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「デザイン思考でデジタル変革する」って何するの? 最初の一歩とはイノベーションのレシピ(1/5 ページ)

IoTやAIなどの先進デジタル技術を活用し、業務プロセスやビジネスモデル変革を行う「デジタル変革」の動きが加速。この動きの入り口としてデジタル変革ワークショップなどの開催も広がっている。しかし、実際に「ワークショップが何になるのか」はまだまだ見えにくい。そこで、本稿ではこうした取り組みを進める富士通の「FUJITSU Digital Transformation Center」でのワークショップの内容を通じ、製造業の取り組みにどう役立つのかを紹介する。

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 IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などデジタル技術の活用が企業内で広がり、従来にない業務プロセス改善やビジネスモデル創出への取り組みが広がっている。しかし、影響範囲が多岐にわたり、さらに企業内で関わる部門なども多くなる中で、これらの「デジタル変革」を形にしていくのは非常に難しい。

 そこで、スタート地点としてワークショップなどを開催し、考えを整理していくために現在積極的にさまざまな企業やオープンイノベーション施設などで開催されているのが、デジタル変革の土台となるワークショップである。特にITベンダーやコンサルティング企業などが数多く存在する東京都内ではここ最近非常に増えてきている。しかし、このワークショップそのものも製造業にとって「何の意味があるの?」や「何ができるの?」「どういう人が利用すべきなの?」など、なかなか見えづらいものがあり、実際に活用することが難しいという現実も存在する。

 本稿では、こうした製造業のデジタル変革における疑問を少しでも解消できるように、デジタル変革ワークショップでどういう取り組みが行われているのかを、富士通の「FUJITSU Digital Transformation Center」(DTC)でのワークショップの内容紹介を通じて説明する。具体的な内容を通じて、活用の判断としてもらいたい。

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「FUJITSU Digital Transformation Center」(DTC)のスタジオ設備の1つ(クリックで拡大)

デジタル変革の取っ掛かりとは?

 そもそも「デジタル変革」において、なぜ従来と異なるアプローチが必要になるのだろうか。デジタル変革は、IoTなどにより従来取得できなかったデータが簡単に取得できるようになり、これらを蓄積し、AIやビッグデータ分析技術で分析できるようになったことで、新たな価値を創出できるというものだ。

 ポイントになるのが「データ」である。データを基軸として、従来見えなかった部門や分野を越えた相関関係を見つけることができたり、人の経験や勘頼みだった取り組みが数値化できたりする。さらに、この「データ」が中心となることで、従来は「モノ」と「価値」を切り離すことができなかった領域でも、価値だけを提供できるようになる。例えば、「この数値をこの領域に収め続けるようにコントロールする」という価値をサービスとして提供するようなことが可能となるのである。

 これらへの期待が高まったことで、デジタル変革への取り組みが進んでいるわけだが、実際に企業の活動に落とし込んで、具体的な取り組みへと変換して実装していくのは容易ではない。企業活動は現在のビジネスの姿に最適化され、組織や体制などもそれらを実現するために効率的な形となっているからである。

 そのため、既存の枠組みで「デジタル変革の価値」を議論しても、既存のビジネスに最適化された中での組織の発想は、しがらみだらけのものとなる。「小さな改善」が生まれてくればまだよいというレベルで、顧客価値と遠いものになりがちだ。

 そこで、現在の姿とは一時的に切り離して異なる発想で事業やビジネスを考える必要が出てくる。そのツールとして、ここ最近大きな注目を集めるようになったのが「デザイン思考」である。

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