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民間初の宇宙到達を目指すロケット「MOMO」、その挑戦の意義を探るもうホリエモンロケットとは呼ばせない(1/4 ページ)

インターステラテクノロジズ(IST)は、観測ロケット「MOMO」の打ち上げを2017年7月29日に実施する。実業家の堀江貴文氏が創業に関わっているためホリエモンロケットと呼ばれることも多いISTのロケットだが、今回のMOMOの挑戦は、日本の宇宙開発にとって大きな一歩になるかもしれない。

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 インターステラテクノロジズ(IST)は2017年7月6日、同社が開発した観測ロケット「MOMO」の打ち上げを、同月29日に実施すると発表した。ISTは、実業家の堀江貴文氏らが創業した企業で、2006年から、ロケット開発を開始していた。MOMOは、一般的に“宇宙”とされる高度100km以上を初めて狙える規模のロケットになる。

「MOMO」のイメージCG
「MOMO」のイメージCG(クリックで拡大) 出典:IST

 MOMOは打ち上げ後4分ほどで最高高度に到達し、それから落下。ロケットはそのまま太平洋上に着水する予定だ。その間の飛行時間はわずか6〜7分。もちろんこれでは、人工衛星を打ち上げることなどできない。確かに“宇宙”とはいえ、玄関から外に出て、すぐ家に帰ってしまうようなものだ。

 しかしこの小さな一歩が、日本の宇宙開発にとって大きな一歩になるかもしれない。月面にアポロ11号船長のニール・アームストロング氏が遺した足跡を見て、小さな一歩だと笑う人はいないだろう。民間開発のロケットが宇宙に到達するのは、日本ではこれが初めて。成功すれば、大きなマイルストーンになり得る。

 ISTが目指しているのは何か。それにより、宇宙開発の姿はどう変わるのか。本記事では、そのあたりを解説してみよう。

インターステラテクノロジズ社長の稲川貴大氏(左)と同社取締役の堀江貴文氏(右)
インターステラテクノロジズ社長の稲川貴大氏(左)と同社取締役の堀江貴文氏(右)

「MOMO」はどんなロケット?

 MOMOは、全長10m、直径50cmの1段式ロケット。20kg程度のペイロード(荷物)を、高度100km以上に打ち上げる能力がある。

「MOMO」の概要今回の飛行シーケンス 「MOMO」の概要(左)と今回の飛行シーケンス(右)(クリックで拡大) 出典:IST

 少し変わっているのは、燃料にエタノールを採用していることだ。MOMOの場合、燃料がエタノール、酸化剤が液体酸素と、推進剤に液体同士の組み合わせを使っていて、これは“液体ロケット”ともいわれる。一方、固体の推進剤を使うのが固体ロケットで、その他固体の燃料と液体の酸化剤を使うハイブリッドロケットと呼ばれるものもある。

 この規模であれば、通常、固体ロケットやハイブリッドロケットであることが多い。固体ロケットであれば配管だらけの複雑なエンジンは要らず、構造をもっとシンプルにできるからだ。実際、規模が似ているJAXAの観測ロケット「SS-520」は固体ロケットである。

 しかし、規模には不釣り合いともいえる液体ロケットを開発しているのは、今後の大型化を見据えているからだ。大型化には、液体エンジンの技術が不可欠。ISTが目指しているのは、まずは超小型衛星を打ち上げられるロケットの開発、そしてその先の有人飛行や深宇宙探査である。弾道飛行の観測ロケットは第一歩にすぎない。

 そのために、同社は2011年3月に打ち上げた1号機「はるいちばん」以来、一貫して燃料がエタノールの液体エンジンを採用してきた。当初、推力は100kgfであったが、MOMOでは1.2tf(1tfは1000kgf)と、10倍以上のパワーアップに成功。今回は、この1.2tfエンジンの実証フライトとなる。最高到達高度はこれまで6.5kmだったが、一挙に15倍もの高さを狙う。

 より高く飛ばすことになるため、MOMOでは能動的な姿勢制御も行う。同社は2015年から実験機「LEAP」を使って姿勢制御機能を開発しており、MOMOに初めて搭載した。ピッチ軸とヨー軸については、エンジン部のジンバルで噴射の方向を変えて制御する。ロール軸の制御については、先端側に窒素のガスジェットが搭載されており、これを使う。

2016年7月1日に行われた4回目のLEAP実験。飛行中に姿勢を変更している(クリックで再生)

 ちなみにMOMOで使うエタノールというのは、ロケットの燃料として見れば、それほど性能は良くない。エタノールには環境への負担が小さいというメリットがあるものの、燃料としては海外のロケットで一般的に使われるケロシンの方が性能が良い。今後、どこかの段階で、他の燃料に切り替える可能性は高いだろう。

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