インダストリー4.0の中心で人間中心の「IoE」を叫ぶ、初出展のジェイテクト:ハノーバーメッセ2017(1/2 ページ)
ジェイテクトは、ハノーバーメッセ2017に初出展し、PROFINETやEtherCATなどの異種通信環境を吸収する「TOYOPUC-Plus」などのソリューションを紹介した。
ジェイテクトは、ハノーバーメッセ2017(2017年4月24〜28日、ドイツ・ハノーバーメッセ)に初めて出展し、同社が提案する「IoE」の世界を訴求するとともに、異種通信環境を吸収する「TOYOPUC-Plus」などの実践的ソリューションを紹介した。
ヒトを中心に据えた“IoE”
同社は欧州においては工作機械展である「EMO」※)などには出展してきたが、幅広い生産技術や制御技術などを対象としたハノーバーメッセには出展してこなかった。
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しかし、インダストリー4.0などIoTを活用した製造業革新の動きが広がりを見せる中で、同社自身がIoTを活用したさまざまな取り組みを推進。「TOYOPUC-Plus」などさまざまなソリューションが出そろってきたことから「あらためてインダストリー4.0の中心地で、当社が考えるモノづくりの将来像やソリューションを発信していくべきだと考えた」とジェイテクト 取締役副社長で工作機械・メカトロ事業本部 本部長の井坂雅一氏は述べている。
同社では「IoTはモノを中心と考えるのがふさわしくない」とし、あくまでも「モノづくりの中心は人であるべきだ」という姿勢を示している。そのため「IoT(Internet of Things)」ではなく、「IoE(Internet of Everything)」という言葉を使用する。こうした人を中心とする「IoE」のコンセプトだが、日本独自の発想かと思えば意外にも中堅・中小のドイツ企業からは評価されそうだという。
井坂氏は「現地の販売会社からは、ドイツでも中堅・中小企業は『インダストリー4.0といわれても何をやっていいのか分からない』と思っている企業は想像していたよりもはるかに多いという反応を得ている。このように大きな投資が難しく、完全自動化のようなことが遠い世界だと考えている中堅中小企業には『今、人間がやっていることことを支援し、強化するもの』として訴える方が通りやすく、実際に販売会社を含めて感触は良い」と話す。
異種通信環境を吸収する
このIoEのコンセプトに加えて、身近なところで現実的な価値を生み出すソリューションとして提案したのが「TOYOPUC-Plus」である。
「TOYOPUC-Plus」は小型のボード型PLCである。最大の特徴が異種環境間の違いを吸収する一種のインタフェースの役割を果たすという点である。ボードの差し替えを行うことで、多彩な通信規格のサポートが可能。バッテリーレスでメンテナンスフリーである点などを活用することで、「FL-NET」や「CC-Link」「Ethernet/IP」などの産業用ネットワークで構成された制御装置を一括して結ぶことができる。今回はあえて欧州発の規格である「PROFINET※)」と「EtherCAT※)」との接続性を強調した。
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ジェイテクト 技監で工作機械・メカトロ事業本部 IoE推進室担当の青能敏雄氏は「中小製造業を含む多くの製造業にとって、IoT活用といっても既に工場ではさまざまな機器やシステムが稼働しており、データを一元的に集めるところで苦労する。『TOYOPUC-Plus』はそういう負担を軽減するものだ。PROFINETやEtherCATなどの他、OPC UAやMTConnectなど主要な標準には全て対応していく」と話している。
さらに、工場内の接続だけでなく、工場外のクラウド環境との接続を確保するためにシーメンスが展開するクラウドベースのIoT基盤である「MindSphere」を採用することを明らかにしている。青能氏は「『MindSphere』だけを採用するわけではなく、他のIoT基盤との連携なども進めていく」と方向性を説明している。
次ページではジェイテクトのIoEへの取り組み方針について、井坂氏との一問一答をお送りする。
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