2019年は民間機による「宇宙旅行元年」となるか、はやぶさ2のタッチダウンも注目:MONOist 2019年展望(5/5 ページ)
2019年は宇宙開発の話題が盛りだくさん。その中でも「有人宇宙機開発」「月・小惑星探査」「日本の新型ロケット」という3つのテーマに絞り、注目すべき話題をピックアップして紹介する。
スペースワンも小型ロケットを開発中
日本ではISTのほか、スペースワンも小型ロケットを開発中。同社は、キヤノン電子、IHIエアロスペース、清水建設、日本政策投資銀行などが設立した企業だ。ロケットは150kgの衛星を高度500kmの太陽同期軌道(SSO)に投入できるようになる見込みで、初号機の打ち上げを2021年後半に予定している。
イプシロンロケットなどの実績があるIHIエアロスペースが関わっており、新型ロケットも固体ロケットになるとみられる。オープンなISTと対照的に、同社からはあまり情報が出てこないのだが、2019年は何か発表はあるだろうか。
小型ロケットの分野では、米国Rocket Labの勢いが増している。2018年1月にElectronロケットの打ち上げに初めて成功した後、同年11月と12月に立て続けに成功。NASAやDARPAからも受注しており、ビジネスとして軌道に乗りつつある。ISTとスペースワンとしても、できるだけ早くこの市場に参入する必要があるだろう。
なお、Electronの打ち上げはこれまでニュージーランドの射場から行われていたが、米国にも新しい射場を建設中で、2019年第3四半期にも米国からの初打ち上げが実施される見込みだ。
また日本は現在、H-IIA/Bロケットの後継機として「H3」ロケットを開発中。2020年度の初号機打ち上げに向け、プロジェクトは大詰めを迎えている。2019年も射場の改修作業や、エンジンの燃焼試験などが引き続き実施される予定となっているので、こちらの情報についても注目して欲しい。
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