IVIが「スマート工場モデル」を公開、先行する独米に対し“日本式”を提案:スマートファクトリー(1/2 ページ)
「つながる工場」実現に向け、製造業、製造機械メーカー、ITベンダーなどが参加するIndustrial Value Chain Initiative(IVI)は、日本のモノづくりの良さを織り込んだスマート工場の基本モデル「Industrial Value Chain Reference Architecture (IVRA)」を公開した。
「つながる工場」実現に向け、製造業、製造機械メーカー、ITベンダーなどが参加するIndustrial Value Chain Initiative(IVI)は2016年12月8日、日本のモノづくりの良さを織り込んだスマート工場の基本モデル「Industrial Value Chain Reference Architecture (IVRA)」を公開した。
「緩やかな標準」から世界のプラットフォームへ
IVIは、日本機械学会生産システム部門の「つながる工場」分科会が母体となり、2015年6月から活動を本格化。2015年度は、日本の現場力を生かした「緩やかな標準」を軸とし、具体的な問題を軸とした企業間協力などの取り組みを推進し、2016年度はこれらの標準を組み合わせた「プラットフォーム化」に取り組む方針などを進めていた※)。
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一方で、2016年4月にドイツで開催されたハノーバーメッセでは、IVIは設立後初めての海外での活動紹介を行い高く評価を受けた。日本独自の立場を発信する価値が見えたことで、その後積極的な海外での広報活動も進めており、今回の「Industrial Value Chain Reference Architecture (IVRA)」についても英語で公開されている。
リファレンスアーキテクチャの策定
IoT(モノのインターネット)の進展により、多くのシステムがつながり新たな価値を生み出す状況が生まれる中で、それぞれが想像もできなかった利害関係が生まれる可能性が出てきている。こうした状況を解決すべく、ドイツのインダストリー4.0や米国のインダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)など先行する団体が取り組んでいるのが、「リファレンスアーキテクチャモデル(参照モデル)」の策定である。
ドイツのプラットフォーム インダストリー4.0では、2015年にインダストリー4.0で描く世界を実現するリファレンスアーキテクチャモデル「Reference Architecture Model Industrie 4.0(RAMI4.0)」を発表。国際標準化の舞台でも同モデルをベースとした話を進めている。同モデルが特徴的なのは、3次元のモデルを描き、その中でバリューネットワーク全体の「論理的なレイヤー構成」を示している点である※)。
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一方のIICも2015年に「IIC Reference Architecture(IIRA)」を発表しており、同アーキテクチャをベースとした標準化への取り組みを進めている。
プラットフォームインダストリー4.0もIICも既に、それぞれのリファレンスアーキテクチャモデルを持ち寄ってすり合わせを進めている。日本企業なども標準化の舞台には参加しているものの、こうした参照モデル構築における主導権争いでは、日本は独自性を発揮できていたとはいえない状況にあった※)。
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こうした流れの中で、日本独自のモノづくりの価値を織り込んだリファレンスアーキテクチャとして今回IVIが発表したのが「IVRA」である。
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