ソニーの1Q決算は増収増益、新型コロナの巣ごもり需要でゲーム事業が好調:製造マネジメントニュース
ソニーは2020年8月4日、2021年3月期(2020年度)第1四半期の業績と、延期していた2020年度通期業績見通しを発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で事業ごとに明暗が分かれたものの、巣ごもり需要などでゲーム関連事業が好調で第1四半期の結果としては好業績となった。ただ通期業績見通しとしては増収減益と慎重な見通しを示した。
ソニーは2020年8月4日、2021年3月期(2020年度)第1四半期の業績と、延期していた2020年度通期業績見通しを発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で事業ごとに明暗が分かれたものの、巣ごもり需要などでゲーム関連事業が好調で第1四半期の結果としては好業績となった。ただ通期業績見通しとしては増収減益と慎重な見通しを示した。
ゲーム事業が好調だった第1四半期
ソニーの2020年度第1四半期業績は、売上高が前年同期比2%増の1兆9689億円、営業利益が同1%減の2284億円、税引き前利益が同38%増の3199億円、当期純利益が同53%増の2333億円という結果となった。
PS4などゲーム事業を展開するゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野が好調で、売上高は、同32%増の6061億円、営業利益が同68%増の1240億円となっている。「ゲームタイトルとしてもヒット作品があった他、COVID-19による巣ごもり需要があり、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークそれぞれの分野で増収となった」(ソニー 副社長兼CFOの十時裕樹氏)。ネットワークサービスであるプレイステーションプラス会員数は2020年末に4500万人に到達したという。
一方でCOVID-19の影響が悪い方向で色濃く受けたのが、テレビやデジタルカメラなど民生電気製品を展開するエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)分野である。売上高は同32%減の3318億円、営業損益は342億円悪化し91億円の損失となり、赤字に転落した。ただ、苦戦が続いていたスマートフォン端末などのモバイル事業については110億円の黒字を確保したという。「デジタルカメラやテレビなどの販売台数減少の影響を受けた。ただ、現在はサプライチェーンの復旧はほぼ完了しており、顧客需要も回復してきている。中南米やアジアなどの回復はやや遅いが、欧米と日本の回復は予想より早い」と十時氏は語っている。
同様にマイナスの影響を受けたのがCMOSイメージセンサーなどを扱うイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野である。売上高は同11%減の2062億円、営業利益は同49%減の254億円となった。全世界的な景況感の悪化により同社製イメージセンサーが多く採用されるスマートフォン端末の販売が悪化した他、ハイエンド製品が売れなくなることで、イメージセンサーのモデルミックスも中低級モデルにシフトし、採算が悪化したことが要因だ。ただ「この傾向は長期的なトレンドとは考えてはいない。中長期的に見た場合は大判化、多眼化の傾向やカメラを高度化していく動きは変わっていないと考えている。ただ、2020〜2021年度の範囲で考えた場合、中低級機が売れる傾向が出ているのでそこに最適化されたイメージセンサーを振り向ける必要がある」と十時氏は考えを述べている。
2020年度は増収減益
2020年5月の決算発表時には延期としていた2020年度通期の業績見通しについては、売上高がほぼ前年並みとなる8兆3000億円、営業利益が同27%減の6200億円、税引き前利益が同14%減の6850億円、当期純利益が同12%減の5100億円とした。5月の発表時は「営業利益で少なくとも3割程度は減益になることが試算されている」(十時氏)としていた(※)が、おおむね見込み通りの業績見込みとなった。十時氏は「5月の発表時はCOVID-19の影響について一律の前提を作りそれを基に試算した形だが、今回発表した見込みは各事業の見込みを積み上げて蓋然性の高いシナリオで作ったものだ」と語っている。
(※)関連記事:減収減益のソニー、2020年度は新型コロナで“少なくとも”営業利益3割減へ
第1四半期も好調だったG&NS分野については、売上高は同26%増の2兆5000億円と大幅な増収を見込むが、2020年末商戦で投入を予定している家庭用コンソールの新たなプラットフォームとなるPS5の販売費や一般管理費の増加などの影響があり、営業利益は前年度内の2400億円を見込む。PS5についてはCOVID-19による影響はそれほど受けず「生産もソフトウェア開発も予定通り。年末商戦に計画通り投入する」(十時氏)としている。
第1四半期は苦戦が目立ったEP&S分野については、回復は進むものの第1四半期のマイナスを吸収しきれず売上高は同6%減となる1兆8700億円となる。営業利益も同32%減の600億円を見込んでいる。十時氏は「オペレーション面ではレジリエントな事業構造への転換を図る。また『リアリティー、リアルタイム、リモート』を極める製品やサービスで事業の進化に取り組む」と語っている。
I&SS分野については、売上高は同7%減の1兆円、営業損益は45%減の1300億円をみこんでいる。「イメージセンサーについては、成長を見こんで設備投資や研究開発などの準備を進めてきたが市場環境が変わったためにそれに対応していく必要がある」と十時氏は述べる。具体的には、設備投資のタイミングの見直しや研究開発テーマの選別、顧客基盤の拡大に取り組むとしている。
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