国内製造業にとって国際貨物輸送はより重要な役割を果たすようになっている。大型/重量貨物や越境ECの商品をはじめ需要が多様化する航空輸送で、自社の物流網を駆使しさまざまな輸送ソリューションを提供しているのがフェデックス(FedEx)だ。営業統括 マネージングディレクターの清澤正弘氏に取り組みを聞いた。
日本の主力産業である製造業にとって物流はまさに生命線だ。部品や材料の調達から生産した製品の販売まで、プロセスのあらゆる場面で物流が必要になる。ビジネスのグローバル化が進む中で航空輸送は製造業にとって重要な役割を果たす。
足元の需要で伸びているのが大型/重量貨物だ。世界の航空貨物輸送量の約20%が輸送貨物の総重量の80%以上を占めているというデータもあり、ニーズが高いことを意味している。この大型/重量貨物の国際航空輸送に強みを持つのがフェデックスだ。自社で保有する約700機の航空機と各拠点で構成されるネットワークを活用して220以上の国と地域にサービスを提供しており、まさに国際航空輸送のグローバル企業として知られている。
フェデックス 営業統括 マネージングディレクターの清澤正弘氏は「グローバル規模でビジネスを行うお客さまにはその産業専門の営業担当チームを設け、業界やビジネスをよく理解した担当者がお客さまそれぞれにカスタマイズした輸送サービスを提供しています。自動車をはじめとする組み立て製造業や化学、近年需要が伸びているヘルスケアなどの業界に対応し、世界のどの地域での輸送案件も日本の営業担当が対応することで、お客さまへの利便性と安心感につながります」と語る。
大型/重量貨物向けの輸送ソリューションは、定型の輸送サービスと上記のカスタマイズソリューションに加え、特に配達時間の指定や温度管理、輸送中のモニタリングが必要な大型貨物の輸送に有効なフェデックス・カスタム・フレイト、また、顧客自身で見積もりと出荷予約ができる「重量貨物に対する特別割引運送料金オファー」も提供している。これはフェデックスのウェブサイト上で利用できるセルフサービスであるため、見積もり取得から出荷までの期間を短縮できる。
清澤氏は「現在のビジネス環境は変化が激しく、お客さま企業も急なニーズの高まりによる商品追加や製造プランの見直しによる部品の追加、関連する緊急輸送が必要になることもあります。同サービスはそのような案件への解決策にもなり、通常の契約によるサービス利用と使い分けて、ビジネスの機会を逃さないよう対策をするお客さまもいらっしゃいます。重量がある貨物はわれわれのような航空輸送サービスでは割高という印象を持つお客さまにも、価値を提供できるサービスです」と話す。
この料金オファーは、21kg以上の重量貨物輸送で、貨物機の搭載スペースなどに余裕があり特別割引料金の条件を満たす場合は、最大80%引きの料金になることもある輸送サービスだ。
小規模事業者のビジネスもグローバル化が進み、航空輸送ニーズが高まりつつある。特に輸入でフェデックスの活用ができそうだ。「最近の燃料や資材の高騰で輸送コストに注目するお客さまが増えていますが、輸送は出荷から配送までの全体を考える必要があります。フェデックスはドア・ツー・ドアの輸送を自社の物流網で提供するため、お客さまには輸送サービスの価値、輸送スピード、信頼性と利便性、そのプロセス全体と価格とのバランスを見て納得して頂くケースが増えていることは確かです。とりわけ輸入を行うお客さまには、ドア・ツー・ドアの輸送であることで、競争力の高い料金を提示することができています」
航空輸送市場におけるもう一つのトレンドが越境ECだ。越境ECの世界市場規模は2030年までに約7兆9380億米ドルに達し、平均成長率は約26.2%になるという予測もある。中国、米国、英国に次ぐEC市場規模を持つ日本も、越境ECの需要拡大に大きな影響を受けることになる。
急激に拡大するインバウンド需要と越境ECには密接な関わりがある。清澤氏は「観光で来日した際に小規模のメーカーや小売店の商品に触れ、購入した外国の方が帰国後、オンラインでリピート購入するケースも増えていると聞きます。訪日外国人数が過去最多を記録する現在、可能性は全国の事業者に広がっているのです。また、EC事業者も差別化を図るためにこれまで越境ECでは販売が少なかった商品を扱うケースも増えているようで、輸送物品と仕向け先は多様化が進んでいます」と説明する。
