倉庫面積を75%削減 製造業でも導入多数の自動倉庫化システムが革新的な理由物流のスマート化

人件費の高騰や労働力確保の難しさから、製造業でも「自動倉庫」への関心が高まりつつある。従来人手作業が多くかかっていた倉庫業務の自動化に対する期待は大きいが、その真価とはどのようなものだろうか。

» 2024年05月27日 10時00分 公開
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 ロボットなどの機械やITシステムを活用して入庫から出庫までの業務を自動化した「自動倉庫」への関心が高まりつつある。主に流通業界を中心に導入されているようにも見えるが、現在導入が加速しているのが製造業だ。多様なニーズに応えるためあらゆる分野で多品種少量化が進み、保有部品数などが増大している他、コロナ禍によるサプライチェーンの混乱などを経て部品在庫の在り方を見直す動きもあり、自動倉庫がその解決策として期待されている。

 製造業が倉庫を自動化することで得られるメリットは何だろうか。高密度自動倉庫システム「AutoStore(オートストア)」を開発・提供するAutoStoreの日本法人であるオートストアシステムのマネージングディレクターの安高真之氏と、AutoStoreのグローバルディストリビューターであるソフトバンクロボティクスのロジスティクス事業本部統括部長の武田一哉氏に話を聞いた。

保管効率の高さと拡張性を誇る「AutoStore」

 AutoStoreは、高密度に収納された専用コンテナ(ビン)をロボットが出し入れする高密度自動倉庫システムだ。格子状に組んだロボット走行用レール「グリッド」の下部にビン(専用コンテナ)が隙間なく格納され、縦横無尽に走行するロボットが目的のビンをピッキングして外部の受け取り口(ポート)に搬送する。作業用通路などを排した高密度な構造が特徴だ。

photo ソフトバンクロボティクスの拠点内に設置されたAutoStoreのシステム。ロボットが走り回りビンを自動で運ぶ[クリックで拡大]
photo オートストアシステム マネージングディレクターの安高真之氏

 「AutoStoreは、建屋の形状に合わせて柔軟に倉庫内のスペースを高さ方向を含め活用できるため、条件によっては約75%の倉庫面積を削減できたケースもあります。自動倉庫の中でも高い保管効率を誇り、新たな拠点を用意しなくても取り扱い点数を増やすことで事業を拡大することが可能です」と、オートストアシステム 日本事業担当マネージングディレクターに就任(2023年5月)した安高氏は強調する。

 AutoStoreは柔軟な拡張性も強みである。ビン、グリッド、ロボット、ポート、コントローラーという5つのモジュールをスペースに合わせて自由に配置でき、ポートの増設やロボットの追加、面積の拡張などもほぼ無停止で行える。グローバルにおける1400のAutoStore導入事例の約7割が既存倉庫または工場への後付けでの導入だ。

photo AutoStoreの全体イメージ[クリックで拡大] 提供:オートストアシステム
photo ソフトバンクロボティクス ロジスティクス事業本部 統括部長の武田一哉氏

 AutoStoreは、大規模化する倉庫のニーズに合わせて高出力化、大規模化も進めている。既存顧客の「ポートから送り出されるビンの量(スループット)をさらに増やしたい」という声に応えるべく、新たな管理ソフトウェア「Router(ラウター)」を開発し、倉庫からのより早い出庫を実現した。以前はあらかじめ設定した走行ルートをロボットが動くため、ルート上で他のロボットが作業していると作業完了まで待機していた。Routerは毎秒最適ルートを計算し直すことで渋滞を回避でき、シャトル並みの速さを実現した。

 ソフトバンクロボティクスの武田氏は「ソフトウェアの改良の他、複数間口を備えた新世代高機能ポート『Fusion Port』の提供、7分の充電で180分稼働という急速充電が可能なロボットの新型モデル投入など、ここ数年のAutoStoreのスループット向上には目覚ましいものがあります。数年前に検討されて、作業スピードの点で合致しなかった企業もあらためて検討していただく価値があります」と自信を見せる。

製造業でも着々とAutoStoreの導入が拡大

 AutoStoreは物流業界で採用されているイメージが強いが、グローバル1400の事例の33%は製造業だ。国内では40%以上が製造業であり、製造業が中心になっていると言える。「コロナ禍で部品不足に苦しんだ企業も多く、在庫に対する考え方が変わってきています。必要な在庫は持つという姿勢に変わったことで在庫管理の必要性が高まり、自動倉庫を検討する製造業が増えています」(安高氏)

 製造業における利用シーンとしては「出荷用製品保管」「スペアパーツ保管」「製造用部品一時保管」の3つがメインとなっている。「事業の拡大に合わせて在庫の保管場所を増やす必要がある場合でも、AutoStoreを導入することで新たに拠点を建てたり倉庫を借りたりしなくてもよいこともあります。こうした投資分を考慮するとAutoStoreを導入した方が費用対効果の面で優れている場合も多くあります」と安高氏は訴える。

 自動倉庫は大掛かりな実装が必要なため中小製造業は腰が引けてしまうかもしれないが、「グローバルでの導入実績を見ると必ずしもそうではありません」と安高氏は強調する。「今でこそAutoStoreは巨大化する倉庫ニーズに対応するようになりましたが、これまでに導入した拠点のサイズを見ると小規模かつスピードもそこまでシビアに求めない現場が圧倒的に多いのです。国内では1万ビンから3万ビン程度、ロボットは20台から30台程度の規模がコアスポットです。さらに小規模から徐々に拡張していけるので、さまざまな規模での要求に応えられます」(安高氏)

