CAD経験ゼロのミニ四駆レーサーが、ミニ四駆“3Dモデラー”になるまで:カーデザイン コンテスト特別企画(1/5 ページ)
「3Dモデラボ カーデザイン コンテスト 2016」の開催を記念し、「Autodesk Fusion 360」を活用してオリジナル「ミニ四駆」ボディーを製作する圓田歩さんと、Fusion 360のエバンジェリストである藤村祐爾さんの対談をお届けする。
オリジナルの「カーデザイン(クルマ)」をテーマにした3Dモデリングコンテスト「3Dモデラボ カーデザイン コンテスト 2016」の開催を記念し、「Autodesk Fusion 360」を活用してさまざまなオリジナルミニ四駆ボディーを製作する圓田歩さんと、圓田さんにFusion 360をレクチャーしたオートデスクの藤村祐爾さんの対談をお届けします。
出会いはFabCafe主催の「Fabミニ四駆カップ」
――まずは簡単に自己紹介をお願いします。
圓田さん 都内の印刷会社で企画やクリエイティブディレクションなどを行っています。趣味は「ミニ四駆」。2015年の夏ごろからFusion 360を使い始め、現在は「The Maruta Works(マルタワークス)」という名前でオリジナルのミニ四駆ボディーを製作しています。
藤村さん 高校生のときに渡米し、米国で工業デザインを学び就職。6年前に帰国してCAD業界に入りました。現在はオートデスクでFusion 360のエバンジェリストとして啓蒙活動を行っています。
――お二人はどうやって知り合ったのでしょうか?
圓田さん FabCafeさんが主催する「Fabミニ四駆カップ」の開催前イベントで、確かボクの赤色に塗装された「アストラルスター」(ミニ四駆の車種)を見て声を掛けてくれたのが藤村さんでした。多分、ボクの塗装術にホレ込んで寄って来たんだと思いますよ(笑)。
藤村さん えっ、そうだっけ? 「この人、天パーかなぁ〜」って髪の毛の方が気になっただけじゃないかな(笑)。
圓田さん いやいや、パーマかけてるからね!
藤村さん ホントのところ、ボクはまだそのとき、ミニ四駆にハマっていたわけでもなく、Fabミニ四駆カップの参加も手探りだったんですよね。でもそんな中、「やれ塗装だ、やれカスタムデカールだ」とやっている人がいるじゃないですか! で、「これってどうやって仕上げているの〜?」みたいな感じで話し掛けたのがきっかけでしたね。
3Dプリンタを手にしてから、CADを学び始めた男
――圓田さんがオリジナルの「ミニ四駆」ボディーを作ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
圓田さん 一言でいってしまうと、Fabミニ四駆カップの参加ですね。
藤村さん オートデスクがFabミニ四駆カップの協賛企業だったんですよね。で、FabCafeでボクらがFusion 360を使ったワークショップをやることになったんです。1回目が「ローラー」と「ステー」で、2回目が「ボディー」といった感じで、Fusion 360を参加者の皆さんにレクチャーしたんですよね。
圓田さん そう。だけどボクは1回目の参加を逃しちゃったんですよ。で、2回目の参加条件が「1回目を受けていること」だったので、断念したんです。ムリに参加して冷や汗をかくのも嫌だったので(笑)。だから2015年4月末に行われた「Fabミニ四駆カップ 2015 Spring」の本番までは、Fusion 360はもちろん、CADそのものを使ったことがなかったんですよ。
藤村さん で、本大会であるFabミニ四駆カップ 2015 Springの会場で「あー、どうも、どうも〜」みたいな感じで再会して――。で、気が付いたらあれよあれよという間に圓田さんが「カルFABクラス」で優勝しちゃったんですよね。賞品は何と3Dプリンタ! 「いいな〜」とか言ってたんですけど、「あれ、そういえば圓田さん、CAD使えるの?」って(笑)。
圓田さん はい。優勝して、「よっしゃ! キター!!」って喜んだ次の瞬間、「やべぇ〜、CAD使えないよ〜(汗)」ってなりました……。で、そのまま会場で藤村さんに泣きついて「CAD教えてください! 助けてください!」って懇願して、連絡先を交換したんです。あれで断られていたら3Dプリンタがただの“箱”になってしまうところでしたね(笑)。
藤村さん そのころ、自分自身がこれからFusion 360のエバンジェリストとして本格的に活動することが分かっていたので、「人にレクチャーするトレーニングにもなるし、ちょうどいいや」って。Fusion 360のユーザーも1人増えるし、一石二鳥だなと(笑)。
圓田さん ……。
藤村さん まあ、それは冗談として(笑)。真面目に言うと、3Dプリンタって実際に作りたいものがないと使わないじゃないですか。だけど、圓田さんの場合はもともとミニ四駆が趣味で、3Dプリンタを手に入れたことを機に「自分のオリジナルミニ四駆を作りたい!」という情熱がありました。もうアウトプットしたいものが決まっているのだから、後はソフトウェア(CAD)の使い方だけだなと。
圓田さん そこ知らないで3Dプリンタが家にあるとか致命的ですけどね(笑)。
藤村さん 圓田さんは既にゴールが決まっていたから、ボクがちょっと教えるだけでミニ四駆のボディーを作るところまでは何とかできちゃうんじゃないかと思ったんですよ。ゴールのある人は“欲”があるから習得が早いんですよね。もう1つの理由としては、一般的なCAD講習などでミニ四駆のボディー設計のポイントは教えてくれませんよね。当たり前ですが。ああいった形状の場合、Fusion 360の「T-Splines」が適しているんです。
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