DXで取り組む「賢くつながる職場」、コト売り企業への脱皮を図るコニカミノルタ:製造業がサービス業となる日(2/2 ページ)
コニカミノルタは2020年1月28日、デジタル変革(DX)に関連する戦略発表を行い、デジタル技術を使った新たな「働き方」として「インテリジェントコネクテッドワークプレース(Intelligent Connected Workplace)」を打ち出し、このコンセプトをベースにさまざまなデジタルソリューションを展開することを発表した。
ワークプレイスハブの国内本格展開を開始
「Workplace Hub」は、複合機にサーバを加えたハードウェアを提供し、中小企業向けのITサービス基盤としての展開を目指すものである。オフィス内に必ず設置されるという特徴を生かし、特に中小企業においてITサービスの中核機器としての提案を推進する。2018年10月からは欧米で販売を行い、2019年4月からは日本でもタワー型の「Workplace Hub Entry」の製品提供を開始している。
コニカミノルタではこの「Workplace Hub」を核に、デジタルワークプレースを実現するソリューションベンダーとしての地位を確立していく考えである。
コニカミノルタ 執行役、コニカミノルタジャパン 取締役副社長 情報機器事業管掌 大須賀健氏は「コニカミノルタがITベンダーになるというわけではなく、そのつもりもない。ただ、事務機屋としての顧客への寄り添い方がある。中小企業でもさまざまなデジタルソリューションが必要になっているが、大手のITベンダーやシステムインテグレーターからは『見向きされない』という声を聞いている。こうした中小企業の支援は事務機屋だからできる領域だと考えている」と語っている。
日本向けでは独自機能を開発
この取り組みの中核となるのが、2020年5月に発売する複合機一体型の「Workplace Hub Smart」である。「Workplace Hub Smart」は、複合機と「Workplace Hub プラットフォーム」を統合し、複合機機能とともにITサービスやIT保守、運用をシームレスに統合したサービスを提供するものである。月額課金式と従量課金式を組み合わせて提供し、用途に合わせた料金体系を選ぶことができるという。
「Workplace Hub」発表時から同様のコンセプトのハードウェアはあったが、日本向けに投入するのは新規開発した製品となる。従来モデルはサーバOSがLinuxだったが、日本向けはWindowsを搭載。また、複合機についても最新モデルに入れ替えを行っているという。「国内でタワー型を先行展開してきた知見などから、日本ではWindowsアプリケーションを使う場合が多いということなども分かり、必要な機能などを搭載した」と大須賀氏は述べている。
2018年から展開している欧米では「オールインワン型とタワー型の比率は2:1くらいで、オールインワン型が多い。事務機メーカーとしての強みが生きているといえる」と仲川氏は述べている。国内についても「オールインワン型の比率の方が高くなるだろう。3分の2以上はオールインワン型が占める」と大須賀氏は語っている。
また、「Workplace Hub」上で動く「Workplace Hub Platform Ready アプリケーション」なども用意。2020年春には7社からアプリが提供される予定だという。
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