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インダストリー4.0における4つの疑問点とその解答IVI公開シンポジウム2016秋(2)(1/4 ページ)

「つながる工場」実現に向け、製造業、製造機械メーカー、ITベンダーなどが参加する「Industrial Value Chain Initiative(IVI)」が取り組みの進捗状況を紹介するIVI公開シンポジウムを開催。本連載では、同シンポジウムの内容を紹介する。第2回はIVIエバンジェリストであるアクセル・ザーレック氏のインダストリー4.0への疑問点を解説についてお伝えする。

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 2015年に6月に活動を本格化させた「Industrial Value Chain Initiative(IVI)」は、さまざまな活動を本格化させている。2016年10月13日に開催した「IVI公開シンポジウム2016秋」では、これまでの活動内容とこれからの活動方針について紹介した。IVIの2016年度の取り組みについて紹介した前回に続き、今回はIVIエバンジェリストであるアクセル・ザーレック(Dr Axel H Saleck)氏の講演の内容を紹介する。

インダストリー4.0でよくある質問

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IVIエバンジェリストのアクセル・ザーレック氏

 ザーレック氏はドイツのITシステム大手のSAPでインダストリー4.0(I4.0)に深く関わった人物で、SAPにおけるデモ生産ラインの構築などで主導的に取り組んだという。現在はITコンサルタントとして活動を行っているが、IVIの活動を世界に発信するエバンジェリストとしての役割を担っている。

 ザーレック氏は、ドイツのインダストリー4.0について主に以下の4つの点について質問を受けることが多いという。


  1. OPC UAはインダストリー4.0において必須?
  2. 「Reference Architecture Model Industrie 4.0(RAMI4.0)」は技術アーキテクチャモデル?
  3. 現時点でもインダストリー4.0対応は可能?
  4. インダストリー4.0は国家的アプローチ?

 「インダストリー4.0への取り組みは、現在進行形であり全てに明確な答えがあるわけではないが、現段階での見解については紹介できる」(ザーレック氏)とし、これらについての現時点での解答について紹介した。

OPC UAはインダストリー4.0において必須?

 インダストリー4.0では、通信プロトコルとして「OPC UA」が推奨規格とされているが、「OPC UAはインダストリー4.0において必須?」という質問に対し、ザーレック氏は「専門家などの話を聞いても90%は『そうだ』と答えている」と述べている。

 「OPC」は「Object Linking and Embedding for Process Control」の略とされており、Windows発祥の技術である。OPCの前身は「OLE for Process Control」と呼ばれていたが、Windows環境以外の広範な領域で利用できるようにしたのが「OPC(OPC UA)」である。ザーレック氏は「OPC UAも課題となる点は多くあるが、既存技術の中ではほぼ唯一大半のニーズを満たし、かつグローバルで受け入れられているという利点がある。オープンソースの実装が可能である他、オブジェクト指向を採用していることでタイプやメソッドなどの定義が可能だ」と述べている。

 一方の課題については、他の規格などをうまく組み合わせて使う動きが出てきている。OPC UAは高度なリアルタイム性が実現できず工場内の制御には不向きだとされてきたが、これらについては新たな規格であるTSN(Time Sensitive Networking)をサポートする予定だといわれている。その他、インダストリー4.0向けには機能などを減らしてシンプル化することなども求められているため、これらに対応する動きなどもあるという。

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OPC UAの利点と課題(クリックで拡大)出典:IVI

 OPC UAとの組み合わせでよく紹介され、今後インダストリー4.0の標準として推奨されそうな規格としては「AutomationML」や「eCl@ss」などが挙げられる。「AutomationML」は、IEC(国際電気標準会議)62814規格で標準化されたエンジニアリングデータのためのデータ交換標準である。既にOPC UAとの連携規格なども公開されている。一方の「eCl@ss」は、業界横断的な製品データ標準で、ISOやIECの認証も受けている。ザーレック氏は「これらの新たな規格との組み合わせはまだ固まったものではないが、今後必要な規格を組み合わせて使うことが当然な流れになるだろう」と語る。

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