Engineering AIをパートナーに設計開発業務を変える、エンジニアに提案するAIとは製造業DX

製造業でも進むAIの活用。しかし、生産現場などと比べて設計開発業務でのAI活用は進んでいるとはいい難い。そこで、設計開発業務向けにさまざまなソリューションを展開してきた電通国際情報サービスが満を持して展開を始めるのが「Engineering AI」である。同社のEngineering AIではどのようなことが可能になるのだろうか。

» 2022年11月29日 10時00分 公開
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 近年、あらゆるビジネス領域でAI(人工知能)を活用する動きが活発化している。もちろん、製造業も例外ではない。生産現場における定型作業の自動化やサービス領域での効率化を目的に導入が進み、人件費の削減や生産性の向上に一定の効果を発揮している。

 「ただし、上流工程に当たる設計開発業務ではAI活用が進んでいないのが現状です。その背景には『技術』と『データ』の2つに課題を抱えているからです」。こう指摘するのは、電通国際情報サービス(以下、ISID) X(クロス)イノベーション本部 AIトランスフォーメーションセンター AIコンサルティンググループ データサイエンティストの横井俊昭氏だ。

 技術的課題とはAI適用の難しさである。理想的にいうとAIはデータさえあれば何にでも使える汎用技術である一方、さまざまな製品を生み出していく設計開発業務の内容は多岐にわたり多種多様であるため、その2つを適切に結び付けるには高度なノウハウが求められる。一方、データ分野の課題は、データ量そのものの少なさだ。設計開発業務は世の中に存在しないものを作り出す作業であるため、AIモデルの開発に必要なだけのデータ量を収集しにくいのである。ISID 製造ソリューション事業部 エンジニアリング第2ユニット 東日本CAE技術部 部長の錦織知彦氏は「スピードがビジネスの成長を左右する時代には、高度な専門性が要求される設計開発業務でも効率化は必須であり、AI活用は不可欠です。そのためには、設計開発業務で使える大量の学習データを作り出すか、もしくは少量の学習データでもAIモデルを開発できるソリューションが求められているのです」と語る。

設計開発業務におけるAI活用はまだ進んでいない 設計開発業務におけるAI活用はまだ進んでいない[クリックで拡大] 提供:ISID

設計開発業務におけるAI活用のメリット

 設計開発業務におけるAI活用のメリットはさまざまだ。横井氏は「効率化とクリエイティビティの両面で効果を発揮します」と説明する。

 効率化の面で期待できるのがCAEの計算時間の大幅な短縮だ。熱流体解析に代表される大規模シミュレーションの場合はCAEの結果が得られるのに数日かかることも当たり前だったが、AIを導入することで計算時間を数秒〜数分のオーダーに短縮できる。また、AI学習に利用できる設計データがあれば、AIを使って新たな設計案の自動生成も可能になる。

 また、製造業における喫緊の課題として挙げられている人材不足にも役立つ。設計開発業務も、熟練技術者が持つ暗黙知に基づく“匠の技”に支えられていることが多い。そうした部分をAIによる分析で数値化、定量化できれば、これまで属人化していた知見や技術の再現性が確立できる。「効率化が求められる設計開発業務だからこそ、AI活用は非常に価値があるのです」(錦織氏)。

ISIDが提唱する「Engineering AI」とは

 かねてISIDグループは、設計開発業務におけるAI活用の可能性を模索しており、顧客が求める個別の用途に合わせたAIソリューションとしての事業展開も進めてきた。

ISIDが設計開発業務向けで積み重ねてきたAI活用の事例 ISIDが設計開発業務向けで積み重ねてきたAI活用の事例[クリックで拡大] 提供:ISID

 そして2022年11月、今までの取り組みを集結、融合し、製造業の設計開発業務を中心にしたエンジニアリング業務におけるAI活用をさらに進めるために「Engineering AI」ブランドの構想を発表したのだ。錦織氏は「われわれはさまざまなAIソリューションを提供していますが『製造業のエンジニアリング業務でいかにAIを活用するか』は、大きなテーマでした。単に個々の作業をAIで最適化するだけではなく、さまざまな技術要素やエンジニアリング業務知識、そしてソフトウェアやシステム構築のノウハウなどを融合して提供できれば、設計開発業務の課題を解決できると考えました。その“解”となるのが『Engineering AI』なのです」。

