軌跡をコントロールするレーザー加工技術、IoTによる自動化など工場の進化を訴求:金属加工技術(1/3 ページ)
アマダグループは2019年5月18日〜6月22日までユーザーイベント「AMADA INNOVATION FAIR 2019」(同社伊勢原事業所)を開催。その中で生産性と精度の両立を実現する新たなレーザー加工技術「LBCテクノロジー」搭載のファイバーレーザーマシンや、IoT(モノのインターネット)を活用した新たな工作機械の活用など、さまざまな新製品や新技術を紹介している。
アマダグループは2019年5月18日〜6月22日までユーザーイベント「AMADA INNOVATION FAIR 2019」(同社伊勢原事業所)を開催。その中で生産性と精度の両立を実現する新たなレーザー加工技術「軌跡ビームコントロールテクノロジー」搭載のファイバーレーザーマシンや、IoT(モノのインターネット)機能を標準搭載した工作機械「Vfマシン」など、新製品や新技術を紹介している。
レーザーや自動化、アフターサービスで成長へ
アマダホールディングスは2019年3月期(2018年度)の決算で売上高3381億円、営業利益453億円、当期純利益が334億円となり、いずれも過去最高の結果となるなど、好調が続いている。2021年度には売上高4000億円を目指しているが、その大きな柱として位置付けているのが「レーザー事業」「自動化事業」「アフタービジネス」の3つのである。
「AMADA INNOVATION FAIR 2019」では「進化が加速する」をテーマとし、これらの3つの重点領域を支える技術群を紹介した。
アマダホールディングス 代表取締役社長の磯部任氏は「アマダでは1980年に機械メーカーの中で先駆けてレーザー加工機を作り、現在までに累計2万台を出荷するなど、市場を切り開いてきた。さまざまな新技術を生み出してきたが今回新技術を搭載したレーザー加工機を投入し、レーザー加工機の市場拡大につなげていく。また、1990年台から取り組んできた工作機械のネットワーク化についてもさらに進化させ、さらなる自動化の拡大とともにアフタービジネスの拡大につなげていく」と述べる。
レーザー加工技術で先進性を発揮するアマダ
新たなレーザー加工技術として今回発表したのが「軌跡ビームコントロールテクノロジー(Locus Beam Control Technology、以下LBCテクノロジー)」である。LBCテクノロジーとは、レーザー光を金属の材質や板厚などに応じて最適な軌跡となるように制御する技術である。従来のレーザー加工においては、材質や板厚、加工条件により必要なレーザーのビーム径が決まってくる。ビーム径を変更するにはレンズ交換などが必要で、段取り替えに時間が必要となっていた。加えて、ビーム径を大きくするとレーザーの加工能力が弱まるため、より多くレーザー出力が必要となり、電力などのコストが大きくなるという課題などもあった。
新たにアマダが開発したLBCテクノロジーは、小さなビーム径で最高輝度出力したレーザー光をさまざまな軌跡で高速に振動させながら動かすことで、小ビーム径でもさまざまな加工を自由に行うことを実現した技術である。小ビーム径であるためエネルギー密度が高い状態で加工でき、高効率な切断などが可能となる。
加えて、もともとはエネルギー密度の高い小さなビーム径のレーザーであるために、動かす軌跡によってさまざまな付加的な効果も実現可能となる。開発を担当したアマダ 上席執行役員 板金開発本部長の山梨貴昭氏は「素早く切ることを目指し生産性を追求するような使い方や、切断面の加工品質を高めるような使い方、自動加工時の長期安定性を追求した使い方など、さまざまな使い方が実現できる」と述べている。
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