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IoTでつながるクルマの未来――コネクテッドカーに向け電機業界がなすべきことIHS Industrial IoT Insight(2)(1/3 ページ)

今後の製造業の発展に向けて必要不可欠とみられているIoT(モノのインターネット)。本連載では、IoTの現在地を確認するとともに、産業別のIoT活用の方向性を提示していく。第2回は、つながるクルマ=コネクテッドカーとしてIoT端末の1つになる自動車を取り上げる。

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 本稿の記事タイトルに矛盾するかもしれないが、筆者は個人的に「IoT(モノのインターネット)」という単語をあまり使わないように心掛けている。この単語は概念としては必要であり、ここで主張させて頂く内容を総括するためにも避けて通れない単語なのだが、言い換えればIoTとは単なる概念にすぎず、具体性を伴う単語ではないので、あまり多用するべきではない、というのが筆者の正直な思いでもある。

 ここではこの矛盾と向き合いながら、自動車用IoTを実例に取り上げて、国内電機業界の各社が考えるべきことについて私見を述べてみたい。

 ネット接続で真っ先に思い浮かぶ機器と言えばスマートフォン(スマホ)だろう。年間の出荷台数は全世界で約15億台、稼働台数で言えば約30億台が世界中に普及しており、われわれの仕事や生活において、インターネットを身近なものにしてくれた機器である。

 あるアンケート調査によれば、日本人のスマホ使用時間は1日平均2時間、女子高生に限って言えば同7時間、という統計があるそうだ。ここまでくると、スマホはもはやわれわれの生活の一部になっている、と言えそうである。

 自動車販売店のディーラーの話では、最近の新車はスマホにつながらないと売れないらしい。スマホに入れた曲をカーステレオで聞く、スマホの画面を車内のディスプレイに映し出す、という機能が当たり前のように要求されている。そしてスマホとつながることによって、クルマは車外のインターネットに接続されることになる。つまり、ネットから見ればクルマはIoT端末の1つになる訳だ。

 さらに一歩進んで、スマホに頼るのではなく、自動車自身がM2M(Machine to Machine)モジュールを搭載してネットに接続する「コネクテッドカー(Connected Car)」も急速に増えつつある。

 例えばドライバーが事故を起こした場合、最も近い緊急対応センターに自動的に通信が行われる緊急通報システム「eCall」は、コネクテッドカーの重要な用途の1つであり、欧州では2018年4月以降に販売される新車には、eCall対応のM2Mモジュールの搭載が義務付けられた。日本国内でもeCall施設が導入されている地域があり、世界的各地で普及する動きが見られる。

 eCallの他にも、TSP(Telematics Service Provider)と呼ばれる業者が、安全性や利便性に関するさまざまなコンテンツやサービスを提供し始めている。特に米国ではこの分野における競争が激化しており、日本でもさまざまなサービスが立ち上がりつつある。コネクテッドカーに不可欠な車載M2Mモジュールの出荷は2016年で約3000万台に達し、これは世界の新車生産台数の30%以上に匹敵する。この比率は年々増加し、2019年には50%に到達するとIHSでは予測している(図1)。

図1
図1 コネクテッドカーの出荷予測(クリックで拡大) 出典:IHS Markit Technology

 ちなみに、トヨタ自動車とKDDIは2016年6月、コネクテッドカーを日米で本格展開すると発表した。国や地域で仕様が異なる車載通信機を2019年までにグローバルで共通化し、2020年までに日本・米国市場で販売する、ほぼ全ての乗用車に搭載する計画である。また、この仕組みを他の自動車メーカーにも開放する予定だという。

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