ヴァレオが量産車向けレーザースキャナーを披露、2017年発売の車両に搭載:人とくるまのテクノロジー展2014
Valeo(ヴァレオ)は、「人とくるまのテクノロジー展2014」において、運転支援システムに用いるセンサーデバイスであるレーザースキャナー「SCALA」を展示した。2015年末に量産を始め、2017年に市場投入される量産車に採用される予定。
Valeo(ヴァレオ)は、「人とくるまのテクノロジー展2014」(2014年5月21〜23日、パシフィコ横浜)において、運転支援システムに用いるセンサーデバイスであるレーザースキャナー「SCALA」を展示した。2015年末に量産を始め、2017年に市場投入される量産車に採用される予定だ。
現在、運転支援システムで先行車両や歩行者などを検知するのに用いられているセンサーデバイスとしては、レーザーレーダー、ミリ波レーダー、ステレオカメラなどがある。これに対してSCALAは、独自構造で赤外線レーザーを水平方向の広範囲に照射してスキャンするレーザースキャナーである。ヴァレオが、レーザースキャナーの大手Ibeo Automotive Systemsとの提携によって開発し、量産車向けに提案している製品だ。
レーザースキャナーと言えば、Googleの自動運転車などが車両の周囲360度を検知するため屋根部に搭載しているコップのようなセンサーデバイスを思い浮かべるかもしれない。SCALAはこれと違い、量産車に内蔵できるような形状に仕上げられている。
SCALAの特徴は、同じ赤外線レーザーを用いるレーザーレーダーはもとより、ミリ波レーダーや車載カメラよりも検知性能が高いことだ。現行のレーザーレーダーの検知距離は30〜40m程度と言われている。SCALAは、検知対象が乗用車であれば150m、大型の商用車であれば200m、歩行者についても50mという検知距離を実現した。
ミリ波レーダーやステレオカメラと比べた場合、乗用車の検知距離は同程度になるが、遠距離の対象を検知できる角度範囲で上回っている。150〜200mm離れた距離にある対象の検知角度は、ミリ波レーダーが40〜50度で、ステレオカメラも40度程度。一方、SCALAの検知角度は150度もあるため車両の前面をほぼカバーできる。検知精度も、「SCALAはミリ波レーダーよりも1桁精度が高い数cm単位」(ヴァレオの説明員)となっている。
課題はコストとサイズだ。同説明員によれば、「ミリ波レーダーと比べてコストもサイズも少しだけ上回っている」という。ステレオカメラと比べると、垂直方向(車両の高さ方向)の検知範囲が狭いという課題もある。
なお、赤外線レーザーを用いるレーザーレーダーは、雨や雪などの天候条件に検知性能が左右されてしまうが、レーザースキャナーであるSCALAはそういった問題も解決されている。「検知角度が広く精度も高いので、取得できる情報量はレーザーレーダーよりも格段に多い。これだけの情報量があれば、雨や雪などをノイズと判断してフィルタリングできるので天候による影響を受けにくい」(同説明員)という。
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