リモートワークを諦めていた設計現場に救いの手を差し伸べる「CAD on AVD」設計環境/設計業務を変革する

新たな働き方が求められる中、高性能ワークステーション上で動作する3D CADを用い、大規模なアセンブリなどを扱う設計業務のリモートワーク化の実現は容易なことではない。大塚商会はそうした常識を覆し、設計現場の柔軟な働き方の実現や、設計環境の構築/検証を迅速に行える支援サービス「CAD on AVD」を展開する。

» 2022年12月19日 10時00分 公開
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 近年、働き方改革やコロナ禍における新たな勤務形態として、リモートワークを推進する企業が増えている。だが、高性能ワークステーション上で3D CADを動かし、数百MBにもなる大容量データを扱うような設計部門がリモートワークを実践するのは容易ではない。また、モバイルワークステーションを導入することで、設計者の柔軟な働き方に対応するケースも考えられるが、機密情報でもある設計データを守るためには、万全なセキュリティ対策を講じる必要があり、導入のみならず運用/管理コストの増大は避けられない。

 そこで注目されているのが、VDI(仮想デスクトップ)だ。データをオンプレミスサーバやワークステーション、クラウドに格納し、仮想デスクトップツールで画面転送する。これであればクライアント端末で画面を表示させるだけなので、マシン性能もそれほど問われず、データの漏えい/紛失の懸念はない。ネットワーク接続環境さえあれば、いつでもどこからでも作業ができる。

 では、どのようなVDIを選択すべきなのか。VDIにはオンプレミス方式、ワークステーション方式、クラウド方式がある。オンプレミス方式は一定数のサーバを自社で調達/設置し、運用する方式だ。この場合、サーバやネットワーク管理をはじめ、セキュリティ対策を全て自社で行う必要がある。一方、ワークステーション方式では調達、キッティング、インストールなど、膨大な導入工数がかかる。加えて3D CADのバージョンアップや日常的に発生する機器のトラブルにも対応しなければならない。

 大塚商会 マーケティング本部 CADプロモーション部 戦略推進課 課長代理の藤田昌弘氏は「これらの課題を考慮すれば、クラウド方式が現実解でしょう。ネットワークインフラや関連技術の進化によって、製造業においてもクラウド活用が加速しています。特に、仮想化技術を活用してVDI環境をパブリッククラウド上で運用し、ITシステム基盤やクライアント管理の手間を削減したいという機運は高まっています。そうしたニーズに応えるのが、大塚商会が提供する『CAD on AVD(Azure Virtual Desktop)』です」と語る。

大塚商会 マーケティング本部 CADプロモーション部 戦略推進課 課長代理の藤田昌弘氏 大塚商会 マーケティング本部 CADプロモーション部 戦略推進課 課長代理の藤田昌弘氏

「CAD on AVD」の活用メリットとは?

 AVDは、マイクロソフトのパブリッククラウド「Microsoft Azure」上で動作するDaaS(Desktop as a Service)で、企業はAzureが提供するコンピューティングリソースを必要に応じて利用できるため、高性能なワークステーションはもちろん、仮想デスクトップ用のサーバやストレージなどのハードウェア、仮想化ソフトなどを用意する必要がない。VPNは不要で、インターネット接続のみで利用できる。

 CAD on AVDとは、このAVD上で2D/3D CADを利用できる大塚商会の独自サービスだ。AVDには、CADソフトがストレスなく動作するGPUボードを備えた仮想マシンも用意されている。例えば、NVIDIAのGPU「NVIDIA A10」とAMDのCPU「AMD EPYC 74F3V(Milan)」を搭載した「NVads A10 v5 シリーズ」が複数台用意されているので、作業ボリュームに合わせてリソースを組み合わせることが可能だ。「AVDのメリットは、GUI上でマシンとOSの種類を選択してデプロイするだけで、複数の環境を瞬時に構築できる点です」と藤田氏は力説する。

「CAD on AVD」のイメージ図 図1 「CAD on AVD」のイメージ図[クリックで拡大]

 例えば、普段6コアの環境で設計している部門が、新規プロジェクトで大規模アセンブリを扱うことになった場合、管理者が統合管理コンソール上でコア数を12に変更するだけで新たな環境を用意できる。「定期的な機器更新時の選定や調達などの導入工数の削減はもちろん、プロジェクトが終了してマシンが不要になったら削除すればよいので、導入/運用にかかるコストも適正化できます」(藤田氏)。

 もう1つ、CAD on AVDの利用で得られる大きなメリットは、OSやソフトのバージョンアップに伴うCADの検証環境を柔軟に構築できる点だ。一般的なCADソフトは、1年単位でバージョンアップを繰り返す。Windows OSも定期的にバージョンアップする。しかし、設計現場では現行のCAD環境をカスタマイズして利用しているケースが多いため、定期的なバージョンアップにはすぐに対応できない。また、設計現場によっては複数のCADを併用している場合もあり、OSをアップデートするには、全てのCADで動作検証する必要がある。藤田氏は「設計部門では、OSやソフトの最新機能に対するニーズよりも、『カスタマイズしたCADを長く使いたい』というニーズの方が大きいのです」と指摘する。

