“ソニーらしさ”を再定義、CMOSイメージセンサーはエッジAIを組み込み新価値創造:製造マネジメントニュース(1/3 ページ)
ソニーは2019年5月21日、経営方針説明会を開催。コンテンツの入り口から出口までをカバーするテクノロジーカンパニーとしての立ち位置をあらためて明確化した他、次世代コンソールに注目が集まるゲーム関連事業や、CMOSイメージセンサーを中心とした半導体事業の取り組みについて紹介した。
ソニーは2019年5月21日、経営方針説明会を開催。コンテンツの入り口から出口までをカバーするテクノロジーカンパニーとしての立ち位置をあらためて明確化した他、次世代コンソールに注目が集まるゲーム関連事業や、CMOSイメージセンサーを中心とした半導体事業の取り組みについて紹介した。
“ソニーらしさ”を再定義
ソニーでは2018年度(2019年3月期)から吉田憲一郎氏が代表取締役社長 兼 CEOに就任して新経営体制となり、2017年度から2期続けて過去最高益更新となるなど、好業績を実現した※)。
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好調な結果を残した2018年度だったが、吉田氏が最も大きな成果として強調したのが、新たにソニーの存在意義を再定義したことである。「業績的が良かったこと以上に、ソニーとしての存在意義を作成し示せたことが最も重要だと考えている。世界中の多くの社員と、ソニーの社会的な存在意義を共有できたと感じている」と吉田氏は語る。
あらためて示したソニーとしての存在意義は「Fill the world with emotion, through the power of creativity and technology.(クリエイティビティとテクノロジーの力で世界を感動で満たす)」である。2018年5月の経営方針では「感動」をキーワードとした他、人を中心とし「人に近づく」という方向性を柱と位置付けた※)が、それをさらに分かりやすく伝わる形とした。
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吉田氏は「ソニーとは何かというと、テクノロジーに裏打ちされたクリエイティブカンパニーだ。テクノロジーが重要だが、あくまでも中心は人だといえる」と考えを述べている。
ゲーム事業ではマイクロソフトと提携
ここ数年の好業績の原動力となっているのがゲーム&ネットワークサービス部門である。現行のゲームコンソールであるPS4は2019年度中に累計販売台数1億台を突破する見込み。さらにネットワークサービスであるPSNについては月間アクティブユーザー9400万以上となるなど、これらが土台となり安定した収益性を確保できる事業となっている。
同事業の展開について吉田氏がポイントとして挙げるのが「Immersive(没入感)」と「Seamless(いつでもどこでも)」だ。「さまざまな形でゲームを楽しむ動きが広がる中で、ゲームコンソールでは没入感が大事な要素となる。今までもこの特徴は大事にしてきたが、次世代機でもこの特徴は引き継いでいく。演算性能、専用のSSD搭載などにより飛躍的に描画スピードの向上を実現し、ゲームプレイに最適な環境を提供する」と吉田氏は語る。
一方で「Seamless」については、現在もPS4をPS4リモートプレイや「PS Now」などのストリーミングサービスなどを展開してきたが、さらに今後強化していく方針である。ストリーミングゲームを展開するには「ネットワーク技術」や、ストリーミングに最適な「新しいゲームの発見」、ストリーミングに合った「コンテンツラインアップ」などが必要になる。「ソニーではストリーミングゲームの展開を過去5年にわたって提供してきたが、まだ試行錯誤を進めている状況だ。コンピューティング、ストリーミング、クラウド、5Gなど最新技術でソニーのユーザー体験を強化していく」と吉田氏は考えを述べている。
現状ではゲームコンソールを中心とするが、将来的にストリーミングゲームが中心となることを見越して並行させて取り組みを進めていく。ストリーミングゲーム強化に向けて大きなポイントとなるのが、マイクロソフトとの提携である。「現時点では幅広く深く議論するために覚書(MOU)を結んだ段階」(吉田氏)としているが、「ネットワークの遅延の問題やエンコードの問題、ビジネスモデルの問題など、検討すべき課題はいろいろ存在している。マイクロソフトとの協業ではこのストリーミングのソリューションを中心とし、話を進めていく」と吉田氏は協業について述べている。
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