ニューノーマルで本質的課題解決を実現する「デザイン思考」とそのステップ:ポストコロナの製造業IT戦略(5)(3/3 ページ)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらした「withコロナ」のニューノーマル時代において、製造業にどのような変革が必要となるのかを考える本連載。最終回となる今回は、スモールスタートの前提として考えるべき本質的な「課題解決のステップ」について解説します。
ポストコロナの「デジタル」前提時代に向けて
さて、これまで5回にわたりニューノーマル時代における製造業IT戦略のあるべき姿について述べてきました。最後までお読みくださりありがとうございました。
世の中では、コロナ禍の影響にもかかわらず成長しているビジネスがあります。“永遠に不確実”なニューノーマル時代が到来し、未知の世界へのシフトが始まっています。実際にテレワークが増え、日本でも働き方は数年前と比べて大きく変わりました。コロナ禍のリカバリーは「デジタル」が必須となります。パンデミックが落ち着いた後の世界は、世界中のあらゆる産業でデジタル化が今以上に進んでいることが予想できます。
今までよりもはるかに不確実性の高い環境が続く中、「デジタル」化を進めるためには、「スモールスタート」で始めることが今までとは考えられないほど増えることは間違いありません。従来のように完璧なものを時間をかけて作り上げる世界というのは圧倒的に小さくなっていきます。ただ、だからといって、やみくもに数多くのスタートを切ればよいということではありません。
重要なことは「本質的な課題の解決」です。どのような課題を解決すべきで、そのためにどのようなソリューションを組み合わせるのかをしっかり考えて外さないことが重要になると考えます。そして、その課題に対して創造的な解決案を見つけるためにさまざまな方法を検討することが求められます。従来型の解決方法もありますが、今回紹介したような「デザイン思考」は企業の現在に縛られすぎずに新たなアイデアを生み出すには最適な手法だと考えます。「共感」「問題定義」「概念化」「試作」「テスト」の5つのステップで、ぜひご自身の仕事にも取り入れてみてください。
本連載で紹介してきた一連のアプローチが、皆さまのニューノーマル時代のビジネスに役立つとうれしく思います。
(連載終わり)
筆者紹介
島田祥元(しまだ あきもと)
NTTデータ グローバルソリューションズ
ビジネスイノベーション推進部 世界戦略室 室長
欧米の先進国での経験を生かし、先端トレンドソリューションを日本で活用可能な視点で実践的に適応、支援を進めている。米国(7年)、英国(2年)でコンサルタントとして活動。外資系コンサルティング企業を経て、現職。米国、欧州、アジア、南米など多数の地域で、プログラムマネジメント、海外システム導入、オフショアチームマネジメント、グローバルAMO、買収フィージビリティスタディー・買収後業務・システムインテグレーション、ソフトウェアソリューション製品開発など、幅広い案件を手掛ける。
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