進むドイツのスマート工場、「インダストリー4.0基準」とは?:IVI公開シンポジウム2017春(2)(2/2 ページ)
「つながる工場」実現に向け、製造業、製造機械メーカー、ITベンダーなどが参加する「Industrial Value Chain Initiative(IVI)」は、取り組みの進捗状況を紹介するIVI公開シンポジウムを開催。同シンポジウムの内容を紹介する本連載の第2回では、IVIエバンジェリストであるアクセル・ザーレック氏による、ドイツ「インダストリー4.0」の進捗状況の解説内容をお伝えする。
インダストリー4.0製品の基準作り
インダストリー4.0の進捗状況についてはザーレック氏は「共通モデルと標準化によって実現可能な柔軟性を実現するということが目指す点だ。ただ、実現には5年以上かかり、過渡的に一部のみの標準や複数の標準が並立するような状況が続く。将来的な方向性を意識しつつ、現在あるいは中期的な状況に対応していく必要がある」と述べる。
こうした状況を受けて「インダストリー4.0対応製品についても、途切れのないアプローチを採用していく必要がある」とザーレック氏は強調する。インダストリー4.0製品のための基準定義を時間軸の長さに応じて行っていきながら、時間とともに基準や標準をより完全に統一したものにしていくというアプローチが必要だという。
インダストリー4.0対応製品の基準作りについては、ドイツは既に開始しており、2016年11月にドイツ電気・電子工業連盟(ZVEI)が「インダストリー4.0製品はどのような基準を満たすか」という白書を公開(現状ではドイツ語のみ)。合わせて「インダストリー4.0コンポーネントの管理シェルの例」とした白書も公開(同)し、基準の枠組み作りを進めようとしている。
具体的には、インダストリー4.0の参照モデルである「Reference Architecture Model Industrie 4.0(RAMI4.0)」※)をベースに7つの基準区分を提唱しているという。7つの基準は以下の通りである。
※)関連記事:インダストリー4.0がいよいよ具体化、ドイツで「実践戦略」が公開
- Identification(認証)
- Industrie 4.0 Communication(通信)
- Industrie 4.0 Semantics(意味付け)
- Virtual Description
- Industrie 4.0 Services and States(サービス)
- Standard Functions(標準機能)
- Security(セキュリティ)
基準の策定についての指針なども定められている。基本的には自己評価に委ねられており、第三者認定機関による認証は不要とする方針。さらに自己評価しやすい基準を用意するという。また、機器の準拠に対する共通のラベルは用意せず、各メーカーが独自で用意する。基準の策定そのものについては、ベンダー非依存とし、各団体のワーキンググループ(WG)が主導して基準作りを行う。これを毎年ブラッシュアップしていくサイクルを作るという。
インダストリー4.0コンポーネントのパーシャルモデル
インダストリー4.0コンポーネントの白書については、新たに管理シェルに何が含まれるのかという特徴が示された。新たに紹介されたのが、特定の機能を部分モデル(パーシャルモデル)としてモデル化する機能である。管理シェルによりカプセル化するモノのある側面を表現する。将来的にはこのパーシャルモデル1つ1つを標準化シていくという流れとなる。
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