インダストリー4.0の中心で人間中心の「IoE」を叫ぶ、初出展のジェイテクト:ハノーバーメッセ2017(2/2 ページ)
ジェイテクトは、ハノーバーメッセ2017に初出展し、PROFINETやEtherCATなどの異種通信環境を吸収する「TOYOPUC-Plus」などのソリューションを紹介した。
IoEの流れを欧州市場の突破口に
MONOist ハノーバーメッセに初出展した経緯を教えてください。
井坂氏 ハノーバーメッセ2016で開催された日独経済フォーラムに登壇したことが1つのきっかけとなった※)。さらに、製造業のIoTに関するさまざまな団体活動に参加する中で、やはりインダストリー4.0の中心地であるこの地でジェイテクトの取り組みを発信することが必要だと考えた。
※)関連記事:インダストリー4.0で具体化した日独連携、競合を越えた「つながる」の価値(後編)
井坂氏 既にIoT活用の取り組みについては、「TOYOPUC-Plus」などをはじめとしたさまざまなハードウェアやソリューションの開発を進めており、実証としても自社工場の他、ラインビルダーとして参加するトヨタ自動車の工場、中小の協力企業2社で進めている。これらがさまざまな成果を生み出しており、2016年の国内の工作機械見本市「JIMTOF」では、工作機械の出展ではなく、実証の成果を全面に押し出す展示を行い※)、好感触を得ることができた。こうした成果を国内だけでなく海外にも発信していく。
※)関連記事:あえて実機は置かない、ジェイテクトが振り切った「IoE」の世界
MONOist 現場中心でつなげていこうとする考えや、人を中心に据えたIoEの考え方というのは日本独自のものではなく、欧州でも受け入れられるものなのでしょうか。
井坂氏 ドイツはインダストリー4.0の本場であり、多くの企業が積極的に取り組んでいるような印象がある。しかし実際には、中堅以下の製造業では今でも「何から取り組んでよいのか分からない」としている企業が多い。また、同時に現場のデータ取得が課題になって立ち止まるようなケースがある。こういう場合には人を中心に考え、まず成果が確実に見えるところでデータ連携ができるようにし、小さい成功を積み重ねていくということが必要だ。そういう意味ではIoEや「TOYOPUC-Plus」などは十分に受け入れられる余地がある。欧州では従来のメカトロニクス製品ではなかなか切り込めなかったが、産業の枠組み全体が大きく変わる中で当社にも新たなチャンスが生まれていると考えている。
ユーザーメリットのない囲い込みはやらない
MONOist 今回新たにシーメンスの「MindSphere」の採用を発表しました。
井坂氏 当社では2016年のJIMTOFやプライベートショーなどを通じて、IoT活用の姿を発信してきたが、主な提案はほとんどが工場内のMESの領域にとどまるものだった。基本的にはこの領域に強みがあるという考えは変わらず、より多くの規格対応など開発は進めていく。
ただ、IoTは全てのデータをつなげることで価値を生み出すものであり、バリューチェーンについても準備が必要だと考えた。そこで、その第一歩として欧州で強さを誇るシーメンスの「MindSphere」の採用を決めた。ただ、これは「MindSphere」だけを当社製品からのデータの納入先とする意味ではなく、他のIoT基盤などとの提携は当然模索していく。
製造業のIoT活用においては、どんなに大きな企業でも1社で全てをカバーすることは不可能で、得意領域以外はオープンにさまざまな規格や企業などとつながることができるようにしないといけない。そうしなければ、最終的な顧客に不便なものとなるからだ。将来的な自社のデータを利用したアプリケーションの提供なども検討はしているが、ユーザーに価値を生み出せるものとしなければならない。
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