を中核としてきた同社だが、株式上場で調達した資金を活用して、極めて視力の低いロービジョンの補助に有効な「RETISSAシリーズ」の量産と低価格化を実現してレーザーアイウェア事業を拡大させる方針だ。
網膜に直接映像を投影する「VISIRIUM TECHNOLOGY」
安定的に収益を確保しているレーザーデバイス事業に対して、QDレーザが新規事業として成長を期待しているのがレーザーアイウェア事業である。同事業の基幹技術となるのが、レーザーとMEMSミラーなどを組み合わせて網膜に直接映像を投影する「VISIRIUM TECHNOLOGY」である。角膜や水晶体に頼らずに視覚を得られるため、視力が著しく低いロービジョン(矯正眼鏡を装用しても視力0.05以上、0.3未満)の「見えづらい」を「見える」に変えられる。
このVISIRIUM TECHNOLOGYを製品化したのがRETISSAシリーズだ。民生福祉機器の「RETISSA Display II」と管理医療機器の「RETISSAメディカル」があり、RETISSAメディカルは国内での医療機器製造販売承認を取得している。欧州や米国でも、2021年以降に承認を得るための施策を進めているところだ。菅原氏は「ロービジョン向け機器の市場は日米欧だけでも9000億円ある。ロービジョン補助にブレークスルーをもたらすRETISSAシリーズの展開を広げていく」と述べる。
今回の株式上場は、RETISSAシリーズの事業拡大に向けた資金調達が大きな目的となっている。既に、ミネベアミツミやオーディオテクニカなどと製造委託の提携を結んでおり、これによりファブレス体制での量産と原価低減が可能な体制を整えている。「民生福祉機器のRETISSA Display IIの販売価格は約30万円だが、数千台規模の量産により直販で10万円以下に抑えられる見込みが立っている」(菅原氏)という。
この他、眼鏡量販店のZoffとの製品共同開発、加賀FEIによるRETISSAシリーズの代理店販売、参天製薬によるRETISSAメディカルの販売支援などの連携も強化している。
足元のレーザーアイウェア事業の拡大と併せて、レーザー網膜投影技術であるVISIRIUM TECHNOLOGYを他の機器にも展開していく考えだ。大型かつ高価で、医療従事者による数十分の検査時間が必要な医療機器検眼器について、小型かつ安価で、短時間の自己検診が行える新たな検眼器の開発を進めており、既に試作機は完成しているという。
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