IVIが「スマート工場モデル」を公開、先行する独米に対し“日本式”を提案:スマートファクトリー(2/2 ページ)
「つながる工場」実現に向け、製造業、製造機械メーカー、ITベンダーなどが参加するIndustrial Value Chain Initiative(IVI)は、日本のモノづくりの良さを織り込んだスマート工場の基本モデル「Industrial Value Chain Reference Architecture (IVRA)」を公開した。
日本のモノづくりの強みを織り込んだIVRA
IVIが策定したIVRAは、基本的にはプラットフォームインダストリー4.0のRAMI4.0と同様の3次元の立方体の形で表現する。この3次元モデルの1つのブロックを「スマートマニュファクチャリングユニット(SMU)」とし、製造現場などでの取り組みを1つのユニットとし、3つの軸により判断する。
IVRAでは、高さ方向を「アセット(資産)軸」とし、作業員レベル、プロセスレベル、製品レベル、プラントレベルの4つの段階に分類する。横方向の軸については「アクティビティ軸」とし、Plan、Do、Check、ActionというPDCAサイクルでの分類を行う。そして奥行き方向については「マネジメント軸」とし、クオリティー(Q)、コスト(C)、デリバリー(D)、環境(E)というQCDE活動で示される分類を行う。
IVRAでは、このSMUをいくつかの形に組み合わせて、製造業におけるサプライチェーンやエンジニアリングチェーンなどを表現する。こうしたSMUの複合ユニットを「ゼネラルファンクションブロック(GFB)」としている。GFBでは高さ方向で企業や工場の規模を示し、企業レベル、部門レベル、フロアレベル、デバイスレベルの4つで表現する。また横軸は、エンジニアリングのフローを表現する。マーケティングとデザイン、構築や実装、生産実行、メンテナンスや修理、研究開発の5つの段階に分類する。奥行き方向はニーズや供給のフローを表現しており、マスタープラン、材料調達、生産実行、販売物流、アフターサービスの5段階で分類している。
IVRAではさらにこれらのSMU間でやりとりされるものを「ポータブルローディングユニット(PLU)」とし、具体的には、価値、モノ、情報、データの4つを規定。これらがSMU間をどう移動するのかを正しく表現することで、スマートマニュファクチャリングの効率的な実現を目指すとしている。
従来のRAMI4.0やIIRAなどに比べ、今回提案されたIVRAは、SMUなどで示されるように、具体的な人の作業などを織り込める「現場感」が特徴であるといえる。トヨタ生産方式などを始めとして日本の製造業は人の力を最大化することで現場力を高め、成長を遂げてきた。新たなリファレンスアーキテクチャを世界に発信することで「日本のモノづくり」の価値を織り込んだ、世界のスマート工場の枠組み作りに近づけていく狙いだといえる。
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