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ソニーがイメージセンサーで次に起こすブレイクスルー小寺信良が見た革新製品の舞台裏(4)(1/5 ページ)

さまざまな映像製品に革新をもたらし続けているソニーのCMOSイメージセンサー。「自分越え」の革新を続けるその裏側には何があるのか。革新製品の生まれた舞台裏を小寺信良氏が伝える。

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 今までにない新しい製品のアイデアや発想はどこから生まれてきたのか。またそのアイデアを形にしていくにはどういう苦労があるだろうか。「小寺信良が見た革新製品の舞台裏」では、製品企画や設計・開発の担当者へのインタビューを通じ、革新製品の生まれた舞台裏に迫る。今回は、イメージセンサー市場を席巻するソニー「Exmorシリーズ」のここまでとこれからについてリポートする。

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ソニーの積層型CMOSイメージセンサー「Exmor RS」

カメラ製品を革新に導くイメージセンサーの進化

 デジタルカメラやビデオカメラの進化をもう15年ぐらい見てきたが、そのほとんどはイメージセンサーによるイノベーションによってけん引されてきたと言っても過言ではないだろう。昔はイメージセンサーといえばCCDイメージセンサー(以下、CCD)のことであり、それ以外の選択肢はありえない状況だったのだが、2004年ごろから一部のデジタル一眼レフカメラで、600〜800万画素のCMOSイメージセンサー(以下、CMOS)が採用され始めていった。

 2005年にはビデオカメラでも採用が進み、ソニーからはCMOSの三板式「DCR-PC1000」や、CMOS単板ながらHD解像度で撮影可能な「HDR-HC1」が商品化された。当時はCCDに変わるセンサーのトレンドとして、たくさんのメーカーが参入したわけだが、2007年にソニーが「Exmor」を製品化。センサーチップ内でAD変換する「オンチップ・カラムAD変換」と「デュアルノイズリダクション」を搭載して、低ノイズ化と高速転送を実現した。

 また2008年には、従来比で感度が2倍となる裏面照射型CMOSの開発に成功。これがのちにExmor Rとして商品化されることになる。これ以降イメージセンサーの世界では、「勝負あった」感が出てきた。

 現在日本で手に入るデジタルカメラで、裏面照射型(BSI-Back Side Illumination)CMOSが採用されているものは、ほとんどがソニー製センサーのはずである。小型かつ高画質ということで、スマートフォンのカメラにもよく採用されている。iPhoneにも以前から採用されているのは、比較的よく知られているところである。

 裏面照射はスマートフォン向けのような小型センサーから1インチまで、さらに2015年8月に発売された「α7R II」では、35mmフルサイズのExmor Rが搭載され、話題を集めたのも記憶に新しいところだ。

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「α7R II」 出典:ソニー

 2007年の開発発表から8年が経過した今、Exmorシリーズはどこへ向かおうとしているのか。ソニー デバイスソリューション事業本部イメージングシステム事業部副事業部長の大木洋昭氏と、同IS事業戦略部統括部長の大場重生氏に話を伺った。

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