 Engineering AIは、「エンジニアに提案するEngineering AI」がキーメッセージであり、設計開発業務でAIをパートナーのように活用してもらうことをコンセプトとしている。従来技術では難しかったデータの認識、予測、生成を得意とするAI技術と、CADやCAEを含む既存のさまざまなエンジニアリング技術を融合して業務プロセスに組み込む。それによって、エンジニアリング業務が効率化/自動化するとともに、AIによってエンジニアのさまざまな判断の助けとなる提案を行う仕組みが加わることで、エンジニアは変革されたエンジニアリングプロセス上でよりクリエイティブな業務に注力できるようになる。

「Engineering AI」のコンセプト 「Engineering AI」のコンセプト[クリックで拡大] 提供:ISID

 横井氏は「これまで設計者が個別に実施していた『設計案作成』『設計評価』のプロセスをそれぞれAI化して『最適解探索』のワークフローに統合することで、手作業の多い設計開発業務を自動化できます。CAEの分野では、これまでも自動最適化の技術やツールはありましたが、適切な問題設定やモデルの実装が難しい、計算量が膨大になるなどの理由により、設計の現場ではなかなか導入、定着しにくい状況が続いています。AIの技術が、その高かったハードルを劇的に下げてくれます。そして、それを具現化したものがEngineering AIのコアソリューションである『ジェネレーティブデザイン』です」と説明する。

Engineering AIのジェネレーティブデザインは位相最適化にとどまらない

 ジェネレーティブデザインと言えば、主に構造強度にかかわる位相最適化機能などとして提供されているイメージが強い。しかし、Engineering AIのコアソリューションとしてISIDが提案するジェネレーティブデザインは、横井氏が挙げた設計者の3つのプロセスそれぞれに対応した機能を統合することで、設計開発業務を自動化できるようになっている。

 まず「設計案作成」では、従来のCADだけでは難しかった自由度の高いバリエーションの3D形状生成を手軽に行うことができる。次に「設計評価」では、CAEをAIモデル(サロゲートモデル)に置き換えることで、解析モデル作成、解析計算、さらに解析結果評価に要する時間を劇的に短縮し、スキルの属人性を取り除くことにつながる。そして、こうしてAI化した「設計案作成」と「設計評価」のプロセスをワークフローでつなげて「最適解探索」により駆動することで、さらに汎用的で自由度が高い自動設計の仕組みを実現しているのだ。

 ISID 製造ソリューション事業部 エンジニアリング第2ユニット 東日本CAE技術部 1グループ シニアコンサルタントの佐野太一氏は「これまで提供されてきたジェネレーティブデザインは、CAEによる位相最適化解析も線形静解析のみを適用など限定的な利用ケースが多いです。この場合軽量化の検討などには役立つかもしれませんが、設計開発業務は軽量化だけを追い求めるわけではなく、それ以外のさまざまな要件を満たさなければなりません。そこでISIDのEngineering AIでは、剛性/強度だけにとどまらない複雑な要件を満たす形状の自動生成を可能にする設計案を提案する『広義のジェネレーティブデザイン』を中核に据えることとしました」と強調する。

ISIDが提供するジェネレーティブデザイン ISIDが提供するジェネレーティブデザイン[クリックで拡大] 提供:ISID

 ただし、この広義のジェネレーティブデザインを実現しようとすると、これまでもマルチフィジックスCAEなどで課題になってきた処理時間の壁にぶつかってしまう。ここで力を発揮するのが、ISIDがこれまで知見を積み重ねてきたAIソリューションの一つであるサロゲートモデルの活用である。サロゲートモデルとは、解析計算や実験の結果データといったシミュレーションデータを教師データとして構築する近似モデルである。従来の統計技術で近似モデルを作る場合、モデルの入出力情報を適切に縮約しなければならないなどさまざまな制約があった。それに対して、AutoML、PoD(固有直交分解)、ディープラーニングといった新しい機械学習の技術やツールを活用することで、計算をコンパクトにしつつ、現場のユーザーが求める情報を扱える近似モデルの構築が可能になってきた。