 実際、全社一斉に最新の「Windows 11」に移行したくても、カスタマイズして運用するCADは旧OS上でしか動作検証できていないため、設計用のワークステーションのOSをアップデートできず、Windows 11の全社導入を控えている企業もあるという。藤田氏は「こうした課題を抱えている企業にこそ、CAD on AVDは有用なのです」と訴える。

 実は、AVD上のWindows OSは、デスクトップ版Windows OSと比較してサポート期間が3年延長されており、例えば、2022年11月時点でサポートが終了しているWindows 7の場合でも、Azure上では現在も継続して利用できる。「こうしたマイクロソフトのポリシーを活用すれば、業務系端末としてWindows 11搭載PCを導入しつつ、CAD on AVDでWindows 7を延命させながら現行CAD環境で設計業務を行い、これと同時に、新OS環境でCADの動作検証を進めるといった活用が可能になります」(藤田氏)。

業務系端末の一例として、日本HPの薄型軽量ビジネスモバイルPC「HP Elite Dragonfly G3」がある 図2 業務系端末の一例として、日本HPの薄型軽量ビジネスモバイルPC「HP Elite Dragonfly G3」がある[クリックで拡大]

 ちなみに、CAD on AVDで動作検証済みのCADとしては、「AutoCAD」「SOLIDWORKS」「CATIA」「Creo」「NX」など、日本の設計現場で普及する主要な商用CADソフトが多く含まれている。

派遣先に合わせたCADトレーニングや協力会社との協調設計にも活用

 「仮想マシンを利用ソフトごとに使い分けられる」「機器選定やCADの設定/デプロイが統合管理コンソール上で一括操作できる」といった利点を備えるCAD on AVDは、さまざまなシーンで活用されている。

 例えば、自動車メーカーにエンジニアを派遣する人材派遣会社では、各種CADのトレーニング環境をCAD on AVDで構築。同じ自動車メーカーであっても派遣先部門によって利用するCADの種類が異なったり、同じCADでもバージョンによって機能や操作性が微妙に違ったりするため、人材派遣会社では派遣先で利用されているOSとCADの環境を全てCAD on AVDで構築し、必要に応じてデプロイしているという。

 また、協力会社との協調設計をCAD on AVD上で実施しているケースもある。ある企業では、協力会社との設計データのやりとりにファイル共有サービスを利用していたが、複数のコピーが作られることでバージョン管理が煩雑になったり、データのアップロード/ダウンロードに時間がかかったりするなどの課題を抱えていたが、CAD on AVDの導入でこれらの課題を一気に解消できたという。

 「CAD on AVDであれば、インターネット接続でどこからでもデータにアクセスして作業できますし、設計データを外部に渡すことがないのでデータ漏えいの心配もなく、セキュリティ対策コストを大幅に削減できます。また、マイクロソフトは西日本と東日本の2箇所にAzureのデータセンター(リージョン)を擁しており、リージョンペアでデータを同期しています。データバックアップの観点からも、自社で管理するよりもはるかに堅牢(けんろう)だといえます」(藤田氏)

「CAD on AVD」の導入イメージ。製造業での構成例(PDMのマルチサイト) 図3 「CAD on AVD」の導入イメージ。製造業での構成例(PDMのマルチサイト)[クリックで拡大]

「CAD on AVD」の無償トライアル環境で実務を想定したテストも

 大塚商会は「企画(テスト環境の構築)」「検証(PoC:概念実証)」「設計(環境の拡大計画)」「構築」「運用」のステップで、顧客企業へのCAD on AVD導入を支援する。

 企画の段階では、CAD on AVDを無償トライアルできるテスト環境を用意しており、ユーザーは大塚商会が有するテナントの1つを占有してテストすることが可能だ。テスト期間中は、同時接続が可能なIDが3ライセンス発行される。CADの他、「Office 365」やユーザーの環境に最適化した「Microsoft Teams」も利用できるため、実際の業務を想定したテストが可能だ。また、テスト環境のスループットは平均400Mbpsと5Gよりも高速であり、既に100社以上がテスト環境を試用しているという。

 次のPoCでは顧客企業の社内システムと接続し、Active Directory(AD)と連携して検証を行う。藤田氏は「CAD on AVDの導入の中で最も重要なのがPoCの段階です」とした上で、以下のように説明する。

 「企画は約2週間、PoCには約1カ月かかります。いくらCAD on AVDの環境が優れていたとしても、自社で運用しているCADの操作性や設計業務の効率が低下してしまえば意味がありません。逆にPoCを乗り越えてしまえば、後はライセンス(仮想マシン)を追加するだけなので、企画から設計までは2カ月程度で完了します」(藤田氏)

「CAD on AVD」の導入までのプロセス 図4 「CAD on AVD」の導入までのプロセス[クリックで拡大]


 CAD on AVDの構築/運用にはクラウドと仮想化、そしてCADに対する深い知識だけでなく、各分野を融合した技術力と構築支援のノウハウが求められる。「業務系の環境をAVDに移行する支援サービスは世の中に多くありますが、CADのAVD移行支援はCADのライセンス体系などを熟知していないとできません。まさに、大塚商会にしかできないサービスだと自負しています。CAD on AVDは、現在多くの設計現場が抱える3D CADの運用課題を解消する有効な選択肢の1つだといえます。この機会にぜひCAD on AVDの導入をご検討ください」(藤田氏)。

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提供:株式会社大塚商会
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2023年1月19日