この記事は、2019年7月11日発行の「モノづくり総合版 メールマガジン」に掲載されたMONOistの編集担当者による編集後記の転載です。
挫折したからこそ敏感に反応してしまった「家庭に普及」というワード
先日、読売新聞の日曜朝刊に「3Dプリンター 家庭に普及」という記事が掲載されていました。紙面の詳しい内容は割愛しますが、FDM(熱溶解積層)方式の3Dプリンタで電動工具用の冶具を製作している方、そして光造形方式の3Dプリンタで登山グッズなどを製作している方のお話が掲載されていたと記憶しています。
この記事を読んでまず感じたのが“違和感”です。こうした見出しが躍っていたのは数年前のいわゆる「3Dプリンタブーム」のころで、当時、5〜10万円台で購入できるデスクトップ型の家庭用3Dプリンタが登場し、TV番組などでも頻繁に取り上げられ、「1家に1台」みたいな言われ方もされていました。しかし、ふたを開けてみるとブームは一過性のもので、実際に使いこなせる人はごく一部の限られた人だけでした。
製造業をはじめとするモノづくりの世界では、古くからラピッドプロトタイピング(RP)の手段として活用されてきた3Dプリンタですが、それと同じように個人や家庭でモノづくりができるのかというと、そう簡単ではありません。そこには、大きく3つのハードルがあると筆者は考えます。
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