GEとNECが産業用IoTで提携、「Predix」を共同展開へ:製造業IoT(2/2 ページ)
GEとNECは産業用IoTにおいて包括的な提携を結ぶことを発表した。GEが推進する産業用IoTプラットフォーム「Predix」を共同で展開し、産業用IoTの活用を広げていく。
NECとGEの提携で実現する6つのポイント
今回のGEとNECの提携では、特に以下の6つのポイントでの協力を協議中だという。
- Predixに活用によるサプライチェーンマネジメントの最適化
- PredixへのNECの先進技術の導入
- Predixの共同マーケティング活動
- Predixに関する研修サービスの提供と認定技術者の育成
- 保守、メンテナンスの提供
- ITとOT(制御技術)両面でのサイバーセキュリティ
この中でPredixのサプライチェーンマネジメントへの活用では、NECが自社導入を行うという。既に導入プロジェクトは開始しており、工場内にPredixを導入して情報を取得できるようにし、この情報と基幹システムとの連携を実現するという。どの製品領域で、どの工場で採用するのかについては「検討中の段階で明確なことはいえないが、グローバルに100カ国以上に展開しており、エンジニアリングの必要な製品ということを条件としている」とNECの榎本氏は述べている。
また、NECの人工知能技術のPredixへの活用については、Predix上で提供するマイクロサービス(アプリ)の1つとして提供する計画。現状では画像認識技術の1つを先行して提供し、徐々に拡大していく方針だとしている。GEデジタルのサミュエルズ氏は「ちょうどAppleのiPhoneにおける、iOSとアプリの関係のようなものだ」と述べている。
NECがGEと組む意味とは
GEは今回のNECとの提携の前にも、米国のマイクロソフトやシスコ、オラクルなどIT大手と提携※)。国内でも既に東芝との提携を発表している。
※)関連記事:GEとマイクロソフトが第4次産業革命で提携、PredixとAzureを連携
この狙いとしては、GEが強みを持つOTの力と、大手ITベンダーが持つITの力を組み合わせることで、いち早く産業用IoTの市場を広げようというものだ。GEデジタルのサミュエルズ氏は「GEは、従来隔離されていたOTの世界とITの世界の融合を目指している。パートナーシップにはベンダーと違って3つの意味がある。1つ目はともに成長するという点、2つ目がともに投資をするという点、そして3つ目がともに新たな顧客を勝ち取るという点である。決まっている仕事を依頼するのではなく、ともに新たな市場を切り開いていくパートナーとしてNECとの提携を結んだ」と述べている。
そしてNECへの期待として「日本の市場での強みを持つ点と、人工知能を含むITの知見があり、Predixの強化につながる点」という2点をサミュエルズ氏は挙げている。
一方のNECにとっては、グローバル企業としてのノウハウというのが決め手となったようだ。NECの榎本氏は「2016年春からGE側と多くのミーティングを行ってきた。その中で『NECに何をもたらすのか』を問い続けてきた中で、それでも大きな価値があるということを確認して提携に踏み切った。NECの中でも独自のシステムで工場のIoT化などを進めているが、エンジニアリングが必要な製品で100カ国以上に点在する工場を最適に管理しているGEのノウハウは、学ぶべきところがあると考えた」と語っている。
今後については、NEC榎本氏は「以前から2020年度までにIoT関連で3000億円の売上高を目指すとしてきたが、今回の提携により、これを前倒しで達成したい」と抱負を述べる。
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