“暮らしアップデート”の基盤担うパナソニック電材事業、そのモノづくり力(後編):スマート工場最前線(1/4 ページ)
“暮らしアップデート業”を掲げるパナソニックだが、その基盤を担うと見られているのが電設資材事業である。後編では電路機器の中核工場であるパナソニックスイッチギアシステム 瀬戸工場のモノづくり力について紹介する。
「家庭の中のタッチポイント強化」を打ち出すパナソニック。その大きなポイントを握るのが、パナソニック ライフソリューションズ社 エナジーシステム事業部が扱う、配線器具や電路機器、配管機材などの電材製品群である。前編では、高シェアを握るこれらの電設資材製品の強みを生かした製品進化とソリューション化について紹介したが、後編では、電路機器製品のマザー工場である、パナソニックスイッチギアシステムズ 瀬戸工場(愛知県尾張旭市)のモノづくり力について紹介する。
電路機器のマザー工場と位置付けられている瀬戸工場
パナソニックの電設資材事業では、主に配線器具、電線管、電路機器の3つの製品分野が中心となっているが、配線器具の津工場(三重県津市)、電線管の茨城工場(茨城県石岡市)とともに、電路機器では瀬戸工場がマザー工場として位置付けられている。
瀬戸工場の敷地面積は3万m2、建物の床面積は4万1500m2で、従業員数は約480人である。国内向けの分電盤、海外向けのブレーカーなどを製造している。
瀬戸工場は体制の変遷はあるものの、1935年に設立された歴史ある工場である。もともとは配電関連製品に陶器が使われていたことから、“やきものの町”である瀬戸氏周辺での工場建設が検討され、瀬戸工場が生まれたという。
少量多品種化と大量生産の両面が必要な電路機器製造
電路機器は、同じ製品を大量に作るコンパクトブレーカーのような製品もあれば、これらを組み合わせて多品種少量で製品を作る住宅用分電盤などの製品もあり、これらを効率よく製造できる仕組みが必要になる。
最終製品に当たる分電盤などは家庭や住宅などの機能に合わせたカスタマイズが必要となり基本的には少量多品種生産となるため、人手による組み立て生産が中心となっている。一方で、分電盤内で作るコンパクトブレーカーは基本的には一定の仕様となっているので、量を作ることが可能となるため、機械による自動化が進められる。
瀬戸工場ではこれらを組み合わせて最適な生産体制を構築するとともに、自動化やIT化を進めてさらなる高度化に挑戦している。
パナソニックスイッチギアシステムズの代表取締役社長である矢尾和基氏は「住宅盤事業では短納期、適正価格、高品質などを特徴とし、市場の要求に対して細やかな対応を実現できている。これらの取り組みで過去10年間でも10ポイント程度シェアを向上させることができている。こうしたカスタム品の短納期化や適正価格化、品ぞろえなどの実現にはモノづくり現場の取り組みが大きく貢献している」と強みについて語っている。次ページからは具体的な工場での取り組みを紹介する。
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