ロボットアームの直接操作で教示する、溶接現場向け協働ロボットシステム:産業用ロボット
ダイヘンは、溶接現場向けの協働ロボットシステム「Welbee Co-R」を発売する。協働ロボットのアームを直接手で動かして動作を覚えさせる「ダイレクトティーチング」により、初心者でも簡単に教示作業ができる。
ダイヘンは2020年8月3日、溶接現場向けの協働ロボットシステム「Welbee Co-R(ウェルビーコアール)」を同月から発売すると発表した。価格は、低スパッタ、延長ケーブル10m仕様の「WB-M350L」が187万円、アルミ、延長ケーブル10m仕様の「WB-P350L」が242万円(各税別)。なお、協働ロボットは含まれない。
同システムは、独自の溶接ノウハウを凝縮した簡単な溶接教示機能を搭載する。協働ロボットのアームを直接手で動かして動作を覚えさせる「ダイレクトティーチング」により、初心者でも簡単に教示作業ができる。トーチマウントにロック解除ボタン付きの教示ハンドルを設置することで、操作性を高め、細かな位置調整に対応する。
付属の半自動溶接機用リモコンにより、稼働中でもアークの確認や、溶接電流および電圧の調整ができる。ダイヤル操作のため、アークから目を離すことなく短時間で条件変更が可能だ。熟練溶接技能者が新人に溶接のノウハウを教える、技能伝授ツールとしても活用できる。
ユーザーインタフェースは、溶接条件の設定画面1ページに必要な機能を分かりやすく集約するなど、初心者でも直感的に使用できる。また、プログラム作成時には、「Welbee Co-R」ボタンをクリックするだけで、溶接開始指示、溶接開始位置、溶接終了位置など10個のコマンドが表示される。各コマンドの説明もあるため、取扱説明書なしで簡単にプログラムを作成できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ロボットのティーチング作業を自動化するAI技術を開発
NECは、ロボットのティーチング作業を自動化するAI技術「目標指向タスクプランニング」を開発した。現場作業者が作業目標を指示するだけで、最適な達成動作をロボットに自動で実行させることが可能になる。 - “人をお手本にするAI”は製造現場に何をもたらすのか
協働ロボットなど機械が人と共に働く場面が増える中で、円滑に人と協調する能力が機械にも求められるようになっている。これらの要望に応えるため、三菱電機では「人と協調するAI」を開発した。同技術により得られる価値や狙いについて、開発陣に話を聞いた。 - 研磨など“匠の技”を実演でロボットに教える機能を開発
安川電機は、人の実演によりロボットに動きを教える「実演教示機能」を開発した。研磨などの熟練作業でも容易にロボットに教示できるようになり、ユーザーの負担軽減やシステムの立ち上げ時間の短縮などに寄与する。 - 協働ロボット普及のカギは「用途別パッケージ」、2020年は“第3の道”にも期待
人口減少が加速する中、製造現場でも人手不足が深刻化している。その中で期待を集めているのがロボットの活用だ。特に協働ロボットの普及により人と同一空間を活用し新たな用途開拓が進んでいる。2020年はこれらの技術進化による普及が本格的に進む一方で、「人」との親和性をさらに高めた“第3の道”の登場に期待が集まっている。 - 人手不足対策で完全自動化は逆効果、人とロボットの協力をどのように切り開くか
人手不足に苦しむ中で、工場でもあらためて自動化領域の拡大への挑戦が進んでいる。その中で導入が拡大しているのがロボットである。AIなどの先進技術と組み合わせ、ロボットを活用した“自律的な全自動化”への取り組みも進むが現実的には難易度が高く、“人とロボットの協調”をどう最適に実現するかへ主流はシフトする。 - 協働ロボット、ロボットシステムに残された課題と未来
協働ロボットを現場で活用するのにどのような工夫が必要か――。ロボット技術の総合展示会「2017国際ロボット展」では、ロボットメーカーおよびユーザー企業によるパネルディスカッション「ロボットフォーラム2017」が実施され、協働ロボットの意義について語った。 - 工場自動化のホワイトスペースを狙え、主戦場は「搬送」と「検査」か
労働力不足が加速する中、人手がかかる作業を低減し省力化を目的とした「自動化」への関心が高まっている。製造現場では以前から「自動化」が進んでいるが、2019年は従来の空白地域の自動化が大きく加速する見込みだ。具体的には「搬送」と「検査」の自動化が広がる。