新型コロナでもソニーの基軸は「人」、イメージング&センシングでNo.1目指す:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
ソニーは2020年5月19日、2020年度の経営方針説明会を開催した。次世代機PS5の市場投入が期待されるゲーム関連事業に加え、マイクロソフトとの協業を発表したセンシング事業などの説明を行った。
イメージング分野ではマイクロソフトと協業
エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション事業では、特にCOVID-19の影響で需要の高まるリモートソリューションの取り組みを進める方針だ。現在COVID-19により映画やドラマの撮影、アーティストのライブなどが延期、中止になっているが、こうした状況はCOVID-19の感染拡大収束後も続くと予想される。これを乗り越える上で、これまで同社が培ってきた音や映像、通信技術をベースにした撮影や中継、編集のリモート化が役立つ可能性があるという。またメディカル事業ではイメージング、ディスプレイ、メカトロニクスの技術を生かして、引き続き外科医療分野の技術開発などを行う。
イメージング&センシングソリューション事業では、スマートフォン市場の縮小に伴って2021年度以降の設備投資計画は慎重に検討する必要があるとした。一方で吉田氏は「イメージング領域ではグローバルNo.1を、センシング領域でもグローバルNo.1を目指す。特にスマートフォンのカメラの多眼化は継続的に進んでおり、安定した市場になると予想する。車載向けセンシングの開発にも引き続き取り組む」とも語った。
また、CMOSセンサーをはじめとするイメージングセンサーについてはソニーの強みである積層技術を生かしつつ「人が見るためだけにイメージングデータを取得するのだけでなく、AI(人工知能)や機械が学習して判断するためのデータを取得するセンサーとして、幅広いアプリケーション開発に取り組んでいきたい」(吉田氏)とした。ソニーは経営方針説明会と同日の2020年5月19日にマイクロソフトとの協業に合意し、法人向け映像解析ソリューションなどの用途で利用可能な、マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Azure」のAI機能を、CMOSセンサーとAIチップを組み合わせた新型イメージングセンサー「IMX500」で活用するための開発などで協力を進める予定を発表している。
またソニーはAI開発のエンジニアで構成された研究開発組織「Sony AI」も設立しており、同社の強みであるイメージングやセンシング、ゲーム領域の研究を行う他に、食研究の一分野であるガストロノミー分野など複数のフラグシッププロジェクトを遂行していく予定だ。
なおエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション事業については、2020年8月に開催予定の第1四半期決算発表の後、会見を開催して改めて説明する予定だという。
サプライチェーンよりもデマンド側でコロナの影響が大きい
吉田氏は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的拡大による事業への影響について「現在当社社員もテレワークを余儀なくされているが、その分『音と映像のコンテンツを通じて感動を送り届ける』という、当社事業が持つ社会的意義を感じている」と考えを述べた。
またCOVID-19が各事業領域にもたらす影響については、事業領域によって被害が表面化する程度にばらつきがあるとした上で「例えばエレクトロニクス事業ではメキシコの工場や欧州の工場が停止しており影響は出ているが、正直なところ、サプライチェーンへの被害の程度はそれほど大きなものではない。むしろ企業や消費者の買い控えによる需要面での悪影響が大きい」(吉田氏)と説明した。
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