協働ロボットの“手”を強化、ユニバーサルロボットの「UR+」にSMCが参加:協働ロボット(1/2 ページ)
空圧機器大手のSMCとデンマークのユニバーサルロボットは2020年7月7日、ユニバーサルロボットが展開する協働ロボット向けプログラム「Universal Robot +(以下、UR+)」にSMCが参加し、協働ロボット用エアチャックを新たに発売すると発表した。「UR+」への日本企業の参加はSMCで5社目となる。
空圧機器大手のSMCとデンマークのUniversal Robot(ユニバーサルロボット)は2020年7月7日、ユニバーサルロボットが展開する協働ロボット向けプログラム「Universal Robot +(以下、UR+)」にSMCが参加し、協働ロボット用エアチャックを新たに発売すると発表した。「UR+」への日本企業の参加はSMCで5社目となる。
記念撮影をするユニバーサルロボット 日本支社代表 山根剛氏(左から2人目)とSMC 執行役員で開発5部 部長の森川文夫氏(右から2人目)、執行役員で国内営業部 部長の長谷川素永氏(右端)、開発9部 部長の石橋康一郎氏(左端) 出典:ユニバーサルロボット
協働ロボットの導入をより簡単にする「UR+」
ユニバーサルロボットは2005年にデンマークで創業。人と協調して働く協働ロボット市場を切り開いた企業として知られ、現在までに全世界で4万4000台以上の協働ロボットを展開している。製品ラインアップは、可搬質量が3kg、5kg、10kg、16kgの4種類をベースとしており、ペンダントと独自のGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)による簡単設定を特徴としている。市場占有率は「いまだに50%くらいある」(山根氏)とするなど市場を主導する立場だが、同社が現在力を入れているのが、ユニバーサルロボットが展開する協働ロボットと組み合わせてプラグ&プレイで使用できるプログラム「UR+」である。
「UR+」はユニバーサルロボットのロボットアームの仕様やインタフェースをオープンにし、それらに準拠するエンドエフェクター(ハンド)やカメラ、センサーなどの周辺機器をデベロッパーが開発するプログラムである。ユニバーサルロボットが開発されたものを検証、認証し「UR+」製品としてグローバルで販売する仕組みだ。基本的には「UR+」製品は、URロボットのティーチングペンダントを通して設定できる他、取り付けなどもユニバーサルロボット製品に最適化されているために、ユーザーやシステムインテグレーターがシステム構築にかかる費用や負担を削減できる利点がある。
ユニバーサルロボット 日本支社代表 山根剛氏は「ユニバーサルロボットではロボットとしての使いやすさを重視してさまざまな開発を進めているがロボット単体が簡単でもユーザーにとっては意味がない。ロボットを含めたシステム全体が簡単に使えてはじめて意味が生まれる。このシステム全体を簡単にしていくという発想が『UR+』の根本的な考えだ」と述べる。
広がる協働ロボット市場に向けSMCが「UR+」に参加
「UR+」への参加企業はグローバルでは既に400社以上が参加し認証製品数は245以上にも及ぶという。日本ではキヤノンを皮切りに現在4社4製品が認定を受けており、今回のSMCが5社目となる(※)。
(※)関連記事:キヤノンとユニバーサルロボット、人と共に働くロボットの“手”と“目”が協業
SMCは空圧機器の大手企業で、古くから空圧制御などを生かし「モノをつかむ」ということに取り組んできた企業である。以前から産業用ロボット向けのエンドエフェクタ―(ハンド)としても、モノを把持してつかむ「エアチャック」式、モノを吸着してつかむ「真空パッド」式などさまざまな製品を展開してきた。
今回「UR+」に新たに参加することで、SMCでは新たに協働ロボット向けのエンドエフェクタ―を強化していく方針だ。「少子高齢化による労働人口の減少や多品種少量生産への対応などを考えると、製造現場でもより一層の柔軟さが求められるようになり、協働ロボットが今後ますます必要になる。実際に用途の相談も数倍に増えてきており、今後は導入が広がる感触を持っている。その中でユニバーサルロボットは市場を開拓してきた存在であり、一緒にこうしたニーズに応えていきたい」とSMC 執行役員で国内営業部 部長の長谷川素永氏は語っている。
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