ソニー決算は税引前利益が初の1兆円超え、半導体は1000億円の設備増強を検討:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
ソニーは2019年4月26日、2019年3月期(2018年度)の業績について発表。営業利益、税引前利益、純利益ともに過去最高を更新。税引前利益では初の1兆円超えとなる好業績を実現した。
ソニーは2019年4月26日、2019年3月期(2018年度)の業績について発表。営業利益、純利益ともに過去最高を更新し、税引前利益では初の1兆円超えとなる好業績を実現した。
変化の大きな1年で手にした手応え
ソニーの2018年度連結業績は、売上高が前年度比1%増の8兆6657億円、営業利益が同22%増の8942億円、税引前利益が同45%増の1兆116億円、当期純利益が同87%増の9163億円という好結果となった。
ソニーでは、2018年4月1日から吉田憲一郎氏が代表取締役社長 兼 CEOに就任し※)、新経営体制となった初めての決算となった。
その手応えについてソニー 代表執行役 EVP CFOの十時裕樹氏は「高い利益水準の維持を目指して取り組んできたが、最高益の更新など結果が出た1年となった。それぞれの事業を見ても事業環境の大きな変化があったが、各事業に対する取り組みの手応えを確認できた。中期的に見ても成長を続けられるポテンシャルを感じられた」と述べている。
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実際にセグメント別に見ても、スマートフォン端末を中心としたモバイル事業を除くと、強い収益体質を維持している。特にゲームを中心としたゲーム&ネットワークサービス分野の成長は著しく、PS4ハードウェアの減収はあったものの、ゲームソフトウェアや有料会員サービスの増加により、大幅な増収増益を実現した。ソニーではリカーリングビジネス(循環型ビジネス)強化の方針を打ち出しているが、ゲーム事業はその成功事例の1つとなっている。会員制ストリーミングサービスの「PS Now」は全世界で会員が毎年40%ペースで増加し、現在では70万ユーザーを抱えるという。これらの継続的収入がゲーム事業の収益を押し上げた。
ゲーム事業ではPS4の次の世代のゲームコンソールに注目が集まるが、次世代機にかける費用については「2018年度のゲーム&ネットワークサービス分野の営業利益は3111億円で、2019年度の見込みは2800億円。その差分(311億円)のほとんどが次世代機に対するものだ」(十時氏)としている。
また、半導体事業については、カメラモジュール事業の減収や2017年度の一時的な収入が減少した影響があり増収減益となったが、手堅く大きな利益を得られる体制となっている。主力のイメージセンサーの用途であるスマートフォン端末は市場全体が頭打ちの状況となっているが「複数のカメラを搭載する多眼化の動きが進んでいる他、中級機でも大判化が進んでおり、イメージセンサー事業として、スマートフォン端末の出荷台数にそのままリンクするようなものではなくなってきている。こうした市場の動きは、当社にとっては追い風となっている」と十時氏は述べている。
これらの引き続き強い需要に対して生産能力の増強も検討を開始している。「生産能力に対する生産量については、2018年度の第4四半期はフル稼働には届かない状況だったが、2019年度第1四半期に入ってからはフル稼働の状況が続いている」(十時氏)としており早期の増強判断が求められる状況である。増強を行う場合は新たな工場用地を取得するのではなく「既存の用地内に設備の増設などを行うことを検討する」(十時氏)。仮に増強を行った場合、設備投資額としては1000億円程度を想定しているという。半導体についての設備投資の今後について十時氏は「2021年度までは急速に需要が増えるため対応が必要だが、2022年度以降は緩やかな伸びとなり設備投資費用も下がると見ている」と述べている。
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