「感動」を再定義、ソニーが考える“インターネットの脅威”の乗り越え方:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
ソニーは2018年5月22日、新たに吉田憲一郎氏が代表取締役社長 兼 CEOになって初となる、2019年3月期(2018年度)〜2021年3月期(2020年度)の中期経営計画を発表。3年間の累計営業キャッシュフローを前3カ年比で5000億円以上増加させ、2兆円を目指すとした。
ソニーは2018年5月22日、新たに吉田憲一郎氏が代表取締役社長 兼 CEOになって初となる、2019年3月期(2018年度)〜2021年3月期(2020年度)の中期経営計画を発表。3年間の累計営業キャッシュフローを前3カ年比で5000億円以上増加させ、2兆円を目指すとした。
過去最高の売上高と営業利益を更新
ソニーは2018年3月期(2017年度)の業績が、売上高が前年度比12.4%増の8兆5440億円、営業利益が同2.5倍の7349億円、税引き前利益が同2.8倍の6990億円、当期純利益が同6.7倍の4908億円となり、過去最高の売上高と営業利益を達成している※)。この好業績を受けて、経営不振からの変革を推進してきた平井一夫氏が会長へ退き、吉田氏が新たな社長となる経営のバトンタッチを行った。
※)関連記事:ソニー過去最高業績もスマホ事業が赤字、それでも続ける理由は「5G」
2018〜2020年度の中期経営計画は、吉田体制となって初となるが、吉田氏はあえて平井体制から数えて3回目となる「第3次 中期経営計画」とし、平井体制との連続性を示した。吉田氏は「平井体制で訴えた“感動”というビジョンは変わらない。また、平井体制で訴えてきたソニーの変革については、これからも続く。それを示したかった」と述べている。
吉田氏は社長交代の発表時に「バランスシートの改善とグローバルでの競争力は課題だ」とし時価総額の上位にあるアップルやAmazon.com、Googleを擁するアルファベットやFacebookなどとの競争に危機感をにじませていた※)。
※)関連記事:ソニーが20年ぶりの好業績、改革やり遂げた社長の平井氏は退任へ
吉田氏は、ソニー創業者の1人である盛田昭夫氏の「ソニーはこれまで多くのことを米国から学んできた。米国を追い越したと思っている日本企業もあるかもしれない。しかしソニーは今もう一度謙虚に米国から学ぶべきだ」という言葉を紹介。「1993年のニューヨークでのこの言葉は、今思うとインターネットによる世界の変化を示していたように思う。数多くのインターネット企業がこの前後で生まれ、ソニーは1997年に(2017年度に越えるまでは)過去最高の業績を達成。ただこのインターネットの脅威が経営に深刻な影響を与え始めたのは21世紀に入ってからだった」とあらためて危機感を訴えている。
こうした中であらためてソニーのミッションとして「感動」を強調。「(平井体制と比べて)特に色は出してはいない。“感動”というビジョンも変わらない。ただ、それを突き詰めていくというのが(新体制としての)メッセージだ」と吉田氏は述べ、3つの事業領域におけるそれぞれの方向性を示した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.