フェデックスは2024年7月に「フェデックス・インターナショナル・コネクト・プラス(FICP)」のサービス対象地域を、これまでのアジア太平洋地域から米国と欧州に拡大した。FICPは越境ECで取引される商品のように比較的小さな10kg以下の貨物の輸送に最適で、所定の期日内で配達する。週末と主に米国では18時以降の配達にも対応することで個人宅への配送の利便性を高めている。通関手続きや輸送中のトラッキングでサービスの信頼性を保ちつつ、輸送スピードと価格のバランスが取れた商品だ。
FICPはデジタルツールとの組み合わせによって利便性がさらに高まる。荷物を受け取る購入者が、受け取り日時や場所を変更することができる『FedEx Delivery Manager』は、EC全体での効率向上に有効なツール。また、荷物の受け取り方の選択肢を広げるため、置き配の際の配達完了を画像で確認できる『写真付き配達証明』の提供を開始した。
フェデックスがさまざまな物品の輸送と多様な輸送ニーズに柔軟に対応できるのは、米国での会社設立以来培ってきたグローバルネットワークを常に最適化しているためだ。
フェデックスが物流会社であり約700機の航空機を運航する航空会社であることが、貨物搭載スペースの確保、特に大型/重量貨物輸送のためのスペース確保では強みとなる。そのためネットワークが常に輸送ニーズにマッチしていることが重要なのだ。
清澤氏は「輸送の需要の変化に応じて地域ごとに便数を増減したり輸送効率を高めるためにより大きな貨物機を導入したり、業務の仕方をアップデートしたりと、常にネットワークの最適化を図ってお客さまの輸送ニーズに応えています」と説明する。
ビジネスにおいて、気候変動や環境に配慮した責任のある方法を用いた発展は重要課題であり、物流業界の取り組みには注目が集まっている。
清澤氏は「当社のお客さまからも輸送におけるCO2排出量に関連する問い合わせを頂くことが多くなりました。フェデックスはグローバルで2040年までにカーボンニュートラルな輸送業務を実現するため、Reduce(削減)、Reuse(リユース)、Revolutionize(技術的革新)という3つのアプローチで輸送業務による環境負荷削減に取り組んでいます」と説明する。
具体的には、より燃費の良い貨物機の導入や代替燃料の使用、電気自動車(EV)の導入、物流施設でのソーラー発電の活用などが進んでいる。2030年までに新規導入する輸送車両の100%をEVにする、代替燃料の使用率を30%にするといった中間目標も掲げており、着実に推進する姿勢は明確だ。
また、フェデックスは、貨物輸送時のCO2排出想定量を可視化できるツール「FedEx Sustainability Insights」を提供している。アカウント別または輸送ごとのCO2排出量を試算するこのツールは、フェデックスを利用する顧客企業のCO2排出削減の取り組みを後押しする。「どうしても削減できないCO2に対する取り組みとして、フェデックスは科学的なアプローチをとり、炭素除去技術の研究を行うYale Center for Natural Carbon Capture(イェール天然炭素回収センター)の設立を支援しました。環境への配慮では自社の取り組みに加えて外部の協力者やお客さまも含めて業界全体での共創を進めていきます」
サステナビリティという観点では人的資本を重視した施策も注目すべきポイントだ。各従業員へのスキルアップサポート、女性従業員のマネジメントへの挑戦を含む環境整備、障がい者の雇用と働き方支援、子育てや介護などそれぞれの状況に応じた働き方を可能にする柔軟な制度など、職場でのDEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の実現にも取り組んでいるという。
フェデックスは2024年8月で日本での法人設立40周年を迎え、刻々と変化、多様化するビジネスと顧客のニーズ、また最も重要な資産である従業員のニーズに合わせて変化を続ける企業であり続ける。ますます重要度を増していく国際航空輸送において、同社は大きな存在感を見せている。
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提供:フェデラルエクスプレスジャパン合同会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2024年12月22日