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» 2023年03月16日 10時00分 公開

いまさら「Atom」推しはなぜなのか 組み込みコンピュータの常識が変わる組み込みコンピュータ

「Atom」といえば、“低消費電力だが処理能力が低い”“過去のCPU”というイメージが強いかもしれない。そのような固定観念を打ち破る、最新Atomの「Elkhart Lake」を搭載する組み込みコンピュータをいち早く投入したのがイノテックだ。

[PR/MONOist]
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 x86系CPUを搭載する組み込みコンピュータは、製造装置や工作機械、社会インフラ、医療といった幅広い分野で機器の制御に用いられている。同じx86系CPUを搭載するものの、オフィスや家庭で使われるPCとは要件が大きく異なる。例えばモノづくりの現場のような振動や気温の変化、電磁波などの影響を受ける環境でも安定稼働することが求められる。

 利用期間の長さにも大きな違いがある。オフィスなどで使われるPCは、減価償却が終わるタイミングで新しい製品に入れ替えることが多い。これに対し、組み込みコンピュータは10年を超えて使われることも珍しくない。長期間の稼働を実現するため組み込みコンピュータは高品質の部品で作られており、設計も長期稼働を前提としている。交換部品も長期で在庫しておかなければならない。

「Core i5」をしのぐ、最新「Atom」の性能

 x86系CPU搭載組み込みコンピュータ市場において積極的な事業展開を進めているのがイノテックだ。国内ベンダーとして自社設計/国内生産を行うだけでなく、半導体商社であったノウハウを生かしてコロナ禍における世界的な半導体不足の状況においても安定的な供給に努めてきた。

 そのイノテックが組み込みコンピュータに積極的に採用しているのがインテルの「Atom」だ。

 2008年に登場したAtomは、低価格PCやモバイル端末などに採用されることが多かった。そのため、現在でもAtomには“低消費電力だが処理能力が低い”というイメージが残る。イノテック インテリジェントシステムソリューション本部(以下、ISS本部) ISS技術部 部長の赤尾光一郎氏は「現時点では一般向けPCに搭載されるCPUにAtomの名称が採用されていないこともあり、Atomを“過去のCPU”と認識している方も多いかと思います」と語る。

 しかし、インテルの他CPUと同様にAtomも着々と進化を続けている。低消費電力を追求したLPIA(Low Power Intel Architecture)カテゴリーのCPUとして登場したが、現在のAtomは低消費電力性能をさらに強化し、発熱の少ないCPUという地位を確立しているのだ。

 最新のAtomは、2020年9月に発表された「Elkhart Lake」を開発コード名とする「Atom x6000Eシリーズ」だ。Elkhart LakeはIoT(モノのインターネット)エッジデバイスでの利用に最適な性能と機能を特徴としており、処理性能も大幅に向上している。既存のAtomとベンチマークスコアを比較すると、Elkhart Lake世代の「Atom 6425E」は、「Bay Trail」世代の「Atom E3845」の約4倍、「Apollo Lake」世代の「Atom x7-E3950」の2倍弱となっている。

「Elkhart Lake」製品である「Atom 6425E」と他CPUの比較 「Elkhart Lake」製品である「Atom 6425E」と他CPUの比較[クリックで拡大] 提供:イノテック

 それ以上にインパクトがあるのが、メインストリームCPUである「Core i5」との比較だろう。これまでは、AtomとCore i5の処理性能は比較にならないというイメージがあったが、Atom 6425Eのベンチマークスコアは組み込みコンピュータでも広く利用されている「Core i5-6300U」を上回っているのだ。実コア数でも、Core i5-6300Uの2コアに対してAtom 6425Eは4コアとなった。Atomを“時代遅れで性能がプアなCPU”と認識していた方々は、この事実をどう思うだろうか。

 もちろん、Atomが得意とする低消費電力性能も得られる。低消費電力性能は発熱の少なさにつながり、組み込みコンピュータで大きなメリットとなる「ファンレス」が可能になる。長期的に運用する組み込みコンピュータのウイークポイントとなる可動部のファンを省ければそれだけ信頼性は高まる。ヒートシンクも小さくて済むので、ボード全体の小型化はもちろん、製造コストの削減や設置の自由度などでも良い結果をもたらす。

 そしてコスト面でも大きなメリットが得られる。Atom 6425Eの価格はCore i5-6300Uの4分の1以下なので、その分購入費用を抑えられる。加えて、Atomであれば組み込みコンピュータのOSとして広く利用されている「Windows 10 IoT」を安価に利用できるという恩恵も受けられる。

「Atom 6425E」と「Core i5-6300U」の比較 「Atom 6425E」と「Core i5-6300U」の比較[クリックで拡大] 提供:イノテック

 Elkhart Lakeは、他にも現代の組み込みコンピュータに求められる多くの機能が搭載されている。3画面の4K同時出力が可能なグラフィックス機能を備えた内蔵GPU、高度なネットワーク機能などだ。「特に内蔵GPUは画像検査などのAI(人工知能)処理を行うこともある現代のエッジ機器で大いに役立つでしょう」(赤尾氏)

イノテックがいち早くElkhart Lake搭載製品を投入できた理由

 組み込みコンピュータは長期にわたって稼働を続けるため、CPUはアーキテクチャに大きな変更があった後の製品が採用されるのが一般的だ。現在稼働中の組み込みコンピュータは、開発コード名でいうと「Sandy Bridge」(第2世代/2011年)、「Ivy Bridge」(第3世代/2012年)、「Skylake」(第6世代/2015年)などが使われていることが多い。

