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商用車で進む電動化、物流や工場輸送の在り方を変えるか東京モーターショー 2017(1/2 ページ)

政府の規制方針などにより自動車メーカーの電動化への取り組みが加速している。ただ、より切実なニーズを持つのが商用車である。東京モーターショーでは各社のトップが電動化への取り組み方針を示した他、三菱ふそうといすゞ自動車が新製品をアピールした。

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 中国や欧州など、各国政府が自動車の電動化への取り組み強化を進める中、電気自動車(EV)への関心が高まっている。商用車でも同様の動きが加速する。国土交通省によると日本のCO2排出量のうち17.4%が運輸部門から生まれているとし、その中でさらに旅客自動車が運輸部門の50.4%(日本全体の8.8%)、貨物自動車が運輸部門の35.8%(日本全体の6.2%)を占めるとしている。

 規制の効果を出すのに一定期間以上がかかる自家用自動車に比べ、規制のかけやすい商用車は政府などの方針に左右されやすいとはいえ、状況によっては電動化が加速する可能性がある。こうした流れの中で「第45回東京モーターショー 2017」(東京ビッグサイト、プレスデー:2017年10月25〜26日、一般公開日:同年10月28日〜11月5日)では、商用車からも電動化を積極的に訴える動きが目立った。

全車種で電動化を進める三菱ふそう

 こうしたニーズを受け「全車種で電動化を進めていく」と宣言したのが、三菱ふそうトラック・バス(以下、三菱ふそう)である。新たに電動化商用車の新ブランド「E-FUSO」を立ち上げ、電気商用車市場を先導する方針を示した。

 三菱ふそうでは、市場販売を開始した初の量産電気小型トラック「eCanter」がある。既にコンビニエンスストア大手であるセブン-イレブンへの導入を発表していたが、東京モーターショー2017では新たに宅配便大手のヤマト運輸への導入を発表。順調に導入先を広げていることをアピールした。

photophoto 量産電気小型トラック「eCanter」の外観(左)とバッテリー部(右)(クリックで拡大)

 「eCanter」は車両総重量(GVW)7.5トンで、1回の充電での走行可能距離は約100kmであるため、都市内配送用途となるが、今後は都市間輸送なども想定した大型トラックの投入も計画する。そのコンセプトモデルとして今回初披露したのがE-FUSO「Vision ONE」である。

 E-FUSO 「Vision ONE」は、GVW23.26トンで、最大積載量11.11トンを実現する。最大積載量はディーゼルエンジンの同等車両と比べて1.8トン少ないが、1回の充電で最大350km走行可能としている。三菱ふそうトラック・バスの取締役社長で最高経営責任者(CEO)のマーク・リストセーヤ氏は「商用車は経済性が重要。電気トラックは環境的な意義だけでなく既に商用ベースに乗るレベルになってきている」とし、大型電気トラックについても、今後4〜5年以内に商品化する方針を示している。

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電気大型トラックのコンセプトモデルE-FUSO「Vision ONE」(クリックで拡大)

「ELF EV」を2018年からモニター出荷するいすゞ

 いすゞ自動車は東京モーターショー2017では、中型小型トラックの「ELF」を電動化した電気小型トラック「ELF EV」を出展した。

 後軸2輪駆動とし車両寸法は全長6690×全幅2154×全高3000mm。最大積載量は3000kgとしている。バッテリーにはリチウムイオン電池を採用し、次世代急速充電、普通充電の両方に対応する。1回の充電当たりの走行距離は100km以上で、冷凍機などの架装物も電気で作動させられるという。

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いすゞ自動車の電気小型トラック「ELF EV」(クリックで拡大)

 いすゞ自動車 代表取締役社長の片山正則氏は「商用車の機能としての価値は、経済合理性と使い勝手の良さである。電動化においてもこの2点が実現できるかどうかを検討し製品開発を進めてきた。2018年にはモニターで市場投入を行い、積み荷の整理などの方法や走行距離のニーズなどを調査していく。商用車としての作り込みを進めていく」と今後の展開について述べている。

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「ELF EV」のジャンクションブロック(配電盤)とリチウムイオンバッテリー(クリックで拡大)

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