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インダストリー4.0がいよいよ具体化、ドイツで「実践戦略」が公開インダストリー4.0(1/6 ページ)

注目を集めるドイツのモノづくり革新プロジェクト「インダストリー4.0」。この取り組みを具体化する「実践戦略」が2015年4月に示された。同プロジェクトに参画するドイツBeckhoff Automationグループに所属する筆者が解説する。

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 2015年4月13日〜17日に開催された世界最大の産業見本市ハノーバーメッセ2015は、「Integrated Industry - Join the Network!」をスローガンとして掲げ、インダストリー4.0関連の展示や発表が数多く行われた。その中でも注目を集めたのが、「インダストリー4.0プラットフォーム」が発表した「Umsetzungsstrategie Industrie 4.0(インダストリー4.0実践戦略)」である。

 インダストリー4.0プラットフォームは、ドイツにおける電機、通信、機械などの工業会(BITKOM、VDMA、ZVEI)によって運営されるインダストリー4.0の推進団体で、この中でさまざまなワーキンググループを作り、活動を進めている。ハノーバーメッセ2015において、こうした活動の現段階での成果として発表したのがインダストリー4.0実践戦略(以下、実践戦略)であり、この中ではインダストリー4.0の実現に向けた今後の具体的な取り組みの内容が示されている。本稿では、同プロジェクトに参画するドイツBeckhoff Automationの日本法人社長で、「ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは」シリーズを執筆した筆者が、このインダストリー4.0実践戦略の概要と意味について解説する(図1)。

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図1:ハノーバーメッセ2015で公表された「インダストリー4.0 実践戦略」100ページのボリュームのドイツ語レポートだ(クリックでPDFへ)

 インダストリー4.0は、各ワーキンググループやクラスターなどで研究開発は進められているものの、これまでに発表されている「Recommendations for implementing the strategic initiative INDUSTRIE 4.0:Industrie 4.0 作業部会の最終報告書(PDF)」(以下、最終報告書)では抽象的な概念でしか語られていなかった。

 しかし実践戦略では、インダストリー4.0の実装モデルが公開されており、製造業のバリューチェーンやバリューネットワークを横断的にモデル化しようとする試みを一歩前に進めた形だ。インダストリー4.0が業界を横断する取り組みであることをあらためて強調するかのように、BITKOM(ドイツ情報通信業界連盟)、VDMA(ドイツ機会工業連盟)、ZVEI(ドイツ電気電子工業会)の連名でこの実践戦略が提出されていることも印象的な点だといえる。

5つの重点戦略の掘り下げ

 ところで、最終報告書にはインダストリー4.0で注力すべき分野として以下の5つが提言されていた。

  1. Horizontal integration through value networks(バリューネットワークを横断する水平統合)
  2. End-to-end engineering across the entire value chain(バリューチェーンを横断する統合エンジニアリング)
  3. Vertical integration and networked manufacturing systems(生産システムのネットワーク化と垂直統合)
  4. New social infrastructures in the workplace(職場における新たな社会インフラ)
  5. Cyber-Physical Systems Technology(サイバー・フィジカル・システムの要素技術開発)

 これと呼応する形でこの5つの重点分野それぞれに細分化されたマイルストーンが「実践戦略」として提示されている(図2)。

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図2:バリューチェーン・バリューネットワークのデジタル化:2035年までのマイルストーンが5つの重点分野ごとに示されており、20ページ以上にわたってそれぞれの細目が述べられている(クリックで拡大)※出典:実践戦略

 100項目以上に細分化されたマイルストーンの細目を見る限りでは、計画は具体的で網羅的だといえる。インダストリー4.0は抽象的で実態がつかみにくいという批判に応えようとしている意図が感じられる。また「セーフティ・セキュリティ」についても20ページを割いてその重要性を指摘している。

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