【オリエンテーション】ハードルの高い流体解析だが設計現場でも少しずつ身近に:初心者のための流体解析入門(1)(2/2 ページ)
解析、あるいはシミュレーションは、少なくともツールとしては、それほど特別なものではなくなってきた昨今である。特に設計者向けの構造解析については顕著である。しかし、流体解析についてはどうだろうか。
粒子と流れの解析
空気の流れに乗ってくるのは、空気の分子と熱だけではない。それ以外のものも乗ってくる。大きなもの、特に地球規模でいえばPM2.5などもそうだが、微細な粒子も空気に乗って運ばれてくる。これまた製造業的にもかかわるものがある。例えばヒュームだ。ヒュームとは一般的にはアーク溶接などで発生する金属の微粒子だが、例えばレーザーによる粉末焼結などでも発生する。これらの粉じんをどのように除去していくのかというようなスタディーにも使用することができる。
他にもあるかもしれないが、ざくっとしたところではこんな感じではないだろうか。これまでも、このようなシミュレーションをすることなく、市場に受け入れられる機械を作ることができたのだから、シミュレーションソフトを使うことが必須なのかというとそれは違うだろう。しかし、絶え間なくパフォーマンスを向上させて行こうとした時、経験に基づいた改善だけではどうしても限界が出てくる。さらに空気のようなとらえどころのないものを扱う上で解析ソフトが役に立つのは「可視化」だ。一体、空気がどのように流れて、熱がどのように伝わっていくのか目に見えないものを目に見えるようにすることができる。その上で、より効果的な改善を図ることができる。
ただ、そこでポイントになるのが流体工学の知識だ。ということで次回以降は、実際の解析に関わる勉強を進めていこう。(次回に続く)
◎併せて読みたい「CAE」関連ホワイトペーパー:
» 横浜ゴムのタイヤ開発を推進する“AI×CAE×ヒト”による三重奏
» 設計者が実施すべき解析“3つ”のポイントと最新CAE技術動向
» 【体験レポート】設計者CAEの有効性を“パスタ”で学ぶ
Profile
水野 操(みずの みさお)
1967年生まれ。mfabrica合同会社 社長。ニコラデザイン・アンド・テクノロジー代表取締役。3D-GAN理事。外資系大手PLMベンダーやコンサルティングファームにて3次元CADやCAE、エンタープライズPDMの導入に携わった他、プロダクトマーケティングやビジネスデベロップメントに従事。2004年11月にニコラデザイン・アンド・テクノロジーを起業し、オリジナルブランドの製品を展開。2016年に新たにmfabrica合同会社を設立し、3D CADやCAE、3Dプリンタ関連事業、製品開発、新規事業支援のサービスを積極的に推進している。著書に著書に『絵ときでわかる3次元CADの本』(日刊工業新聞社刊)などがある。
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