“暮らしアップデート”の基盤担うパナソニック電材事業、そのモノづくり力(前編):製造業がサービス業となる日(2/2 ページ)
“暮らしアップデート業”を掲げるパナソニックだが、その基盤を担うと見られているのが電設資材事業である。その戦略と、中核工場である瀬戸工場のモノづくり力を前後編に分けて紹介する。
IoT、AI活用による空間ソリューション化を実現する製品群
これらのIoT、AI活用により、空間ソリューションを具現化する製品として展開している製品の1つが、HEMS対応のスマート分電盤「スマートコスモ」や「AiSEG2」などである(※)。
「スマートコスモ」は、住宅分電盤内の全回路に分岐電流センサーを標準搭載し、通信ユニットや「AiSEG2」を組み合わせることで、家庭内のエネルギー見える化やさまざまな制御を実現するものである。
(※)関連記事:20社30機種では不十分、家庭用IoT普及のカギを握る「ECHONET Lite AIF認証」
さらに、タッチポイントを強化する新商品として新たに展開するのが配線器具「アドバンスシリーズ」の新モデル「リンクモデル」である。
「リンクモデル」は、家電、住宅設備機器のIoT化に対応し、スマートフォンやタブレット、スマートスピーカーで個別に照明のON/OFF、調光ができる製品である。生活シーンに合わせて、家中の照明を制御しさまざまな点灯パターンを実現することなども可能である。通常の照明用スイッチの機能などの他、静電容量式のタッチパネル技術を採用。さらに無線通信技術は特定小電力無線を使用している。外出時に、一括OFF発信器で家中の照明をまとめて消灯することなども可能だ。
また、熱線センサー付き自動スイッチ「かってにスイッチ 高天井用」を開発。「かってにスイッチ」シリーズは、人が近づくと自動点灯、離れると自動消灯する製品で1988年の発売以来センサー機能を強化してきたことが特徴だ。新製品は工場や施設など高天井に対応した他、レンズの性能を高めたことや学習機能付き検知回路を搭載したことで「微動検知」を実現し「人がいるのに動かなかったために消灯する」という状況を避けられるという。
これらのように、センシング技術やIoTを活用した製品のラインアップ拡充を進め、まずはタッチポイントを強化し、その後これらで得られるデータなどを生かして総合的なソリューション化を進めていく発想である。
白澤氏は「暮らしアップデートの考えの下、パナソニック内での横連携が加速度的に進んでいる。ハウジングやライティングなどを全て組み合わせて快適性を実現するのに何が必要かを考えていく。家の中のタッチポイントの確保はできているので、そこにどういう価値を新たに加えられるのかを検討していく」と語っている。
海外での展開も強化し2030年度には4000億円に
その他、海外では、中国、韓国、台湾、ベトナム、インドネシア、タイ、インド、トルコなど8工場を展開し、地産地消での販売拡大を進めていく。特にインドやトルコからは、アフリカや中東などの地域にも販売を狙えるため、これらの地域の新規開拓を進める。これらの取り組みにより、電設資材事業の2018年度の売上高が約2000億円であるのに対し、2030年度には約4000億円に拡大するとしている。
前編ではパナソニックの電材事業の取り組みについて紹介したが、後編では電材事業の中で電路機器のマザー工場と位置付けられているパナソニックスイッチギアシステムズ 瀬戸工場のモノづくり革新について紹介する。
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