ねじ締め作業を協働ロボットで自動化、日東精工がねじ締め機で「UR+」に参加へ:協働ロボット
ねじやねじ締め機を展開する日東精工とデンマークのUniversal Robot(ユニバーサルロボット)は2021年7月15日、ユニバーサルロボットが展開する協働ロボット向けプログラム「UR+」に日東精工が参加し、ネジ締めユニット「PD400URシリーズ」を新たに発売すると発表した。
ねじやねじ締め機を展開する日東精工とデンマークのUniversal Robots(ユニバーサルロボット)は2021年7月15日、ユニバーサルロボットが展開する協働ロボット向けプログラム「Universal Robot +(以下、UR+)」に日東精工が参加し、ネジ締めユニット「PD400URシリーズ」を新たに同年8月30日に発売すると発表した。
【訂正】初出時に、記事のタイトルに誤った社名を掲載していました。お詫びして訂正致します。
協働ロボットをより簡単に幅広く
「UR+」はユニバーサルロボットのロボットアームの仕様やインタフェースをオープンにし、それらに準拠するエンドエフェクター(ハンド)やカメラ、センサーなどの周辺機器をデベロッパーが開発するプログラムである。
「UR+」製品はユニバーサルロボットが開発されたものを検証、認証するため、ユーザーやシステムインテグレーターにとっては、個々に検証する必要がなく、簡単に協働ロボットが立ち上げられる利点がある。一方で、「UR+」製品はユニバーサルロボットがグローバルで販売する仕組みを持つため、参加企業にとってはグローバルでの販路拡大などが期待できる。現在までにグローバルでUR+製品は320以上があり、400社以上で開発が進んでいるところだという。
今回新たに日東精工がこの「UR+」に参加。日東精工は大手のねじメーカーであり、この関連でねじ締め機なども数多く出荷している。このノウハウを生かし、ユニバーサルロボットの協働ロボット向けのねじ締めユニットとして「PD400URシリーズ」を発売する。
「PD400URシリーズ」は、コンパクトで狭いところでもアクセス可能としている他、高精度なネジ締めが可能な「NXドライバT3シリーズ/SD600Tコントローラー」を標準搭載し、締め付けポイントごとに異なるトルク値や回転速度を設定可能としている。また、波形処理機能やデータ収集機能を搭載しており、設定したトルク波形範囲と実際の締め付けトルク波形による締め付け結果を合否判定したり、ねじ締め不良時の原因解析に使ったりすることが可能だ。用途に合わせてマグネット式とバキューム吸着式の2種類を用意している。価格は98万円(税別)で、月間10台の販売目標を目指すとしている。
日東精工 執行役員 産機事業部 副事業部長の桐村和也氏は「協働ロボット向けのネジ締めユニットとして販売することで従来とは異なるルートでの販売が期待できる。同じ工場でも自動化が進んでいない領域などでも使用可能だ」と期待を述べる。一方、ユニバーサルロボット 日本支社代表の山根剛氏は「これまでねじ締めを手作業で行わざるを得なかった中小製造業でも協働ロボットシステムの提案が可能となる」と語る。
また、協業によるそれぞれへの期待について、山根氏は「協働ロボットとねじ締め機を組み合わせてねじ締め作業を自動化したいというニーズは以前からあったが、その頃は海外企業のものを提案せざるを得なかった。既に日本国内の多くの企業で導入されている日東精工のねじ締め機を提案できるようになることは、国内の顧客企業に向けて大きなメリットが提供できる」と語っている。一方で桐村氏は「日東精工では日本の他、中国や東南アジア、米国などでは強みを持つが、欧州は弱い。UR+による新たな販路が生まれることで、欧州をはじめとする弱い地域でのプレゼンスを高めていきたい」と述べている。
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