ジェイテクト香川工場が挑むIoT活用、生産効率はどこまで高められるのか:スマートファクトリー(1/5 ページ)
自動車のトランスミッションやディファレンシャルギアなどに用いられる円すいころ軸受を生産しているジェイテクトの香川工場。スマート工場を実現するためのIoT活用として位置付ける「IoE(Internet of Everything)」をはじめ、同工場が取り組んでいる生産効率化に向けたさまざま取り組みを紹介しよう。
ジェイテクトは、電動パワーステアリングを中心とする自動車部品や、産業機器/自動車部品向けの軸受、工作機械などを手掛ける企業だ。2006年1月に光洋精工と豊田工機が合併してジェイテクトが発足してから2016年で10周年を迎える。
製造業であるジェイテクトにとって、工場における技術革新や生産効率化は極めて重要だ。最近では、工場でのIoT(モノのインターネット)活用に注目が集まっており、同社もさまざまな取り組みを進めている。
自動車部品向けの軸受である円すいころ軸受(テーパーローラーべアリング)の専門工場である香川工場(香川県東かがわ市)でも、同社がスマート工場を実現するためのIoT活用として位置付ける「IoE(Internet of Everything)」をはじめ、さまざまな取り組みを進めている。
2016年7月、香川工場を報道陣に公開した際に、それらの取り組みについて詳細な説明があった。本稿では、IoEを中心とする香川工場での技術革新や生産効率化の取り組みについて紹介する。
トランスミッションやディファレンシャルギアに用いられる円すいころ軸受
1975年に操業を始めた香川工場は40年以上の歴史を持つ。自動車のトランスミッションやディファレンシャルギアなどに用いられる円すいころ軸受の専門工場である。香川工場では直径95mm以下の円すいころ軸受と、円すいころ軸受の応用製品であるハブユニットを生産している。なお、バスやトラック、農機、建機など向けとなる直径95mm以上の円すいころ軸受を生産しているのは国分工場(大阪府柏原市)となる。
香川工場の敷地面積は、管理棟と第1〜第3までの3棟ある工場で約15万4000m2、少し離れた位置にある分工場で約1万6000m2で、併せて約17万m2。従業員数は管理部門を含めて927人。円すいころ軸受の生産能力は月間550万セット(顧客には外輪と内輪を1セットとして納入するため)となっている。
月産550万セットと言っても、自動車部品業界における香川工場が果たしている役割は伝わりづらいかもしれない。ジェイテクトの円すいころ軸受のシェア(金額ベース)は、国内市場で38%、世界市場で24%と共にトップ。これらのうち香川工場は、国内向けの64%を、世界全体では39%の生産を担っている。つまり、国内需要の約4分の1、世界需要の約1割が、香川県の東端に位置するこの工場から供給されているのだ。
また、ジェイテクトが香川工場以外の国内外の拠点で生産している円すいころ軸受向けに、転動体となるころを供給している。ころの生産規模は、香川工場向けで月間1億3000万個、香川工場以外への供給分で月間5000万個、総計1億8000万個に達する。
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