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JTがプルーム・テック工場を初公開、「3年間で生産能力40倍」の原動力はメイドインジャパンの現場力(26)(2/4 ページ)

JTは2019年6月13日、報道陣向けに同社東海工場(静岡県磐田市)を初めて公開し、同社の加熱式たばこへの取り組みや生産体制について紹介した。

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紙巻きたばこと大きく異なるプルーム・テックの製造技術


JTの渡部克彦氏

 続いて、同社東海工場長の渡部克彦氏がプルーム・テックのカプセル生産工程について説明した。東海工場は同社国内工場の中で最も大きな工場となり、工場で働く従業員数は関連会社を含めると約800人。敷地面積は東京ドーム5個分となる22万3176m2だ。操業開始は1979年9月となるが、「(工場がある)磐田という土地はたばこに馴染みがあり、前身も含めると100年以上の歴史がある」(渡部氏)という。

 3組3交代制で生産を行っており、同工場では刻みタバコの「こいき」から紙巻きたばこの「ピース」「ホープ」「メビウス」、そしてプルーム・テックのカプセルなどを製造。渡部氏は「400年前から存在する刻みタバコから、最新のプルーム・テックまでこの工場で生産している」と語る。

東海工場の概要(クリックで拡大) 出典:JT

 プルーム・テックのカプセル製造は大きく分けて、原料加工工程と顆粒をカプセルに詰める製品工程からなる。原料加工工程では、たばこ葉などの原料を粉砕した後に造粒、乾燥、加香の各作業を組み合わせ、プルーム・テック用の顆粒を生成する。


プルーム・テックのカプセル生産工程の概要(クリックで拡大) 出典:JT

 低温加熱型のプルーム・テック(・プラス)と高温加熱型のプルーム・エスについて、渡部氏は「製造技術の面では、高温加熱型は刻みたばこ原料を用いるので紙巻きたばこの技術が流用できる。一方で、低温加熱型は顆粒状の原料をカプセルに充填、溶着するため、従来のたばことは製造技術に大きな違いがある」と説明。また、顆粒原料は揮発性が高いため、「消費者にたばこが届くまでに味わいを損なわないようにする必要があった。刻み原料では原料の工程間移動に風送を採用しているが、顆粒原料では風送せず別の手法で輸送している」とする。


プルームシリーズにおける製造技術面の特徴(クリックで拡大) 出典:JT

 同工場では、プルーム・テックの製品工程を担当する製造装置が3世代に渡って運用されている。2016年に導入された第1世代の低速機を基準とすると、2017年の第2世代の中速機では約10倍、そして2018年の第3世代の高速機では約40倍の処理能力を発揮するに至り、高速機によって1分間に1万本(紙巻きたばこ相当)の処理が可能だ。


カプセル製造装置の進化(クリックで拡大) 出典:JT

 強化のポイントについて、渡部氏は「従来のたばこ製造技術をベースとしつつも、製薬や食品業界の技術も取り入れて製造装置を開発した」と述べ、「紙巻きたばこの製造装置は開発に3〜5年、評価に1年、実機導入や訓練に2年ほどと10年サイクルで機器更新しており、3世代分の機器進化は30年間を掛けてやってきた。プルーム・テックではこの進化を3年で実現したといえる」と胸を張る。

 それでは、なぜプルーム・テックのカプセル製造装置はこれほどまで早く進化しているのか。同氏は「仕事の仕組みを変えたことが大きい。これまでタバコ業界は先行きが見通しやすく、製造現場でも市場状況を事前に予測立ててやってきた。しかし、RRPはこれまでのやり方が通用せず、柔軟に事業展開を変えていくことが求められる」と背景にRRP市場に対する危機感があったことを説明。「われわれはこの流れを早々と感じたので、とにかくスピードを第一に走り出すように仕事の進め方を変えた」と現場での意識変革を明かし、「設備の改善はこれからも継続する」と方針を示した。


紙巻きたばこ製造装置と加熱式たばこ製造装置の進化比較(クリックで拡大) 出典:JT

 同社は2019年度における加熱式たばこ販売数量を50億本程度(紙巻きたばこ相当)と見込む。現在は同工場の他、インドネシア工場で生産されたカプセルが流通しており、2019年2月からは関西工場(京都市)、同年5月からガストコフ工場(ポーランド)も生産立ち上げを行っている。

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