パイオニアが自動運転車向け3Dライダーの小型化に注力、「価格も1万円以下に」:東京モーターショー2015
パイオニアは「東京モーターショー2015」において、自動運転車で主要な役割を果たすセンサーとして期待されている3Dライダーの大幅な小型化を図るとともに、現在数百万円ともいわれる価格を1万円以下にするという目標を打ち出した。
パイオニアは2015年10月29日、「東京モーターショー2015」(一般公開日:2015年10月30日〜11月8日、東京ビッグサイト)のプレスブリーフィングにおいて、自動運転車で主要な役割を果たすセンサーとして期待されている3Dライダー(レーザースキャナー、レーザーレンジファインダーとも)の開発の方向性について説明した。
同社 取締役 兼 常務執行役員 カーエレクトロニクス事業担当の仲野隆茂氏は「われわれは、これまでに培ってきた光ディスク技術を基に3Dライダーの開発を進めている。自動車業界の各社と意見交換する中で、自動運転車に用いられるセンサーの本命はカメラと3Dライダーだという話が出てくる。このうち3Dライダーは、周辺スキャンに用いるモーターなどの構造による大きなサイズと、数百万円という高価な価格が課題だ。そこで当社はこれらの課題を解決すべく、大幅な小型化と1万円以下の価格を目標にした開発に取り組んでいる」と語る。
パイオニアは現在、自動運転車向けの高度化地図を整備する車両に用いるタイプの3Dライダーを試作した段階。これは、Googleの自動運転実験車などに用いられている3Dライダーと同様に、車両の屋根に設置する大型の製品だ。これを、MEMSミラーなどを用いたスキャン構造の採用などにより、幅6×奥行き7×高さ5cmという手のひらに乗るサイズまでの小型化を計画している。開発目標時期は「2022〜2023年ごろ」(仲野氏)になる。
この小型化した3Dライダーの検知範囲は水平方向が210度、垂直方向は上側に15度、下側に5度となっている。検知距離は80m。ランプカバーなどに組み込むことで車両の四隅に設置し、車両の全周囲を検知できるようにする。
小型化と低価格化以外にも、赤外線レーザーの反射光を受光して得るセンサー情報から、車両や歩行者、障害物といった存在を抽出する際のデジタル処理にも独自の工夫を加えているという。
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