この記事は、2019年4月16日発行の「メカ設計 メールマガジン」に掲載されたMONOistの編集担当者による編集後記の転載です。
盛り上がる「ジェネレーティブデザイン」の話題
ここ最近のCAD業界のトレンドといえば、「ジェネレーティブデザイン」が挙げられるでしょうか。CADベンダー各社も既存の製品ラインアップに同機能を搭載したり、同技術を保有する企業を買収し、ロードマップに組み込んだりと、新たな設計アプローチの1つとしてジェネレーティブデザインに関する機能を提供する動きが活発化しています。
記憶に新しいのは、ハイエンド3D CAD「Creo」を展開するPTCの動きです。2018年11月、同社はAIベースのジェネレーティブデザイン技術を有する米国のベンチャー企業Frustum(フラスタム)を約7000万ドルで買収し、大きな話題となりました。同社は、今後数年かけてフラスタムの技術をCreoに完全統合する方針を掲げ、2020年発表予定の「Creo 7.0」にその技術の一部が組み込まれるとしています(関連記事:PTCはなぜ設計プロセスにおけるシミュレーション技術の活用に注力するのか)。
同じくハイエンド3D CADの「CATIA」も、トポロジー最適化(位相最適化)を使ったデザイン生成機能として「Function Driven Generative Designer」と呼ばれる形状最適化の設計アプローチを提供していますし、「NX」を展開するシーメンスPLMソフトウェアも「Generative Engineering」と呼ばれるコンセプトを発表し、ジェネレーティブデザイン関連機能の強化に力を入れています。
ただ、(恐らくですが)多くの方が「ジェネレーティブデザイン」と聞いて、真っ先に思い浮かぶCADベンダーはオートデスクではないでしょうか(関連記事:ジェネレーティブデザインって何? Fusion 360のエバンジェリストに聞いた)。同社は他に先駆けて、早くからジェネレーティブデザインのコンセプトを掲げ、さまざまな情報発信をしてきました(少なくとも対メディアに対しては)。そして、特にその印象を強くしたのが「Fusion 360」であり、実際にその存在感を高めています。
増えてきた「ジェネレーティブデザイン」を適用した国内事例
ご存じの方も多いかもしれませんが、ここ最近、国内での採用事例が立て続けに発表され、Fusion 360のジェネレーティブデザインを適用した“実物”を目にする機会が増えてきました(以降で簡単にご紹介したいと思います)。
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