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JTがプルーム・テック工場を初公開、「3年間で生産能力40倍」の原動力はメイドインジャパンの現場力(26)(1/4 ページ)

JTは2019年6月13日、報道陣向けに同社東海工場(静岡県磐田市)を初めて公開し、同社の加熱式たばこへの取り組みや生産体制について紹介した。

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 「100年に1度の変革期を迎えている」とされる自動車業界と同じく、たばこ業界も大きな市場変化の波にさらされている。世界的な喫煙者数の減少に加え、日本市場では多数の人が利用する施設での原則屋内禁煙が2020年4月から始まる。

 たばこ産業に逆風が吹く中、たばこメーカー各社は電子たばこや加熱式たばこといったRRP(Reduced-Risk Products:喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性のある製品)の開発を本格化させている。従来のたばこでは副流煙による非喫煙者への健康被害や周囲環境へのにおい流出などが問題となっているが、たばこメーカー各社によるとRRPでこれら問題に一定の配慮ができるとするためだ。

 JT(日本たばこ産業)もRRP事業を事業成長の柱と据え、製品ラインアップの拡充や販売地域の拡大など積極的な投資を進めている。同社が2019年1月に発表した低温加熱型たばこ「プルーム・テック・プラス」は同年6月17日から全国で販売が開始された。また、高温加熱型の「プルーム・エス」は7月1日から6都府県での販売に拡大する※)

※)関連記事:+10℃で吸いごたえ高めた新型「プルーム・テック」、焼き芋臭のない高温加熱型も

 従来の紙巻きたばこと全く異なる機構を持つRRPは、どのように生産が行われているのか。また、販売網拡大に応える生産体制はどのように増強されているのか――。JTは2019年6月13日、報道陣向けに同社東海工場(静岡県磐田市)を初めて公開し、同社の加熱式たばこへの取り組みや生産体制について紹介したので、その模様をお伝えする。


JT東海工場の2階フロア。ここではプルーム・テックのカプセルの他、セブンスターなどの紙巻きたばこも製造している(クリックで拡大) 出典:JT

プルーム・テックの開発には過去の経験が生かされていた


JTの山田学氏

 工場見学に先立ち、プルーム・テックの開発を担当した同社たばこ事業本部 R&Dグループ 開発責任者の山田学氏が、開発背景や商品化に向けた試行錯誤の様子を説明した。

 山田氏は30年来の愛煙家だが、家での喫煙はベランダで行ういわゆる“ホタル族”になり、現在は家でほとんど喫煙しなくなったという。「喫煙者と非喫煙者の共存は非常に難しい。喫煙者にとってのたばこの味わいは非喫煙者にとって好ましくないにおい。喫煙者の“愉しみ”でもある煙は非喫煙者にとっては煙たいもの」(山田氏)であり、喫煙者と非喫煙者には大きな隔たりが存在するようになった。また、喫煙者の味わいの好みも変化しており、「以前は(タール含有量)8mg以上の製品が売れていたが、現在は低タールな8mg以下が売れ筋だ。メンソールの味わいを持つたばこも増えてきた」とし、たばこに関わる社会環境や市場動向が変化しつつあることを説明する。

 このような市場状況にある中、JTは「チャレンジの歴史を積み重ねてきた」(山田氏)とする。山田氏は、巻紙に香料を塗布しにおいを低減させた「D-spec」シリーズ(現在はLess Smoke Smell)や、2010年に発売した無煙たばこ「ZERO STYLE」の開発に携わった経験を持つ。ZERO STYLEについて、山田氏は「これも思い切ったチャレンジだった。今ほど好みの変化がなかった時代だが、特殊な原料を用いる等で商品化にこぎつけた」と当時を振り返るが、「(同商品は)市場からの反響は大きかったが、定着はしなかった」。この経験から、消費者が求めるたばこの愉しみには煙が大きな要素であることに気が付いたという。


無煙たばこの開発(クリックで拡大) 出典:JT

 そこで、当時海外で広がりを見せていた電子たばこに注目し、「これらを隅々まで調査した」(同氏)とする。同社も電子たばこ「logic.」を開発、海外市場向けに提供しているが、日本国内では法規制上ニコチン入りの電子たばこは販売できない。「しかし、ニコチンがないと吸いごたえがでないので、何とかしなければならなかった」。

 同社は電子たばこの研究を通じて、吸いごたえを演出する煙の特性を把握したとする。また、当時並行して研究を行っていた技術「水蒸気蒸留」が電子たばこのベーパーの特徴と似ていることを発見。ここから、ZERO STYLEで培った原料、電子たばこの経験、水蒸気蒸留技術を組み合わせ、同社が得意とする低温加熱型たばこのコンセプトが生まれた。


低温加熱型たばこのコンセプト(クリックで拡大) 出典:JT

 商品化に向けて動き出した同社だったが、そこには多くの苦労があったという。プルーム・テックのプロトタイプ1号は「手のひらサイズで交流電源を使っていたため電源ケーブルでコンセントとつながっていた」(同氏)。

 商品化に向けて筐体をコンパクトサイズにまとめ、使いやすいデザインとすることが課題だったが、バッテリーを含めた機構や部品の自社設計によりこの課題を解決した。また、たばこの味わい面では、たばこカプセルに詰める顆粒を多孔質化したことや、カートリッジ内のリキッド成分を香味が引き立つように研究を重ねたとする。

左:プルーム・テックのプロトタイプ1号 右:たばこの顆粒原料とリキッド(クリックで拡大) 出典:JT

 そうして開発されたプルーム・テックだが、市場からは「吸いごたえに課題がある」(山田氏)との反応が多かった。同氏は「正直に言うとプルーム・テックの設計は(タール含有量)1mgの紙巻きたばこに相当する吸いごたえを狙ったものだったから」と語る。プルーム・テック・プラスはこのような市場の声を受けて開発され、「たばこ葉、べーパー量、バッテリーを全て増量した。タール数の感覚値は5〜6mgほど」の吸いごたえを実現した。また、より高い吸いごたえを求める消費者向けに、高温加熱型のプルーム・エスの提供も行っている。


プルーム・テック・プラスのコンセプト(クリックで拡大) 出典:JT

 山田氏はプルーム・テックの製品展開について「まだまだ発展途上だと考えている」と語り、製品ラインアップ拡大の方針を示した。また、「たばこを吸う人と吸わない人の共存について、色々な考え方もあるだろう。さまざまな要望に応えるべく、ひとときを大事にするために頑張っていきたい」と決意を示した。

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