いすゞと日野が開発した国産初のハイブリッド連節バス、そのモノづくり力(後編):メイドインジャパンの現場力(25)(4/4 ページ)
いすゞ自動車と日野自動車は2019年5月27日、両社で共同開発した技術を基にした「エルガデュオ」「日野ブルーリボン ハイブリッド 連節バス」の発売を発表した。本稿ではこれに先立ち、同年5月24日に開催された共同開発技術の発表会の内容を紹介。後編では連節バスに使用されている製造技術と工場について説明する。
エンジンを搭載
艤装ラインでエンジンも搭載する。エンジン搭載までは搬送装置を使っていたがエンジン搭載後は自走により搬送する。
内装の組み付け後に窓をはめる
内装を組み付けた後に窓をはめる。看板など外装の最終仕上げを終えた後は、ライン内検査を行い、検査棟での最終検査に回ることになる。
自動化領域の拡大と整流化で生産性を10〜20%改善
ここまでジェイ・バス宇都宮工場での通常バスの作り方を見てきたが、連節バスでも基本的には同じ工程の流れとなる。塗装ラインまでは基本的には既存ラインで流し、後車の艤装と、前車と後車の連結を専用棟で行う。異なる点はその点だけだ。
ジェイ・バス宇都宮工場では、塗装工程などは一部自動化が進んでいるが、大半が人手による作業になっている。「バスは受注生産であるので丸ごと自動化することは難しい。部品単位であればまとめることができるので共通化し、自動化するような取り組みを広げていきたい」(ジェイ・バス 常務執行役員 宇都宮受注設計部 宇都宮品質保証部統括 特装・リニューアル部の水江泰三氏)としている。
さらに現在、生産性改善に向けて取り組んでいるのがモノの流れの整流化だという。水江氏は「現在倉庫を建設しており、無駄な部品をラインサイドにできる限り置かないような取り組みを進めている。作業者に対して本当に必要な部品だけをラインサイドに置くようにし『迷わない、選ばない、探さない』を実現できるようにする。そのためには部品をできる限り工場外に出していく」と述べている。
ジェイ・バス宇都宮工場では路線バスを中心に製造を行うが、生産能力は1日約10台、年間で1800〜2000台だという。モノの流れの整流化に向けた取り組みで「今後は生産性を10〜20%引き上げたいと考えている」と水江氏は述べている。
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