この記事は、2019年5月21日発行の「メカ設計 メールマガジン」に掲載されたMONOistの編集担当者による編集後記の転載です。
3Dプリンタブームに踊らされた人、冷静に見ていた人
3Dプリンタやレーザーカッターなどのデジタルファブリケーション技術がファブラボやメイカースペースなどの存在によって身近になってきた半面、「かつてほどの盛り上がりが感じられない」と思われている方も多いことでしょう。筆者自身も取材対象として、デジタルファブリケーションや個人のモノづくりを取り上げる機会が減ってきたなぁと感じています。
数年前の3Dプリンタブームによって一家に1台が当たり前で、誰でも簡単に好きなモノを自由に作れるといった期待感(「魔法の箱」のように言われていましたね)が広がりましたが、実際は3Dデータを作るためのスキルが必要で、3Dプリントするにもノウハウやコツがあり、「誰でも簡単に」というわけにはいきませんでした。
そもそもこうした3Dプリンタブームに対して冷静な見方をしていたモノづくりかいわいの方々(その世界の重鎮の皆さん)からは、「ようやく落ち着いたか」「全くメディアはあおるだけあおって……」「ブームが終わったも何も、前からわれわれの世界ではモノづくりで活用しているし」といった声がちらほらと聞こえていましたが、(広く世間を巻き込んだという意味での)3Dプリンタブームにあおられた一般の方々の目線で言えば「3Dプリンタブームは終わった」と表現しても差し支えないのかなぁとも思います。
ただ、そうした中でも個人のモノづくりを楽しみ、根強く新しいモノを発信し続けている方々がいるのも事実です。“ふるいにかけられた”という表現が正しいかは分かりませんが、しっかりと目的を見つけ、継続的にアウトプットしていこうというモチベーションを見いだせている方々が、個人のモノづくり、デジタルファブリケーション市場をけん引しているといえるかと思います。
それとは逆に、ブームに乗っかった(恐らく)大多数の人たちが、目的をうまく見いだせず、作るモチベーションを継続できなかったのではないでしょうか。せっかく購入した3Dプリンタがほこりをかぶったまま眠っているという方もかなりいらっしゃるように思います。実は筆者もそんな一人だったりします……。
3Dプリンタを自宅用に購入したものの……“活用の道”が見えないあなたへ
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