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バリ取って、リベット締めて、金型で曲げて――板金スカイツリー作ろ!親子でモノづくり体験(1/3 ページ)

大人もやってみたくなる、板金を曲げて、締結しながら、スカイツリーオブジェを作り上げる体験イベント。東京都墨田区の町工場 浜野製作所で、夏休み期間限定で開催されている。

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 浜野製作所は、東京都墨田区にある板金加工メーカーだ。各種加工の他にも、設計開発も事業として行っている。

 同社では、「下請け体質からの脱却」を目指し、企業や教育機関の顧客から請け負う案件の他に、廃材もとい“配財”をポジティブに生かすプロジェクト「配財プロジェクト」や深海探査ロボット艇開発プロジェクト「江戸っ子1号プロジェクト」、電気自動車「HOKUSAI」の開発、日本テレビの企画「リアルロボットバトル日本一決定戦!」への参戦など、社内外のメンバーで、さまざまでユニークなプロジェクトに取り組む。

 そのうちの1つ、同社が子ども向けに開催する板金加工のワークショップは、町工場の板金加工作業が一通り体験でき、大人も参加したくなるほど面白い。配財プロジェクトで企画した子ども工作教室が原点だったそうだ。

 こちらは現在、「アウトオブキッザニア in すみだ」という、墨田区内のさまざまな工房で子どもたちがモノづくり体験をするイベントシリーズの1つとなっている。地域の工芸系振興運動の一環なので、他のプログラムは屏風やバッグ、革小物などいわゆる工芸品がメインであり、浜野製作所の板金加工はその中では少し異色な存在のようだ。

 「今の子どもたちは、生まれたときから、自動車、新幹線、PC、2足歩行ロボットなどがある環境で育っています。その半面、自動化された大規模な組み立て工場や工芸系の工場などは見学する機会があっても、このような部品加工系で、ゼロからモノが生まれる瞬間――『ただの物質が意味のあるモノへ生まれ変わる瞬間』はほとんど見る機会がないのではと思います。大人ですら、そういう感覚を知っているのは、この仕事をしている人、工業系の学校へ行っていた人くらいではないでしょうか。子どもの段階でそういう感覚を知ったら、彼らの世界が少し変わるのではという思いがありました」と、このプログラムの責任者である浜野製作所 経営管理部の石川北斗氏は言う。


浜野製作所 経営管理部 石川北斗氏

 浜野製作所の「メタルツリーを作ろう」では、墨田区の名物スポットである電波塔「東京スカイツリー」(以下、スカイツリー)を模した板金製オブジェを約1時間半かけて作り上げる。7〜8月の夏休み期間の土日に複数回開催している。同社の担当スタッフを班分けし、1日の中で1時間半のプログラムを最大6つ回せるように計画している。


ワークショップで作り上げるメタルツリー:LED照明は展示用

 時間割や流れ作業の計画も、製造業ならではのノウハウが生かされ、スタッフたちの連携プレーでイベントを切り盛りしている。

ワークショップ、始まるよ

 このワークショップは、浜野製作所の本社板金工場とプレス金型工場の2棟を行き来して実施する。建屋の外観は、旧来の町工場らしくなく、赤と黄色がテーマカラーのポップな印象だ。


本社板金工場

プレス金型工場

 最初に集合したのは、プレス金型工場の一室。木の温かみを感じる明るい部屋だ。


さあ、ワークショップが始まります

 さて2013年8月3日の朝一番開催のワークショップには、小学3年生〜中学1年生までの6人の子どもたちが集まった。それぞれが自己紹介した後には、石川氏から事前説明を受ける。保護者たちは、その後ろからカメラやスマートフォンを構えながら、子どもたちの奮闘を見守っていく。

 「1枚の板状の金属が、切り抜かれ折り曲げられ、さまざまな工程を経て形を変え、組み合わさり、自分たちが日頃よく見掛けるモノや機械を作り上げる」という説明を受けた子どもたちは、その後、それを身をもって体験していく。

タレパンでツリーの柄をくり抜く

 まずは、メタルツリーのブランク加工(外形形状の抜き)作業を見学する。ここは、人ではなくて主に機械の仕事。「まずPCで絵を描いて、それを機械に送ると、その通りに機械が切ってくれます」と、とてもざっくりとした説明があった。


メタルツリーの展開図面:石川氏による設計

タレパンの前で説明を受ける

 あらかじめ設計してあるデータに基づき、まず大きなタレパン(ターレットパンチプレス)で、メタルツリーの柄を構成する細かい穴などをくり抜いていく。こちらは1つにつき数分ほどで終わる。

 次に、レーザー加工機でツリーの外形を切っていく。ここでは、その仕組みについて「虫眼鏡で太陽光を集めて紙を焦がすのと似ています」と説明。こちらも1つにつき数分程度で終わる。


レーザー加工機にセット

バリを取る

 ここで上階の作業場へ移動し、いよいよ組み立て作業を始める。


バリ取り機

 「金属を切ったり、穴を開けたりしたときに出るギザギザ(『バリ』といいます)を、2本のローラーで削ってきれいにする機械」という説明の通りの、バリ取り機を体験する。「お客さまの元に安全な(痛くない)製品を届けるために大事な作業の1つ」との説明もあった。

 バリを取った後には、スカイツリーの部品をシートからくり抜く。手袋をした手で部品を押せば、きれいに簡単に取り出せるようになっている。


スカイツリーの部品をシートからくり抜く

 ちなみに、部品がくり抜かれた後の残り部分は1カ所に集められて、スクラップ業者が回収し、リサイクルされる。ぬかりない。


回収された残り部分

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