 広義のジェネレーティブデザインの提案は、Engineering AIの構想を発表したこれからの活動になる。しかし、サロゲートモデルについては既にさまざまな導入事例を積み重ねている。例えば、何社かの自動車メーカーでは、車体周りの空気流れを予測するCAEに対応するISIDの提案に基づくサロゲートモデルを導入して成果を得ているという。中でも、これまで空気抵抗のシミュレーションでは1週間かかるのが当たり前だったところを、サロゲートモデルの導入により秒〜分単位で計算結果が得られるようになった事例もある。

 これだけの効果を持つサロゲートモデルについては各社も取り組みを進めているが、ISIDはサロゲートモデルを構築するためにさまざまな切り口からアプローチできる点が強みになっている。例えば、製品形状をシンプルに数個の寸法で表現できるテーマであればRSM(応答曲面法)、一方で、複雑な3Dジオメトリなどで表現したい場合はディープラーニングベースといった形で、課題の特性や要件に応じて最適なアプローチでサロゲートモデルを構築することを提案、支援することができる。

 ISIDは、設計者の3つのプロセスをシームレスに連携するデータ管理ソリューション「i-SPiDM(アイ・エスピーディーエム)」を2022年2月にリリースしている。冒頭で横井氏が指摘した通り、設計開発業務におけるAI活用の課題の一つがデータにあるが、i-SPiDMによって各種データ管理や解析計算のジョブ管理機能、AI訓練用のデータ出力などを適切に行うことで対応できるようになる。このi-SPiDMを活用すれば、サロゲートモデルを構築するためにさまざまな切り口からアプローチするためのデータ収集が容易になる。さらには、CAEデータを用意することなくサロゲートモデルの構築を可能にする取り組みを一部顧客とともに進めるなど先進的な施策も積極的に進めている。

設計開発業務の新しいカタチを作る

 これまで設計開発業務では、設計者CAEなどによる設計のフロントローディングが叫ばれてきた一方でその浸透がなかなか進まず、CAE専任者の業務負荷がなかなか減らないことが課題になっていた。

 ISIDが提唱するEngineering AIは、AIをあたかもエンジニアのパートナーとして、AIから提案される情報を活用してエンジニアの経験を超える判断を支援したり、気付きを与えたりするような仕組みとしてエンジニアリングプロセスに組み込むことで設計開発の底上げが可能になる。「設計開発業務の新しいカタチを作っていきたいと考えています。そのためにISIDが持っている技術を総動員していきます」(佐野氏)。

 ISIDは、製造業がEngineering AIをスムーズに導入し、継続的に運用できる包括的な支援体制を整えている。「まずはシミュレーションを効率化するサロゲートモデルを構築してみたい」「CAEのソルバーをAIモデルに置き換えてみたい」といった具体的な要望から、「データ管理のノウハウを知りたい」「AIを設計開発にどう生かすのか」といった基本的な相談まで柔軟に対応可能だ。さらに、既存の業務プロセスに照らし合わせ、現在とは異なるプロセスでAIを活用して効率化を図るといったコンサルティングも行っている。

「Engineering AI」ではISIDが持っている技術を総動員していく 「Engineering AI」ではISIDが持っている技術を総動員していく[クリックで拡大] 提供:ISID

 錦織氏は「設計開発業務で抱える課題解決にAIを導入することで、設計開発者自身が持つ高度な専門知識を発揮し、本来のクリエイティブな業務に集中していただきたい。それが日本の製造業の根幹を支える開発力の向上につながると確信しています」と意気込みを述べており、Engineering AIの事業展開に注力していきたい考えだ。

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提供:株式会社電通国際情報サービス
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2022年12月19日