 発表から10年前後が経過したこれらのCPUは製造中止になったか、間もなく製造中止を迎えることになる。Atom 6425Eとの比較で挙げたCore i5-6300UはSkylake世代に当たり、既に入手困難を理由に顧客への供給を取りやめるベンダーも出てきている。イノテック ISS本部 ISS営業部 営業グループ グループリーダーの佐藤英治氏は「Skylakeを上回る性能を持ち、コストも消費電力も抑えられるElkhart Lakeは置き換えとして最適な選択ではないでしょうか」と強調する。

 イノテックは、このように組み込みコンピュータのCPUとして最適なElkhart Lake搭載製品を国内ベンダーとしていち早く市場投入するとともに、複数のラインアップを展開している。赤尾氏は、同社が先行して製品開発できた理由として「半導体商社として培った部品調達力に加えて、組み込みコンピュータの設計体制を見直して長期の教育を実施し、人員を拡充したことが大きく貢献しました。各技術者が設計から評価まで担えるようになり不具合対応にも当たれるようになるなど、リソースを確保できています」と説明する。

ボード型とボックス型、導入環境や用途で選べる2タイプを展開

 イノテックは現在、2種類のElkhart Lake搭載製品を提供している。CPUボードの「AX-1020」とボックス型の「EMBOX TypeAE1010」だ。

 AX-1020は、外形寸法で幅125×奥行き140mmという省フットプリントを実現したCPUボードだ。特筆すべきなのは、この小さなサイズでありながらレガシーを含め豊富なインタフェースを備えている点だ。ボード側面にあるBoard to Boardコネクターを使えばさらにインタフェースを拡張できる。

「AX-1020」の外観 「AX-1020」の外観[クリックで拡大] 提供:イノテック

 ボックスコンピュータのEMBOX TypeAE1010は外形寸法が幅128×奥行き98×高さ34mm。超小型のAX-1020を上回るさらなる省フットプリントを実現している一方で、メモリやストレージはもちろん、ケース内部に高効率のDC-DCコンバーターを内蔵している。丈夫なアルミケースと大型のヒートシンクに覆われた本体は、単体で運用できるコンピュータとして導入場所を選ばずに多彩な用途に活用できる。なお、コンパクトサイズのボックス型組み込みコンピュータではストレージにeMMCを採用することも多いが「より信頼性を高めるためにオンボードSSDを採用しています」(赤尾氏)という。

「EMBOX TypeAE1010」の外観 「EMBOX TypeAE1010」の外観[クリックで拡大] 提供:イノテック

 EMBOX TypeAE1010は、Wi-FiだけでなくLTEにも対応している。LTE通信のためのSIMカードスロットは本体外部からアクセス可能な仕様となっており、製造出荷のどの段階でもSIMカードを装着できる柔軟性を確保した。

安心して導入/運用できる、心強いサポート体制とツールを用意

 AX-1020とEMBOX TypeAE1010は、Windows 10 IoTと組み込みLinuxの他、「VxWorks」などのリアルタイムOSにも対応する。

 イノテックは、これらのOSをサポートするとともに独自開発のツールも提供している。Windows向けでは、RAS(Reliability:信頼性、Availability:可用性、Serviceability:保守性)の状態をモニタリングするソフトウェアを提供する。佐藤氏は「RASモニタリングソフトウェアはWindows用APIでの提供と、アプリケーションとしてWindowsで稼働する実行ファイルの2種類を用意しています」と語る。Windows 10 IoTから導入されたストレージ保護機能であるUWF(Unified Write Filter)をGUIで設定/評価する「UWF Package」というツールも提供している。

 多くのディストリビューションがある組み込みLinuxやリアルタイムOSのサポートを公表できるのもイノテックの強みだ。自社で設計して国内で生産していることで、仮にトラブルが発生しても対処法を探りやすいという。

より幅広い稼働環境に対応する製品バリエーションの拡大を計画中

 イノテックは、AX-1020とEMBOX TypeAE1010の他にもElkhart Lake搭載製品のラインアップを拡充する計画だ。2023年内には、AX-1020のボックス版である「EMBOX TypeAE1065」、EMBOX TypeAE1010のCPUボード版である「AX-1010」に加えて、PCI Expressスロットを搭載したボックス版の「EMBOX TypeAE1070」などをリリースする。

CPUボード版製品の仕様表 CPUボード版製品の仕様表[クリックで拡大] 提供:イノテック
ボックス版製品の仕様表 ボックス版製品の仕様表[クリックで拡大] 提供:イノテック

 繰り返しになるが、イノテックは国内ベンダーとしていち早くElkhart Lakeを搭載する組み込みコンピュータを手掛け、既に複数の製品を市場投入している。ラインアップもさらに拡大しているので、現在開発中の製品に最適な製品が見つかるだろう。サポート力にも定評のあるイノテックが提供する最新Atomのメリットをご享受いただきたい。

イノテック ISS本部 ISS技術部 部長の赤尾光一郎氏(右)と同本部 ISS営業部 営業グループ グループリーダーの佐藤英治氏(左) イノテック ISS本部 ISS技術部 部長の赤尾光一郎氏(右)と同本部 ISS営業部 営業グループ グループリーダーの佐藤英治氏(左)[クリックで拡大]

 なお、イノテックは2023年4月5〜7日に東京ビッグサイトで開催される「第26回 組込み/エッジ コンピューティング展 春」に出展する(小間番号:E43-18)。本稿で紹介したAX-1020やEMBOX TypeAE1010の実機を確認するとともに、より詳しい情報を担当者に問い合わせる良い機会になるだろう。

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提供:イノテック株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2023年3月22日