パイオニアはライダーで前方監視、室内に後付けできるタイプも開発中:東京オートサロン 2017(2/2 ページ)
パイオニアは、「東京オートサロン2017」において、自動運転車のコックピットを提案した。周辺監視や運転操作を全てシステムに任せる間の過ごし方や、自動運転から手動運転に安全に切り替える工夫を紹介。また、開発中の前方監視用ライダー(LiDAR:Light Detection and Ranging)も披露した。
自動運転中、何する?
コックピットのデモンストレーションでは、目的地を設定し、高速道路に入ってから自動運転が作動。高速道路出口で自動運転から手動運転に切り替わるまでを体験した。
車両が自動運転モードに入ると、センターコンソールの画面で映像や音楽、リラクセーションなど、移動中の過ごし方を選択できるようになる。「リラックス」を選択すると、森林の映像と森の中にいるかのような音が再生され、シートが倒れる。画面表示に合わせて木の香りも楽しむことができる。シートの角度的には居眠りできそうだが、眠りそうであることを検知するとシートの振動や音で起こしてくれる。
ドライバーが倒れたシートでゆったりしている間も、車載情報機器は走行中のルートや走行計画を表示し続ける。車線変更や右左折の場合、例えば右に向かう時に右側から方向指示器の音が聞こえるよう音響技術を活用している。自動運転中であっても、車両の動きがドライバーに分かるようにした。
高速道路の出口に近づくと、30秒後に自動運転を終了する旨が知らされる。ステアリング上のスイッチを2つ同時に押すことで手動運転に切り替えることができる。
ライダーで、遠くの小さな障害物も検知する
デモンストレーションでは、段ボール箱のような障害物を回避するシーンもあった。コックピットには、前方監視用のライダーが装着されていた。100m先まで、3車線分の幅で障害物を検知するという。このライダーは、遠距離用のレーザーと、検知できる範囲の幅を広げるための2つのレーザー、合計3つのレーザー光を発する。
この形状で量産するとは限らないが「後付けで車室内に装着可能なデザインも検討している」(パイオニアの説明員)。パイオニアでは、前方監視用に加えて、車両の四隅に装着して周辺監視を行うタイプのライダーも開発中だ。
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