IoT製品の開発期間を約10分の1に、AIoTクラウドが考えるSaaS化で目指すものとは製造業のサービス化

製品のIoT化により、製造業でデータを中心としたサービスビジネスへの移行を進める動きが広がっている。これらの動きを支援してきたのがAIoTクラウドだ。新たに、より容易に製品のIoT化を実現できるようにするIoT開発運用SaaS「WIZIoT(ウィジオ)」の提供を開始した同社の取り組みを紹介する。

» 2022年12月05日 10時00分 公開
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 製造業において、製品のIoT(モノのインターネット)化は大きなテーマだといえる。消費者のニーズが多様化する中、モノだけで満たされるニーズが限定されてきており、モノから生まれるデータやそこから引き出した知見などを組み合わせてサービスとして価値を提供する“コト売り”への移行が進んでいるためだ。

 しかし、従来通りモノとしての製品の開発を進めつつ、新たな仕組みを構築するのは簡単なことではない。製品をIoT化しサービスビジネスを展開するためには、機器そのものに通信機能やデータ収集機能を組み込む必要がある他、これらのデータを蓄積するデータ基盤や、活用するためのアプリケーション開発など多岐にわたる開発が必要になるためだ。また、こうした仕組みは全てが体系化されているわけではなく、手探りの領域も残されている。

製品のIoT化支援で実績を伸ばすAIoTクラウド

 これらを背景に、2019年に設立されたのが、AIoTクラウドである。AIoTクラウドは、シャープのグループ会社として、家電製品におけるIoTサービスを支えてきたノウハウを生かし、製品のIoT化や製品データを活用するシステムやアプリケーションの構築支援などを行っている。家電や住設製品などを中心に、既に約700機種、累計出荷台数400万台以上がIoT化を実現し、200万台の機器がクラウドに接続されているという。

photo AIoTクラウド プロダクトマネージメント部 シニアマネージャーの廣澤慶二氏

 これまでは主に受託開発で請け負ってきたが、案件数が増えていくにつれ、さらなる課題も見えてきたという。AIoTクラウド プロダクトマネージメント部 シニアマネージャーの廣澤慶二氏は主に3つの課題があると指摘する。「1つ目は、製品のIoT化には機器やアプリ、クラウドやダッシュボードなど多岐にわたる開発が必要だという点です。2つ目は、受託開発だと開発期間が長くなる点です。製品開発サイクルと折り合わず、IoT化に踏み切ることが難しい場合が生まれます。3つ目が、IoT化は行ったものの、運用に問題を抱え、システムとして正しく機能していてもビジネス価値につなげられないケースです」(廣澤氏)。

 こうした課題を解決するためには、より簡単に短い期間でIoT化を実現し、ビジネス価値に向けた仮説検証サイクルにリソースを集中させることが求められる。そこで、新たにAIoTクラウドが2022年11月24日に発表したのが、IoT開発運用SaaS「WIZIoT(ウィジオ)」である。2022年12月15日から提供を開始する。

製品IoT化支援をSaaSで提供、開発期間10分の1、開発費5分の1

 WIZIoT(ウィジオ)は、機器メーカー向けにIoT製品の開発と運用に必要なツールとサポートをパッケージ化し、ワンストップで提供するサービスだ。製品のIoT化に必要なクラウド、アプリ、ダッシュボード、通信モジュール用ファームウェアに加えて、運用サポートをまとめてSaaS(Software as a Service)型モデルで提供する。廣澤氏は「目指したのはIoT化の入口で止まるようなことはなく、改善ループまで簡単に回せるようにすることです」と述べている。

photo IoT製品開発に必要な4つのツールとサポートをワンストップで提供するWIZIoT(ウィジオ)[クリックで拡大] 提供:AIoTクラウド

 開発については、さまざまな機器カテゴリーの開発ノウハウを標準化した自社開発のノーコードツールを用意しており、IoTの開発および運用準備に必要な期間を個別開発した際に比べて10分の1(※1)に低減できるという。また、スマートフォンアプリについてもこれらのノーコードツールに加え、UIテンプレートを用意し、実現したい機能に合わせて選択していくだけで簡単に提供可能としている。データ運用面では、IoT製品から上がってくるデータを分かりやすく数値やグラフで表示するダッシュボードをテンプレートも含めて用意し、カスタマイズしながら必要な形で簡単に設定できるようにしている。また、IoT化に伴う開発費も受託開発時に比べ5分の1(※2)に低減できるのもメリットになる。

(※1)(※2)AIoTクラウドでの従来比で

photo アプリ標準UIテンプレートの利用例とダッシュボードの利用例[クリックで拡大] 提供:AIoTクラウド
photo AIoTクラウド ソリューション推進部 課長の名古和行氏

 WIZIoT(ウィジオ)の強みについて、AIoTクラウド ソリューション推進部 課長の名古和行氏は「ITベンダーなどが提供するIoT開発支援では、製品組み込み用のファームウェアから、クラウドまで全てをカバーしているところはほとんどありません。AIoTクラウドは、製品の組み込み開発レベルから、クラウド連携、アプリ開発まで全てを一貫して提供できることが強みです。また、今までの実績から、製造業としてのIoT化のポイントを熟知しているため、運用面でも的確な支援を行えるという点も特徴です」と述べている。

 特にユニークなのが、通信モジュール用のファームウェアを用意している点だ。搭載する機器に、市場に流通している通信モジュール(※3)を組み込んで、提供されたファームウェアを利用することで、簡単にデータを収集して通信できる。「もともと製造業であるため、機器開発のポイントなども知り尽くしています。既に開発済みの製品に後付けで組み込むことなども可能です(名古氏)。

(※3) ESP32-S3-WROOM-1-N16R2/N8R2(Espressif Systems)

photo 通信モジュール用ファームウェアを機器に組み込むための開発キットも用意している[クリックで拡大]

IoTの基本的な仕組みは協調領域、本質価値に集中を

 AIoTクラウドでは、これらの強みを生かしつつ今後はWIZIoT(ウィジオ)の利用範囲を広げ、製造業のIoT化をさらに強力に後押ししていく方針だ。まずは運用サービスの範囲を拡大し、AI分析など効果が実証できたものからパッケージ化を進め、データの利活用のパターンを広げていく計画である。さらに、工場単位やオフィス単位など、同じプラットフォームで水平展開を進める考えだ。

 廣澤氏は「通信機能やデータの収集、蓄積、可視化までの仕組みは、ある意味で協調領域化しています。データの中身や運用での価値創出については、製造業としての本質的な価値につながる競争領域だと考えますが、協調領域についてはできる限り負担の小さい形で進めていくのがポイントだと考えています。WIZIoT(ウィジオ)を利用することで、いち早くIoT化を進められるとともに、競争領域にリソースを集中することができます」と訴えている。

 製造業にとって、“モノ”から“コト”へのシフトは大きなパラダイムチェンジだ。ただ、新たな価値創出の正解例が見えない中で取り組みを進めるには、早期に取り組みを進め、トライ&エラーを重ねていくことが重要になる。その中で、AIoTクラウドのWIZIoT(ウィジオ)は、IoT開発の負荷を大きく下げるとともに、スピードを与えてくれ、IoT化における“本質的な価値”に向き合う余裕を与えてくれる貴重な武器になることだろう。

photo 廣澤氏と名古氏

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提供:株式会社AIoTクラウド
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2022年12月28日