製造業にAutoStoreが評価される3つの理由

 AutoStoreが製造業に選ばれる理由は3つある。1つ目は製造業における保管スペースの確保という頭の痛い問題をダイレクトに解決してくれることだ。加えて、製造業では物流業務が生産プロセスと組み合わさっている。そのため、保管スペースは製造現場に近いロケーションでなければならないなど細かな制約も発生する。柔軟性の高いAutoStoreならこの制約条件もクリアできる。

 2つ目は生産性の向上に寄与することだ。労働力不足が課題になっている中で、大量の部品から人力で目当ての品を探すのはあまりに非効率だ。会社によってはピッキング担当ではなくオペレーター自身が部品を探しに行くケースもある。AutoStoreを活用することにより歩行者の歩行が大幅に減るため、業務負荷の削減とともに作業標準化・生産性向上につながる。

 3つ目が正確性だ。機械部品などは似ているものも多く、人手によるピッキングではミスが多くなる。製造業におけるピッキングのミスは、生産工程に直接的に影響する。ロボットによるピッキングであれば対象の商品や部品を自動で作業者に届けてくれるため、ミスが発生するリスクを低減することが可能だ。

 AutoStoreは不慮の稼働停止が非常に少ないことも評価されている。「AutoStoreのアップタイムの平均値は、グローバルが99.7%、日本は99.8%です。1カ所が止まると全てが止まるといったシングルポイント障害(SPOF)もありません。生産を止められない製造業にとって信頼性は非常に重要で、その点でも強みだと言えます」と安高氏は訴える。

 2024年1月現在、国内のAutoStroreの導入事例は64あり、製造業ではファナックパートロニクスなどが導入している。ファナックパートロニクスはロボット製造工場にAutoStoreを導入し、ロボットの製造に必要なパーツをタイムリーに補給する用途で利用している。AutoStore導入以前から同社は物流の整流化などを行っていたが、それでも生産効率は約40%向上したという。

自動倉庫だけでは難しい製造業の課題を解決するソフトバンクロボティクス

 製造業にとって自動倉庫は大きな価値を生むが、工場で使用する場合は周辺のモノづくり工程との整合性なども重要になる。こうした場面で力を発揮しているのがAutoStoreとグローバルディストリビューター契約を結んでいるソフトバンクロボティクスだ。

 「われわれは、顧客のプロセス全体を見て適切なソリューションを提供するという考えを大前提としています。AutoStoreはわれわれのキーソリューションですが、それだけでは解決できない問題も工場などでは多く生まれています。周辺のプロセス改善やそれに必要なソリューションなども最適な形で提供できるところがソフトバンクロボティクスの強みだと考えています」とソフトバンクロボティクスの武田氏は述べる。

 ソフトバンクグループでは、パレットの取り扱いを無人化する自動運転フォークリフトを提供するフランスのBALYO、ロボットの走行ルートやパレットの最適化によって効率化された自動倉庫システムを構築する米国のSymbotic、AIなどを駆使しロボットアームによるピッキングおよび仕分けの自動化ソリューションを提供する米国のBerkshire Greyなど、 AIを活用し産業用オートメーションを変革する企業に投資しており、ソフトバンクロボティクスはこれらの企業とともに最適なソリューション開発・世界規模での展開に向けて動いている。

 さらに、日本に存在するAutoStoreのパートナー4社の中で唯一、グローバルディストリビューター契約を結んでいるため国外の工場などにも一気通貫で導入することも可能だ。「製造業はグローバル展開している企業も多いのですが、自動倉庫を組み合わせた新たなモノづくりプロセスなどを海外展開する際にも、全面的に支援できます」とソフトバンクロボティクスの武田氏は述べる。

 製造現場では人手不足が深刻化しており、構内搬送や倉庫業務など人手の必要性がない領域での自動化が必須になりつつある。格納性や拡張性に優れ、事業成長や建屋に合わせた柔軟な導入が可能なAutoStoreはその解決策の一つになり得る。また、ソフトバンクロボティクスは行政書士法人と提携し、補助金申請から導入まで支援するサポートサービスも提供しており、中小企業の自動化も後押ししている。倉庫業務の自動化と併せてモノづくりプロセスの改善などを考えた場合はソフトバンクロボティクスに一度相談してみてはいかがだろうか。

photo オートストアシステムの安高氏(左)とソフトバンクロボティクスの武田氏(右)

ものづくりワールド 2024ではAutoStoreのデモ機を展示

 ソフトバンクロボティクスは、「ものづくりワールド 2024」(2024年6月19〜21日、東京ビッグサイト)に出展し、AutoStoreのデモ展示を行う。千葉県市川市にあるソフトバンクロボティクスの市川DC(ディストリビューションセンター)内の「SoftBank Robotics Logistics Innovation Lab」には、日本最大級のAutoStoreのデモ機もあり、申し込めば気軽に見学することができ、導入検討時には実際の生産性を検証できる。

 「ものづくりワールドでは、デモ機をご覧いただいてイメージを膨らませていただければと思います。さらに詳しく見たいという方は、ラボにお越しいただければ詳細にご説明することもできます。実際に生産性がどれくらい上がるのかといった実験も可能ですので、ぜひご活用ください」(武田氏)

photo SoftBank Robotics Logistics Innovation Labに設置されたAutoStoreのシステム[クリックでSoftBank Robotics Logistics Innovation LabのWebサイトへ]

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